大人の食物アレルギーは年々増加傾向
食物アレルギーは子どもの病気と思われがちですが、実は大人になってから発症するケースも珍しくありません。これまで問題なく食べていた食品でも、突然じんましんや腹痛、呼吸困難などの症状を起こすことがあります。成人の食物アレルギー患者の数は年々増えており、例えばくるみアレルギーは症例数の増加に伴い、2023年3月からアレルギー表示が義務付けられた「特定原材料」に追加されました。 また、食物アレルギーには摂取後2時間以内に発症する即時型アレルギーだけでなく、5~6時間経ってから発症する遅延型アレルギーが存在することにも注意が必要です。症状が出るまでに時間がかかるため原因に気づきにくく、「隠れアレルギー」とも呼ばれています。遅延型アレルギーを引き起こす食材には、肉や納豆などがあり、マダニに噛まれた経験が肉アレルギーに、クラゲに刺された経験が納豆アレルギーに関連することが明らかになっています。
近年注目されているアニサキスアレルギー
成人によく見られる食物アレルギーの代表格の一つが、近年注目されているアニサキスアレルギーです。アニサキス症と混同されやすいですが、アニサキスがヒトの胃壁に嚙みついて引き起こす食中毒がアニサキス症です。一方、アニサキスアレルギーは、アニサキスが体内に入った際に抗体が作られ、次にアレルゲンとなるタンパク質が体内に入るとアレルギー反応を起こすこと。 じんましん、目の腫れ、くしゃみ、鼻水のほか、呼吸困難や意識消失など重篤な症状が現れるケースもあります。アニサキスアレルギーは、摂取後2時間以降に症状が出ることも珍しくなく、5~6時間後、あるいはそれ以上経過してから遅発性アナフィラキシーを起こす場合もあります。
アニサキスアレルギーの解明を目指して
アニサキスアレルギーの場合、原因となる魚介類を食べなければアレルギー反応が起こることはありません。しかし、「大好きな寿司や刺身が一切食べられない」といった状況は、患者さんにとって非常に辛いものでしょう。当院では、どのような魚なら食べることができるのか、その人にとって最善の治療は何かを見つけ出し、患者さんの気持ちに寄り添って診療したいと考えています。 そのために当院は、東京海洋大学との共同研究にも取り組んでいます。この研究では、アレルギー反応を引き起こす原因分子の特定や成分(主にたんぱく質)の解析を行っています。今後は、相模原病院との共同研究も予定しており、アニサキスアレルギーの解明にさらに力を入れていくつもりです。また、全国各地から来院する患者さんたちの負担を少しでも軽減するため、オンライン診療も実施しています。
食物アレルギーで困ったら、専門の医師に相談を
特異的IgE抗体検査が陽性でも、実際に症状が出るとは限りません。かつては「陽性が出た食品は食べるのをやめましょう」と指導していた時代もありましたが、今では「必要最小限の原因食物の除去」、つまり医師の診断に基づいて、症状が出る原因食物だけを対象に、食べられる量・範囲内で摂取することが推奨されています。誤った診断や食事指導をせず、判断に困ったときは専門の医師に相談していただければと思います。 特にアニサキスアレルギーの患者さんがいらっしゃれば、ぜひ当院にご紹介ください。また、食物アレルギー患者の小児科から成人科への移行期にも責任を持って対応していますので、気軽にご相談いただければと思います。
Doctor's Profile
たむら まさお
田村 誠朗
アレルギー・リウマチ内科
助教
- 専門分野
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- 内科全般
- リウマチ・膠原病
- アレルギー
- 資格
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- 日本内科学会 認定医
- 日本リウマチ学会 専門医・指導医・登録ソノグラファー
- 日本アレルギー学会 専門医・指導医
- JMECCインストラクター
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