Doctor’s Interview

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Saturday morning seminar

Doctor's
Interview

2023年
9月開催
小児の母斑治療
西本 聡形成外科

さまざまな種類の
母斑治療に対応

母斑は一般的には「あざ」とほぼ同義語として知られています。代表的なものに色素性母斑(ほくろ)、扁平母斑、太田母斑、脂腺母斑、表皮母斑、軟骨母斑、いわゆる血管腫(血管奇形)などがあります。色素性母斑、扁平母斑、太田母斑はメラニン色素によるもので、色素性母斑と扁平母斑は茶色や黒色に見えます。太田母斑は色素細胞が皮膚の深いところに集まってできるため青く見え、いわゆる青あざと呼ばれます。脂腺母斑と表皮母斑は、色素はあまり関係ないタイプで色は常色ですが、見た目がガタガタであったり凸凹していたり、ときに痒みが出たりする場合があります。軟骨母斑は、耳の前にイボ状に突起したもので、副耳とも呼ばれます。血管腫は、赤い系統の血管が見えるタイプのあざです。乳児血管腫(イチゴ状血管腫)も病名としては同じ「血管腫」と呼ばれますが、これは良性腫瘍の一種であるため、母斑として分類される血管腫からは除外するべきだと考えられます。

生命予後に影響はないが、
中には悪性化するものも

母斑は腫瘍ではないため、生命予後に悪影響を与えることはありません。しかし、小児の母斑は親御さんにとっては心配の種となることも多いです。また、腫瘍ではないとはいえ、後から悪性化するケースもなくはありません。代表的なものは、脂腺母斑です。これは子どもの頃には全く問題がないものですが、40~50代くらいの年齢になった時に基底細胞がんになる可能性が高いとされています。そのため、基本的には切除したほうが良いと考えられています。色素性母斑も、小さいものが悪性化することはあまりありませんが、巨大色素性母斑と呼ばれる大きいものは、悪性黒色腫(メラノーマ)になる可能性があるとも言われているため、適切な観察が必要です。巨大色素性母斑の悪性化の可能性については、現在もはっきりしたデータは出ていないため明言はできませんが、もともと色素細胞を多く持っていればメラノーマが発生してもおかしくはないと考えられます。

小児期に母斑を治療することの利点

母斑の治療法は種類によって異なりますが、目標は整容面の改善です。腫瘍とは異なり、生命予後を守るための治療ではないため、時間的余裕があるわけです。しかし、小児期に母斑を治療することには多くの利点があります。例えば、母斑を切除する際、身体の他の部分から植皮をすると違和感が生じる場合が多いため、可能であれば皮膚を縫い縮める切除縫縮法で手術を行います。縫い縮めるということは、周りの皮膚に伸びてもらう必要があるのですが、小児期のほうが皮膚は伸びやすいというデータがあります。そのため、大人になってからでは切除しきれない範囲の母斑でも、小児期なら取りきることができるケースがあるのです。また、1回の手術では縫い縮められない大きな母斑の場合でも、数回に分けて少しずつ切除し、段階的に治療していくというアプローチが可能です。このように、時間的余裕があることを生かして、時間を味方につけながら治療できるのも母斑の大きな特徴です。

高い技術力と他科との連携が強み

形成外科は、まだまだ認知度が低い分野です。しかし、私たち形成外科医は、長期間の修行で研鑽を積み、微細な手術から広範囲な手術まで幅広い経験を重ねているため、技術力の高さは誇れるものだと自負しています。また、小児期に手術をする場合、小さい子どもさんに全身麻酔をかけて手術をすることになりますが、兵庫医大では当科だけでなく麻酔科や小児科の医師やスタッフもそういった小児の全身麻酔手術に慣れていますので、安心してお任せいただけるかと思います。小児の母斑でお困りのことがございましたら、ぜひ一度当科にご相談ください。

Doctor's Profile

プロフィール写真

にしもと そう
西本 聡
形成外科
教授

専門分野
  • 形成外科一般
  • 頭蓋顎顔面奇形
  • 小児先天奇形、難治性潰瘍
資格
  • 日本形成外科学会 形成外科専門医・指導医・認定皮膚腫瘍外科指導医・認定小児形成外科分野指導医・認定再建・マイクロサージェリー指導医
  • 日本頭蓋顎顔面外科学会 専門医
  • 日本創傷外科学会 専門医
  • 臨床研修指導医
  • 医学博士(1998年)

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