Doctor’s Interview

Doctor’s Interview

Saturday morning seminar

Doctor's
Interview

2023年
4月開催
糖尿病診療の進歩と
地域連携の重要性
小山 英則糖尿病・内分泌・代謝内科

近年大きく変わりつつある糖尿病診療

近年、糖尿病の「診療の質」は大きく変化しています。血糖値だけを見て、数値が良ければOKという時代は終わったと言えるでしょう。糖尿病は多くの合併症の可能性があり、全身のさまざまな病気の基盤となるような病態です。そのため、血糖を管理しながら、全身の代謝の管理を同時に考えていくことが重要なのです。

よくあるのが、薬剤で血糖値が下がっても、体重を管理できていないケースです。体重が増えると、血圧上昇や脂質異常症などをともないやすく、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞のリスクにつながりますし、脂肪肝を合併する場合もあります。血糖を管理するにしても、体重をコントロールしながら行うのと、血糖値だけを見て体重がどんどん増えていくような状況を比べると、どちらが良いかは明らかですよね。肝心なことを見落としてしまわないように、全身疾患として糖尿病として診ていくことが非常に大切です。

合併症も含めた
全身のトータルケアを提供

糖尿病の診療において当科で力を入れているのは、合併症も含めたトータルケアです。眼や神経、腎臓の障害、動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞のリスクなど、さまざまな側面から検査を行い、合併症に対してトータルで評価を行います。また、体重や体脂肪、筋肉量といった体組成の評価や、糖尿病と関連が深いと言われている認知症や睡眠障害に対する評価も実施しています。

これらの検査・評価は、治療方針の決定のために生かされるだけでなく、研究活動にもつながっています。当科では研究にご協力いただける患者さんを対象に、数年にわたって追跡するコホート研究を行っています。かかりつけ医の先生のところに通っていただきながら、2年に1回ほどのペースで当院に来ていただいて検査を行い、そのデータを集積して解析を行っているのです。

研究の一環として、
多くの検査を無償で実施

トータルケアのために、研究的な一部の検査については、患者さんは自己負担ゼロで受けていただけます。認知症診断に有用なアミロイドPET検査や、在宅で行う睡眠時の脳波検査、学外の研究者と共同で解析を行う腸内細菌の検査など、大学病院ならではの検査を行うことで、普段の診療だけではわからなかった問題が浮かび上がってくる場合も多く、患者さんたちにもご満足いただいていると感じています。

また、検査を行う中で、がんや副腎腫瘍、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)といった別の病気が明らかになるケースも少なくありません。定期的に検査を受けていただくことで、早期発見・治療につながりますので、患者さんにとってメリットが大きいのではないでしょうか。現時点では病気には至っていなくても、どういったリスクがある状態なのか患者さんご自身に理解していただくことが、認知行動療法に前向きに取り組んでいただくきっかけにもなります。糖尿病が「全身管理の一番大事な幹」だと思ってもらえたら大成功ですね。

かかりつけ医の負担や
リスクの軽減につながる

当院のトータルケアのシステムは、患者さんだけでなく、地域の先生方にとってもプラスの面が大きいのではないかと思います。検査をして病態を調べ、治療方針を検討して患者さんに説明することは、時間も労力もかかる大変な作業ですが、2年に1回当院に来ていただければすべて私たちが行います。検査結果をしっかりと評価して患者さんやかかりつけ医の先生にフィードバックすることは、私たちの一番大切な仕事だと考えています。このように、私たち専門医とかかりつけ医の先生が連携して診療にあたることで、地域の先生方の負担を軽減できるだけでなく、病気の早期発見などによってリスクの軽減にもつながるのではないでしょうか。

糖尿病の管理で
不安や疑問があれば相談を

当院のトータルケアのシステムを一度活用していただければ、患者さんの実際の経過をもとに、内容をより深くご理解いただけるのではないかと思います。糖尿病の管理をされている中で、「本当に今の診療で良いのだろうか」と少しでも不安を持っておられる非専門の先生がいらっしゃいましたら、ぜひ活用していただきたいですね。

当科では、薬剤での血糖コントロールがうまくいかない患者さんの教育入院や、大腸の検査などを兼ねたご高齢の患者さんの入院など、多様な背景を持つ方の入院に対応しています。また、1型糖尿病患者に対するインスリンポンプなどの先進治療や、重度肥満に対する消化管外科と連携した肥満原料手術も行っています。ぜひ気軽にご相談ください。

Doctor's Profile

プロフィール写真

こやま ひでのり
小山 英則
糖尿病・内分泌・代謝内科
主任教授/診療部長

専門分野
  • 内科
  • 糖尿病
  • 内分泌疾患(脳下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎疾患)
  • 動脈硬化(閉塞性動脈硬化症、脂質異常症、高血圧、メタボリックシンドローム、肥満)
資格
  • 日本内科学会 認定内科医・指導医
  • 日本内分泌代謝学会 内分泌代謝科専門医・指導医
  • 日本糖尿病学会 糖尿病専門医・研修指導医
  • 日本動脈硬化学会 専門医・指導医
  • 内分泌代謝・糖尿病内科 領域研修指導医
  • 医学博士(1993年)

過去に開催された「兵医サタデーモーニングセミナー」のアーカイブ動画は、兵庫医科大学病院の登録医制度「武庫川クラブ」にご登録済みの先生方、 および一部の関連医療機関の先生方のみ視聴可能なコンテンツです。上記のインタビュー記事を読んで「アーカイブ動画を視聴したい」と思った方は、武庫川クラブへのご登録をお願いします。

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