社会医学 データサイエンス部門
社会医学データサイエンス部門は、臨床疫学及び関連する学術領域に関する研究と教育を行っています。臨床疫学とは、病気にかかっていない健康な市民から病院に入院して治療する患者まで、全ての人間の健康や病気について、頻度や診断、検査、治療、予後などのあらゆる疑問を解決するために、集団を対象に分析を行って、社会や診療現場ですぐに役立つ情報を科学的に導き出す学問です。大まかに言うと、いわゆる臨床研究ですが、臨床研究にとどまりません。臨床疫学に関連する学術領域には、正しい研究を行うための研究公正や研究倫理、臨床疫学研究から得られたエビデンスを正しく診療に生かすための臨床推論、医療従事者を対象とした臨床疫学研究の教育方法などがあります。
主な研究分野
治療効果や予後に関する臨床疫学研究
幅広い領域の臓器別専門医と協力して、多施設による臨床試験やコホート研究を実施し、虚血性心疾患や脳卒中、糖尿病などの日常的な疾患について、薬剤など治療の効果やイベントの発生率、危険因子などを測定しています。研究アイデアの段階から臨床医としての視点と疫学・統計学的な観点とを勘案しながら研究を企画し、解析、発表に繋げています。
日常診療の質に関する研究
様々な多施設共同コホート研究を実施し、日常診療の質に関する指標を分析しています。例えば、入院患者に発生する医原性有害事象、特に薬剤性有害事象や転倒、院内感染を定量的に解析し、リスクの高い医療行為や診療環境を提示し、患者の安全や診療の質の改善に結びつけています。