遺伝学
遺伝学講座は分子生物学を専門とする研究者が、臨床科との連携により、診断や治療に繋がる研究を行っています。中皮腫研究は本学の最も特色ある分野であり、中皮腫のゲノム解析から9番染色体の欠失や3番染色体BAP1遺伝子の上皮型特異的欠失変異の発見は、診断そして治療という臨床の場に大きく役立つことが期待されます。またヘッジホッグ情報伝達系をターゲットとした研究は、本講座の特色である遺伝性疾患患者の解析からスタートし、ユニークな試料をもとにして腫瘍形成や幹細胞を理解しようとする試みです。次世代シークエンサーの発達によりヒトゲノム解析がより身近になり、またゲノム編集技術を用いた遺伝子改変生物の作出が容易に行えるようになってきていることから、今後とも遺伝学教室の担う役割は大きいと考えます。
主な研究分野
ゲノム解析をもとにした疾病の細胞、個体レベルでの解析
遺伝性および環境因子によるがんについてのゲノム解析を行い、細胞、個体レベルでの解析を通して、発症メカニズムの解明と診断・治療のターゲットを探索します。
遺伝性疾患の遺伝子解析
遺伝性疾患の原因遺伝子の同定と治療を目標としたメカニズムの解明をめざします。
個体・組織の恒常性維持に関する実験遺伝学的解析
栄養やホルモンなど、個体・組織の恒常性維持に関与する因子を制御する遺伝子の解析を行います。
ゲノム編集技術の改良とその応用
CRISPR/Cas9システムを用いて、様々な遺伝子のノックアウト、ノックイン細胞、マウスの作出を行います。