救急・災害医療の取り組み

救急・災害医療の取り組み

救急・災害医療の取り組み

高度な医療設備と
真摯な姿勢を備えた
救急医療の「とりで」に。

平田 淳一 救命救急センター長/救急科 主任教授(診療部長)

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阪神間の救命・災害医療を支える使命

 兵庫医科大学病院の救命救急センターは、高度外傷や重症患者さん向けの救急医療、集中治療、そして災害医療に特化した「3次救急医療機関」です。1973年に開設し、阪神間で最も歴史ある救命救急センターとして地域の救急医療を日々支えてきました。当センターは、2015年に竣工した急性医療総合センターの1、2階部分にあり、救急隊あるいは医療機関からの要請による救命患者さんを受け入れています。
※ 一般の外来受診は受け付けていません。

 1階には同時に最大5名の傷病者を受け入れることができる初療室、化学・生物・ 放射性物質・核・爆発物による災害や中毒に対応する搬入口の除染室、熱傷センター治療室、外傷センター緊急手術室、画像診断室(CT室、レントゲン撮影室)を備え、ハイブリッド血管造影の可能なIVRセンターが隣り合うなど、高度な救急医療が速やかに展開・完結できる設備を整えています。2階にはEICU(救命救急集中治療室)およびCCU(冠動脈疾患集中治療室)20床と救急病床24 床を設置し、隣接する集中治療センター(ICU20床)や全診療科と連携したベッドコントロールを行い、救命患者さんの受け入れに努めています。

あらゆる災害を想定した診療環境

 災害時対策として、廊下の壁にも酸素と空気の供給バルブを中央配管し、多数の重症傷病者の受け入れが可能な構造にしているところも当センターの特徴です。さらに南海トラフ地震などで推測される水害をも想定して、1階の床高さを通常よりも高くしています。それでも浸水した場合には、救命救急センター機能を一時的に移乗できる院内スペースを確保しています。万が一当センターが被災する事態にも備えて、ヘリコプターによる患者搬送・搬入に対応できるヘリポート、ハイブリッド初療室、手術室も完備予定です。

 当センターは災害拠点病院にも指定されており、2チーム以上のDMAT(災害医療派遣チーム)を構成して被災地に派遣することができます。これまでにも東日本大震災や熊本大震災などで活動してきました。また、阪神・淡路大震災などの災害に教訓を得た多数傷病者受け入れ訓練も独自に行っています。

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「救うことのできる命」を見逃さない

 現状で、応需率およそ92~93%をキープしていますが、「患者さんを選ばない救急医療」をモットーに応需率95%以上というさらなる目標を掲げています。当センターは長らく3次救急医療機関として救命最優先の患者さんを中心に受け入れてきましたが、2018年から1次救命(軽症)や2次救命(中等症)の患者さんを積極的に受け入れるようになりました。また、当センターの救急医が近隣施設に出向いたり、災害事故時のドクターカー派遣などで病院前診療や初期治療を行った後に当センターへ転送するような院外受け入れのケースもあります。
というのも、「1次」「2次」「3次」という患者選別に基づく現状の救急システムでは、1次~2次として選別された患者さんの中に3次救命の患者さんが紛れていることがあり、対処が遅れてしまうケースが少なからずあります。それは速やかに適切な対応をしていれば助かっていたはずの命です。そのため3次救命だけにこだわらずにオーバートリアージ(重症かどうかの判断基準を緩めること)を行うことによって「救うことのできる命」を見逃さないように努めています。私がセンター長に就任した2018年4月からの半年間にも、実際に2次救命の患者さんの中から3次救命患者さんをピックアップできた事例がありました。この考えから、現在兵庫医大ERも開設準備中です。

  • 「ER(Emergency Room)」とは、軽症から重症まですべての救急患者を受け入れて、ER専門医が初期診療を行う救急医療システムです。

診療科と連携した質の高い救急医療

 複数症状を併発しているケースや多発外傷においては、救急医と診療科の専門医が連携して治療にあたります。初期診療の翌朝に全体カンファレンスを行い、当センターの医師総出のもと、各診療科の医師、薬剤師、看護師、医療事務、医学部生なども参加して、ひとつの症例に対して多方面からレビューすることでさらなる質の向上に努めています。
初期診療後の患者さんは疾患の重症度に応じて、集中治療室、救急一般病棟、各診療科病棟に入院します。入院後は理学療法士、作業療法士、言語聴覚士やケースワーカーを交えてリハビリカンファレンスを定期的に行い、退院後の暮らし方も考慮した救急医療に取り組んでいます。
このように診療科が救急医療に対して協力的で、医療機器設備・マンパワーともに充足した環境にあるという大学病院ならではの総合力を発揮できている点が、当センターの強みと言えるでしょう。

救命とは一つひとつの命に真摯に向き合うこと

 救急医療の初期診療では「誰が診療しても一定の質を担保でき、見過ごしを防ぐこと」が重要です。兵庫医科大学病院では、救急医療を担う若手医師の教育にも力を入れています。当センターでは、指導医師と若手医師がペアを組んで初期診療を行います。その上で、1・2次救急患者さんの診療は主に若手医師が担当し、3次救急患者さんはベテラン医師が担当しています。多くの症例経験や医師同士の触れ合いの中で、若手医師は救急医としてのマインドを身につけていきます。この「救急医としてのマインド」を受け継いでいくことが最も大事な教育だと私は考えています。

 救急医療を支えるのは医師という「人」の力です。突然襲いかかった事故・災害・熱傷などの重症外傷や集中治療が必要な重症疾患で運ばれてきた方に対峙するには、目の前の命を救うことだけに集中して取り組む姿勢が必須です。兵庫医科大学病院の救命救急センターには、救急医療に携わることに誇りを持ち、陰ながら人を救うという「陰徳(いんとく)を積む」ことで社会貢献したいと願う医師たちが集い、日々、救急医療に真摯に取り組んでいます。

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ひらた じゅんいち 平田 淳一 救命救急センター長/救急科 主任教授
(診療部長)

専門分野
  • 救急医学
  • 集中治療医学
  • 災害医学
  • 外傷外科学
資格
  • 日本救急学会 専門医

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