先進医療の取り組み

先進医療の取り組み

先進医療の取り組み

目の前の患者さんに希望を与え
医学の進歩に貢献する。
それが特定機能病院の使命です。

三輪 洋人 消化管内科 教授

インタビューイメージ

患者さんの選択肢を増やすために

 診療には、公的医療保険が適用される「保険診療」と、患者さんが医療費を全額負担する「自由診療」があります。保険診療と自由診療の併用は原則として認められていませんが、最新鋭の医療技術のうち厚生労働省が一定の安全性や治療効果を認める「先進治療」は保険診療と併用することが可能です。先進医療は自由診療になりますが、技術料以外の診察・検査・投薬・入院料などには公的医療保険が適用されます。
先進医療のメリットは、現時点では最も有効とされる保険診療(=標準治療)に加えて、患者さん自身が望む治療の選択肢を増やせることです。さらに、先進医療を推し進めて行く中で安全性や効果が立証されれば、ゆくゆくはこれが標準治療となって広く世に広められる可能性があります。つまり先進医療とは、現在の患者さんに新たな可能性を提供すると同時に、医学を前進させる働きかけでもあるのです。

 ただしこれはどこででもできる医療ではありません。先進医療は厚生労働省の承認を受けた医療機関だけで実施でき、研究体制が整っている大学病院がその中核を担っています。私たち兵庫医科大学病院は、高度医療を開発・提供できる設備や能力を持つ、国指定の「特定機能病院」として先進医療に積極的に取り組んでいます。特定機能病院は全国に85施設、兵庫県内には当院を含めて2施設しかありません(※)。阪神間という地域に根づきながら、医療の進歩に貢献していくことが私たちの使命と考えています。

  • 2017年4月1日時点

兵庫医科大学病院が実施している先進医療

 厚生労働大臣が認めている先進医療は2018年12月1日時点で91種類あり、当院では次の先進医療の承認を受けています。

  • S-1内服投与、シスプラチン静脈内投与及びパクリタキセル腹腔内投与の併用療法(消化管内科)
  • パクリタキセル静脈内投与(一週間に一回投与するものに限る。)及びカルボプラチンの腹腔内投与(三週間に一回投与するものに限る。)の併用療法(産科婦人科)
  • 多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術(眼科)
  • アルテプラーゼ静脈内投与による血栓溶解療法(脳神経外科)
  • 術前のS-1内服投与、シスプラチン静脈内投与及びトラスツズマブ静脈内投与の併用療法(上部消化管外科、消化管内科)
  • mFOLFOX6及びパクリタキセル腹腔内投与の併用療法(消化管内科)

 私が所属する消化管内科で扱っている先進医療「S-1内服投与、シスプラチン静脈内投与及びパクリタキセル腹腔内投与の併用療法」は、抗がん剤「S-1」を内服して抗がん剤「シスプラチン」を静脈に点滴するという胃がんの標準治療に加えて、抗がん剤「パクリタキセル」を腹腔内に直接注入するという治療法です。これは東京大学が中心となって治験を行ったところ非常に良い成績だったため、厚生労働省に申請して先進医療として認められています。現在、当院では年間10例程度を実施しており、東京大学をはじめとした他大学と積極的に連携して研究を進めています。

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先進医療は「細心の医療」

 これまでの医療では効果を上げられなかった領域に踏み込む先進医療は、ただ単に新しい治療や薬を投与することではありません。先進医療として厚生労働省に認められるまでに数々の治験や研究を経てはいますが、それでもまだ思わぬ副作用などが起こる可能性も多々あります。そのため治療の経過を逐一チェックして、的確な判断をし、患者さんを細やかにケアできる医療体制が必須です。また、先進医療には非常に厳しく詳細なプロトコル(試験実施計画)が定められているため、細心の注意を払って取り組まなくてはなりません。いわば先端医療はノウハウのかたまりです。研究・臨床体制が整っている施設であるのはもちろんのこと、それを扱う医師にも高レベルな経験値や力量が求められます。

 兵庫医科大学病院で実施している先進医療の中には、解析結果の精度の高さなどが評価されて国内外から医師や研究者が見学に来るものもあります。すぐに結果が出るものではないからこそ細やかなフィードバックや情報共有が重要で、院内で定期的なカンファレンスを実施するのはもちろん、連携している大学との会議でも途中経過をこまめに発表しています。私たちは先端医療の安全性と効果を明らかにして、未来の標準治療にしていくことを目指しています。

患者さんのQOLを重視した医療を

 先端医療は、患者さん自身のご希望に加えて、患者さんのQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)や全身状態などのあらゆる条件を医師が鑑みて、治療を導入する必要性と合理性が認められる場合にのみ行われます。長期にわたって効果を確かめながらの治療になるため、この治療法が患者さんにとって良いものかどうかを慎重に判断する必要があります。主治医から患者さんに、どのような効果と副作用が予測される治療かを丁寧にお話した上で進めますので安心してください。

 兵庫医科大学病院では先進医療以外にも、患者さんにより安心・安全な治療を提供するために、最新鋭の技術や設備を導入しています。手術支援ロボット「ダビンチXi」による手術は開腹手術に比べて傷口が小さく、術後の痛みを軽減できたり入院期間を短縮できたりするメリットがあります。導入によって、患者さんの身体的な負担だけでなく手術や入院への不安も減らせている実感があります。ダビンチを用いたロボット手術は、2012年の導入時から2018年11月末までの間に、泌尿器と上部消化管外科で合計400例の実績があります。当院ではダビンチの他にも、ゲノム医療やAIの応用、ロボットリハビリテーション、遠隔医療など次世代医療の導入を推し進めていく予定です。

 この10年、いや数年の間に医学は急激に変化しました。かつて高額な自由診療とされてきた治療法の中には、保険が適用されて標準治療となって一般的に広く行われるようになったものも多々あります。特定機能病院である当院は、現在の患者さんにより良い医療を提供することを使命に、医学の進歩にもますます貢献していけるよう努めてまいります。

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みわ ひろと 三輪 洋人消化管内科 教授

専門分野
  • 消化器内科一般
  • 上部消化管疾患
  • 特に逆流性食道炎(胃食道逆流症)機能性胃腸症
  • ヘリコバクターピロリ感染症の診断と治療
  • 内視鏡による胃がんの早期診断と化学療法
資格
  • 医学博士
  • 日本医師会(認定産業医)
  • 日本内科学会(認定内科医・指導医)
  • 日本消化器病学会(理事・専門医・指導医)
  • 日本消化器内視鏡学会(社団評議員・専門医・指導医)
  • 日本消化管学会(理事・代議員・胃腸科認定医・専門医・指導医)
  • 日本食道学会(評議員・食道科認定医)
  • 日本神経消化器病学会(理事)
  • 日本ヘリコバクター学会(監事・代議員・H.pylori感染症認定医)
  • 日本潰瘍学会(評議員)
  • 日本高齢消化器病学会(理事)

交通アクセス

最寄り駅
阪神電鉄「武庫川駅」西出口より徒歩5分
住  所
〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1-1

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