部門について
ご挨拶
狩野 春艶 (かのう しゅんえん) 部長
部門内体制
臨床検査技師約100名を、臨床検査部、超音波センター、輸血・細胞治療センター、病院病理部、急性医療総合センター、内視鏡センター、梅田健康医学クリニックなどに配属し、血液や尿検査、輸血検査、細菌検査、病理検査、遺伝子検査などの検体検査と、心電図や超音波検査、内視鏡検査などの生体検査に従事しています。
「安全で質の高い検査の提供」「社会への貢献」「よき臨床検査技師の育成」を理念とし、多くのスタッフが専門性の向上を目指し、積極的に認定資格、専門資格取得に取り組んでいます。詳細は
こちら(臨床検査技師 認定資格一覧)よりご確認ください。
部門の役割
【血液・一般検査室】
血液検査室では、血球数算定、末梢血液像、骨髄像、血栓止血の検査をしています。一般検査室では、尿定性、尿沈渣、便潜血の検査をしています。主に顕微鏡を中心とした業務で、患者さんの血液、尿、骨髄液、腹水、胸水、髄液などの細胞数や細胞形態を観察して報告します。細胞数や細胞形態の異常が見られた場合は、臨床医に迅速で正確な検査データを提供する必要があるため、臨床医と密なコミュニケーションを取り、日々の顕微鏡研修に力を入れ技術向上を心掛けています。
【生化学・免疫検査室】
患者さんから採取された血液(主に血清)や尿、胸水、腹水、髄液などに含まれる成分について検査しています。血液や尿に含まれる糖、脂質、電解質、たんぱく質などの成分は、臓器に障害があったり、障害が重くなったりすると変動します。測定する方法によって、酵素やたんぱく質、脂質、電解質などの生化学検査、ホルモンや腫瘍マーカー、肝炎ウイルスなどの免疫検査に分かれます。検体到着から1時間以内に結果報告し、診察前に検査結果が分かるように努めています。
【採血室】
主に外来患者さんの採血を行っています。また、自宅で採取した尿、喀痰、便なども採血室で受け付けています。臨床検査技師と看護師が採血を担当しており、毎日約650名の患者さんの採血を行っております。不安をかかえて来院される患者さんに対して、丁寧に対応するよう心掛けています。安全性の高い手技と技術は患者さんから、しばしば、お褒めの言葉をいただいております。
【微生物検査室】
主に細菌の培養や有効な抗生物質を選択するための検査(薬剤感受性の検査)、インフルエンザウイルスやノロウイルスなどの検査を行っています。近年問題となっている耐性菌などを迅速かつ確実に検出し、感染制御チーム(ICT)との連携により、院内の感染制御の役割を担っています。
【輸血・細胞治療センター】
①輸血用血液製剤の保存と管理業務 ②検査業務(血液型、不規則抗体スクリーニング、交差適合試験、フローサイトメトリー等) ③自己血採血・造血幹細胞移植に関する業務 ④血液型抗体・輸血副作用(副反応)などに関する医療相談 ⑤再生医療等製品の管理、特定細胞加工物製造支援 などを行っています。
【病院病理部】
患者さんから手術、内視鏡検査などで採取された組織、細胞を顕微鏡で観察し、病変の性格(疾病の原因、広がり、機序、病期、予後など)について詳しく調べるという検査です。また不幸にして亡くなられた患者さんの診断の妥当性や治療の効果を検証するために病理解剖も行なっています。これらの業務のなかには、手術中に腫瘍の良・悪性やその切除範囲を確定するための術中迅速検査、診断の難しい症例に活用する特殊染色・免疫染色や治療薬の適応を判定する遺伝子検査などが含まれます。病理医と臨床検査技師がチームを組み、高度な医学知識を得るための研鑽を積みながら、各臨床科とのディスカッション、専門家の育成、学会活動や資格取得に積極的に取り組んでいます。
【急性医療総合センター サテライト検査室】
手術室から依頼された血液検体の迅速検査を行っています。検体はエアシューターで搬送され、3~5分以内に手術室部門システムに結果を電送しています。また、当院は災害拠点病院の指定を受けており、同センターは免震構造、自家発電および井戸水利用を備えた災害に強い施設です。その 2階に設置された当検査室は、被災後も上記の通常業務を継続・維持することができます。
【内視鏡センター】
臨床検査技師は、上部消化管内視鏡検査・下部消化管内視鏡検査をはじめ、超音波内視鏡検査・大腸ポリープ切除・ダブルバルーン内視鏡検査で組織の採取(生検)や色素散布などの検査介助業務を行っています。そのほか、安全で安心な内視鏡検査を提供するために、内視鏡スコープの培養検査やATP検査を実施しています。
【生理機能検査】
患者さんと臨床検査技師が直接接する部門です。安全で質の高い生理検査を提供するだけではなく、患者さんとのコミュニケーションを大切にし、常に笑顔で明るく優しい“検査のほっとステーション”となるように頑張っています。
【超音波センター】
超音波センターは腹部や心臓をはじめ、乳腺、甲状腺、大動脈や頸動脈など多くの領域の超音波検査を行っています。中でも、消化器疾患に対する腹部造影超音波検査は全国でもトップクラスの検査件数であり、腫瘍の良悪性や血流の評価をしています。造影超音波検査で使用する造影剤は副作用が極めて少なく、腎不全の方でも使用できます。超音波で肝臓の硬さを調べる肝硬度(エラストグラフィー)は、肝臓疾患の程度や、肝がんのリスクを予測することができます。近年増加している代謝異常関連脂肪肝炎の超音波新規診断法の開発に携わり、臨床に貢献しています。また、心臓超音波検査では3Dでの評価を行なうことにより詳細な評価が可能です。また、2Dスペックルトラッキング法によるストレインイメージングにより心機能を客観的、定量的に評価できます。
主な検査・設備
採血室
採血室は1号館3階にあり、主に外来患者の採血を行っています。
【受付開始時間】 7:45
【採血時間】
開院日 8:15~16:45
受付~採血までの流れ
また、採血室では下記の検査も行っています。
出血時間、毛細血管抵抗試験
生化学・免疫検査
患者さんから採取された血液や尿などを用いて酵素や電解質、腫瘍マーカー、ホルモンなどを測定することで肝臓や腎臓などの臓器の機能評価、障害の程度や経過把握に役立てています。
生化学・免疫検査室の風景
生化学・免疫検査項目一覧
血液検査
血液検査室では、赤血球、白血球、血小板の数や大きさ、ヘモグロビン濃度などを調べる血球数算定や、白血球の分類や形態、赤血球や血小板の形態を調べる血液像検査、また、出血しやすい病気や血栓のできやすい病気などを調べる凝固線溶検査を行っています。
血液検査項目一覧
尿一般検査
尿一般検査室では、尿検査(定性、沈渣)、便検査(便潜血、虫卵)など、腎臓をはじめ各臓器の疾病の補助診断、及び治療の経過観察に必要な検査を行っています。
尿一般検査項目一覧
ヘリコバクター・ピロリ 尿素呼気試験
主に消化器内科と肝胆膵内科の患者さんを対象に行っています。胃の中にヘリコバクター・ピロリ菌がいないかを患者さんの息を用いて調べます。当日中に検査結果がでます。
検査にあたっての注意事項
一般細菌培養検査
グラム染色や培地を用いた培養で細菌の菌名を同定し、さらにその細菌に有効な薬剤を調べる検査です。検査結果は最短で1~3日を要します。
・主に検査室で検出できる細菌一覧
・ご自宅で検体を採取する際の注意点
迅速検査・特殊検査
キットを用いてインフルエンザウイルス抗原やノロウイルス抗原などを迅速に検査します。そのほかには赤痢アメーバやトリコモナス原虫の検索も行っています。当日中に検査結果がでます。
迅速検査・特殊検査一覧
遺伝子検査(微生物)
微生物検査室では遺伝子検査として「結核菌PCR」、「新型コロナウイルス検査」を行っています。検査結果は、結核菌PCRは最短で2~4日を要し、新型コロナウイルス検査は当日中に結果がでます。
心電図検査
脈の乱れ、胸の痛み、動悸、失神などの原因の究明あるいはその経過観察のために行う検査です。また、心電図を24時間記録するホルター心電図や、運動の前後や運動中の心電図を記録する負荷心電図も行っています。
【さらに詳しく】
肺機能検査
呼吸器の疾患が考えられる場合や、手術前などに行う検査です。息を吸ったり吐いたりしてもらいながら肺活量や換気機能などを調べます。また、気道炎症の程度を調べる検査も行っています。
【さらに詳しく】
血圧脈波検査 (PWV/ABI、CAVI/ABI)
血管のしなやかさ、硬さを調べる検査です。足首と上腕の血圧を測定し、その比率から動脈の狭窄や閉塞の程度を調べます。検査時間は約15~30分です。血栓や動脈瘤があると言われた方や、血圧測定ができない方は、検査できないことがあります。
脳波検査
頭部に20個程の電極を装着し、脳の電気的な変動をとらえることで脳の活動状態を調べます。ベッド上で、目を閉じて安静にして行う検査であり、痛みは伴いません。検査中、目の前でライトを点滅させることや、3分間深呼吸をすることもあります。検査時間は約1時間です。お薬を服用してもらう場合もあり、体動が激しい場合は検査できないことがあります。
筋電図検査
神経に電気刺激や磁気刺激を与えて、刺激が伝わる速さや反応の大きさを計測します。運動障害(動きにくさ、脱力など)や知覚障害(感覚の鈍さ、しびれなど)の原因や程度などを調べるための検査です。電気・磁気刺激を使用する検査は痛みを感じる場合がありますが、体に害はありません。
【さらに詳しく】
聴力・平衡機能検査
いろいろな高さや大きさの音を出して耳のきこえの程度を調べたり、言葉の聞き取り能力を調べたりします。検査は周囲の雑音を遮断するために防音室で行います。また、めまいのある患者さんに対しては平衡機能検査を行っています。
【さらに詳しく】
腹部(胸腹部)超音波検査
腹部に超音波を発信し、その反射波(エコー)を利用して画像化・解析する検査です。主に肝臓、胆のう、膵臓、脾臓、腎臓などの臓器に異常がないか、腹部にゼリー剤を塗り、プローブ(探触子)をあてて観察します。
造影超音波検査
腹部臓器(肝臓)の腫瘍の診断では、腫瘍の血流評価が重要です。造影超音波検査は、副作用の極めて少ない超音波造影剤を使って腫瘍の診断をする検査です。
肝硬度検査
慢性肝疾患などの肝臓の状態を把握するため、超音波を使用して肝臓の硬さを調べる検査です。
心臓超音波検査
心臓の形態の異常や、心臓の動きや機能を見る検査です。心臓の大きさや壁の厚さ・動き、弁の状態などがわかります。また血液の流れなどを観察し、ポンプが正常に働いているかを調べる検査です。
甲状腺・頸部超音波検査
甲状腺の大きさや、腫瘍の有無、腫瘍の大きさや位置、形状、内部の状態などを調べる検査です。
乳腺超音波検査
乳腺の腫瘍の有無、腫瘍の大きさや位置、形状、内部の状態などを調べる検査です。
頸動脈超音波検査
首の左右にある頸動脈の血管の太さ、動脈硬化の程度、血液の流れなどを見る検査です。血管の内側にプラークや血栓がないか、狭窄や閉塞がないか調べる検査です。
下肢血管超音波検査
エコノミー症候群などの原因である下肢静脈血栓症や、歩くと足が痛くなるような閉塞性動脈硬化症の診断を行うための検査です。
表在超音波検査
皮膚などの表面に近い部分にできた腫瘍や炎症を調べる検査です。
不規則抗体スクリーニング
不規則抗体は、輸血や妊娠により自分のものとは違う血液が体内に入ることで反応して作られる抗体のことをいいます。この検査では、抗体が作られていないか、作られていた場合、どういう種類の抗体かを調べます。
フローサイトメトリー
白血球の表面にある抗原を調べる検査です。表面抗原の種類で、T細胞・B細胞・NK細胞などを見分けることが出来ます。
キットを用いた8色フローサイトメトリーによる先進的なリンパ腫解析、骨髄腫解析を行っております。
再生医療等製品に関する業務
間葉系幹細胞輸注やCAR-T細胞療法の支援をはじめ、再生医療等製品の管理を行っています。また、特定細胞加工物製造施設として、各種製造支援も行います。
支援や管理は細胞治療認定管理師資格を有した技師が対応します。
造血幹細胞移植に関する業務
造血幹細胞(骨髄、末梢血幹細胞、さい帯血)移植を行う時に、造血幹細胞がどれくらい含まれているのか、品質確認の検査をしています。手術センターで骨髄採取時の支援を行ったり、病棟でさい帯血の解凍作業を行ったりしています。
院内製剤 クリオプレシピテートの作製
クリオプレシピテートは、献血された血漿製剤から出血を止める成分を濃縮し作製しています。手術中に血液が止まりにくくなった状態を食い止める目的で使用されます。
院内製剤 自己クリオの作製
患者さんの自己血から自己のクリオプレシピテートを作製します。トロンビン液と混合して塗布することで、止血作用や組織接着作用等があります。(現在は脳神経外科のみ対応しております)
輸血副作用への対応
輸血を行うことで蕁麻疹や発熱が起こることがあります。重篤な症例では、その原因を日本赤十字社へ調査を依頼することがあり、その対応窓口となります。
病理組織検査
患者さんから内視鏡や手術等で採取された臓器や組織を、臨床検査技師が染色等を行い、標本作製しています。病理専門医が顕微鏡で標本を観察し、最終診断を行います。
細胞診検査
尿や喀痰等の中に剥がれ落ちた細胞や、乳腺、甲状腺などの病変部から穿刺吸引して採取した細胞、子宮から綿棒やブラシを用いて採取した細胞等を、染色して標本作製しています。その標本を顕微鏡で観察して、がん細胞がないか、炎症や感染など種々の病変を細胞検査士がスクリーニングし、細胞診専門医が診断します。外来で患者さんのそばで採取後すぐに標本を染色して、診断できる細胞が採れているか判定することもあります。
術中迅速組織検査
手術中に採取された組織を、臨床検査技師が標本作製しています。がんかどうか、転移がないか、腫瘍が取り切れているか等を病理専門医が手術中に診断します。術式や切除範囲を決定するための検査です。
術中迅速細胞診検査
手術中に採取された胸水や腹水を標本作製し、がん細胞がないかどうかを細胞検査士がスクリーニングします。細胞診専門医によって最終診断が行われます。術式や治療方針、予後を決定するための検査です。
遺伝子検査
病理組織検査や細胞診検査の検体を用いて、がん細胞の遺伝子を臨床検査技師が検査します。薬物治療の適応等を調べるための検査です。
病理解剖
不幸にして病気で亡くなられた患者さんのご遺体を、ご遺族の承諾のもとに解剖させていただきます。治療の効果や病気の経過、死因等を調べるための検査です。主治医立会いの下、死体解剖資格を有する病理専門医とともに、臨床検査技師が介助して行っています。
診療実績
2024年の診療実績
検体検査 | 6,037,968 |
微生物検査 | 93,160 |
採血者数 | 160,937 |
生理機能検査 | 55,933 |
超音波検査 | 38,382 |
輸血検査 | 70,926 |
病理組織検査 | 15,707 |
細胞診検査 | 7,396 |
サテライト検査室 | 14,666 |
2023年の診療実績
検体検査 |
6,252,144 |
微生物検査 | 97,251 |
採血者数 | 160,392 |
生理機能検査 | 55,431 |
超音波検査 | 39,060 |
輸血検査 | 76,869 |
病理組織検査 | 15,443 |
細胞診検査 | 7,473 |
サテライト検査室 | 13,853 |
2022年の診療実績
検体検査 | 6,064,841 |
微生物検査 | 109,972 |
採血者数 | 158,720 |
生理機能検査 | 49,930 |
超音波検査 | 36,811 |
輸血検査 | 84,483 |
病理組織検査 | 13,538 |
細胞診検査 | 7,608 |
サテライト検査室 | 12,178 |
2021年の診療実績
検体検査 | 5,871,622 |
微生物検査 | 112,151 |
採血者数 | 156,262 |
生理機能検査 | 47,985 |
超音波検査 | 36,177 |
輸血検査 | 77,994 |
病理組織検査 | 12,568 |
細胞診検査 | 7,595 |
サテライト検査室 | 12,537 |
2020年の診療実績
検体検査 | 5,653,834 |
微生物検査 | 88,119 |
採血者数 | 152,526 |
生理機能検査 | 44,802 |
超音波検査 | 36,810 |
輸血検査 | 78,240 |
病理組織検査 | 12,582 |
細胞診検査 | 7,528 |
サテライト検査室 | 13,982 |
