よくあるご質問

Question
悪性胸膜中皮腫の治療法、および兵庫医科大学病院での治療プログラムはどのようなものですか?
手術によって悪性胸膜中皮腫の完全切除が期待できる場合(Ⅰ期からⅢ期)は、手術に耐えられるかを判定しうえで手術を含めた治療(集学的治療)を計画します。
手術によって悪性胸膜中皮腫の完全切除が期待できる場合(Ⅰ期からⅢ期)は、手術に耐えられるかを判定しうえで手術を含めた治療(集学的治療)を計画します。
手術には胸膜と肺を一塊に切除する胸膜肺全摘(EPP:Extrapleural pneumonectomy)と胸膜のみを切除する胸膜切除/肺剝皮術(P/D:Pleurectomy/decortication)があります。
切除不能な症例(ⅢB期・Ⅳ期)や体力的に手術に耐えられない場合は化学療法(シスプラチンもしくはカルボプラチン+ペメトレキセド)を計画します。
手術を行う場合、まず術前化学療法を3コース行った後に、手術を行います。胸膜肺全摘を行った場合、術後に放射線療法(54Gy/30回)を追加します。一方、胸膜切除/肺剝皮術を行った場合は、肺が残存する為、放射線療法を行うことが難しいので化学療法を再度行います。

Question
悪性胸膜中皮腫とはどんな病気ですか?
悪性胸膜中皮腫とは胸膜の“がん”(正確には胸膜を構成する中皮細胞のがん)で、比較的稀な腫瘍です。
発生にはアスベスト(石綿)の吸入(曝露)が強く関わっています。アスベストによる健康被害が問題となり、我が国でも2006年に全面使用禁止とされました。しかし、悪性胸膜中皮腫はアスベストの曝露から30-40年経って発生する為、今後も患者さんが増え続けると推測されます。アスベストの曝露方法は職業曝露(職場でアスベストを吸入した場合)と環境曝露(アスベストを扱う工場の近くに居住しており飛散してきたアスベストを吸入した場合)の2通りがあります。
壁側胸膜から発生した悪性胸膜中皮腫は、最初は袋状の胸膜の中で増殖します(ⅠA期)。次に隣接する肺、横隔膜、縦隔脂肪、心膜や限局性に胸壁(ⅠB期)します。さらに同側の胸腔内リンパ節に広がります(Ⅱ期、ⅢA期)。やがて、広範囲に胸壁に浸潤、心臓・大血管・気管・食道や腹腔内に進展、また対側の胸腔内リンパ節に転移します(ⅢB期)。最終的に遠隔臓器に広がります(Ⅳ期)。一般的に手術で切除出来るのはⅢA期までです。このような進行度は一般にIntemational Mesothelioma Interest Group (国際中皮腫研究会:IMIG)分類が使用されています。

Question
胸膜とは何ですか?
胸膜は肺と胸壁との間にある袋状に閉じた空間を形成する二重の膜です。
胸膜は肺と胸壁との間にある袋状に閉じた空間を形成する二重の膜で、外側の胸壁の膜を壁側胸膜、肺の表面の膜を臓側胸膜と呼びます。正常の胸膜はサランラップ程度の厚さ(数十ミクロン)ですが、がん化すると数㎜以上に肥厚します。