診療科について

ご挨拶
1. 産科
:妊娠の診断、妊婦健診、流産・早産・合併症妊娠等の管理、分娩、および産後のケア
2. 婦人科
:子宮・卵巣・卵管・腟・外陰部の良性・悪性腫瘍、炎症性疾患
3. 生殖内分泌
:思春期~更年期のホルモン異常、不妊症、体外受精、不育症
内科的治療、外科的治療 (内視鏡手術も含む)により、患者さんが早く健康を取り戻せるよう最大の努力を行っています。
柴原 浩章 (しばはら ひろあき) 診療部長
診療体制
産科・婦人科・生殖医学・女性医学に精通した豊富なキャリアを有する医師が診療にあたります。
産科婦人科では、日本産科婦人科学会専門医・指導医、婦人科腫瘍専門医、生殖医療専門医、産科婦人科内視鏡技術認定医、臨床遺伝専門医・指導医、超音波専門医の資格を有する医師を中心に、約20名の専門分野を有するスタッフで診療にあたっています。
高度な専門医療
【周産期部門】
総合周産期母子センターとして24時間体制で緊急母体搬送の受け入れをしています。
MFICU(母体胎児集中治療室)で、22週から37週未満の切迫早産やハイリスクのある母体と胎児を管理しています。
分娩時の大量出血などの母体救急に対し麻酔科、放射線科など他科と連携し母体の健康を守ります。
「産科セミオープンシステム」を取り入れています。妊婦健診は地域の近くの診療所で行い、分娩は設備の整った周産期センターで行う方法で、妊婦の利便性と分娩の安全性を保つように地域と役割分担を行っています。
マタニティヨガをインストラクターの資格をもった助産師が院内で行っております。心と体のリラックスを得、安産の準備のサポートをしております。
母親学級、父親学級は、妊娠中の過ごし方や不安をなくすことを目的としております。疑問な点があれば気軽に医師や助産師にご相談してください。
「出生前診断」については、全国でもトップクラスの実施件数があります。高年妊娠などの一般的な対象から、特定の遺伝性疾患をお持ちの方の出生前診断も実施しています。出生前診断については、十分な遺伝カウンセリングの上で、確定診断検査として羊水細胞や絨毛検査、非確定診断検査として母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査(NIPT)、母体血清マーカー検査、エコー検査を行っています。出生前診断については専用のホームページを開設していますので、 こちら をご覧ください。
【生殖医療部門】
本院産婦人科では1983年から体外受精・胚移植に着手し、既に35年を超える歴史を誇ります。1985年には初の体外受精児が無事誕生しましたが、免疫性不妊症の適応としては世界初の快挙でした。2013年には「生殖医療センター」を開設し、不妊症はもちろん、不育症の診療にも力を注ぎ、最先端の研究データをもとに診断と治療を行っています。また妊娠力を高めるための腹腔鏡、子宮鏡、卵管鏡といった生殖外科手術も積極的に行っており、妊娠の成立から分娩まで総合的に妊娠のサポートをさせていただきます。さらには2016年から「兵庫県がん・生殖医療ネットワーク」の中核施設として、妊孕性温存に対し積極的に取り組んでいます。
当センターは連日オープンしています(病院の診察日)。チーム医療として医師による診療をサポートするため、専属の看護師による心のサポートを受けていただくことができます。
一般社団法人・日本生殖医学会が認定する生殖医療専門医 (産婦人科:柴原 浩章、福井 淳史、脇本 裕、山谷 文乃) が中心となって診療を行っており、日本生殖医学会認定の生殖医療コ―ディネーター、ならびに公益社団法人・日本看護協会認定の不妊症認定看護師の松本豊美、不妊カウンセラーの濵本幸子が中心となり、サポートを行っています。また精子、卵子、受精卵の取り扱いは、福井淳史 安全管理者のもと、一般社団法人日本卵子学会が認定する生殖補助医療の胚培養士(堀口 菜保子、吉武 千織)が担当しています。
●研究データと最新の知見に基づいた世界最先端の不妊症・不育症の診断・治療を行っています。
●一般不妊治療から体外受精・胚移植、生殖外科的アプローチによる最適な不妊治療・不育症治療を提供します。
●妊娠の成立から分娩までを総合的に診療します。
男性不妊症の専門外来 (奇数週土曜日、 担当:生殖医療専門医 近藤 宣幸)。
不妊治療に関する説明会を月1回開催(原則第1土曜日午前11:00~、無料)。
【婦人科腫瘍部門】
がん治療はこれまでの手術、放射線治療、化学療法に加えて、低侵襲血管内治療に積極的に取り組んでいます。
手術は、低侵襲腹腔鏡手術に加え手術支援ロボット「ダビンチ」も可能です。
放射線治療は、子宮内に直接照射する装置(RALS)が整備されています。
がんゲノム医療時代にふさわしい自由診療も含めたテーラーメード治療の整備をしています。
主な検査・設備
NIPT検査
新型出生前診断と言われています。妊婦さんの血液に含まれている胎児DNAを検出し、妊婦さんの採血で胎児が13,18,21番染色体の数の異常をもっている可能性が高いかどうかを調べる方法です。
羊水検査
羊水を採取することにより、羊水中に含まれる胎児の細胞を調べ胎児に染色体異常があるかどうかを調べる確定診断検査です。
絨毛検査
妊娠早期の胎盤の一部を採取し、胎児の染色体異常や遺伝子疾患を診断するための検査です。
超音波検査
妊婦健診のときに、胎児の発育状況や異常の早期発見をするための検査です。
3D・4D超音波
3Dでは胎児を立体的に、そして4Dでは3Dの画像をリアルタイムで動いている画像をみることができます。
MRI
MRIを用いて胎児評価や前置胎盤の評価を行う画像検査で、超音波ではカバーできない鮮明な軟部組織の画像診断を行います。MRIは磁気を用いて行う検査で、被爆の心配がありません。
ヘリカルCT
胎児骨系統疾患の出生前診断で3次元ヘリカルCTを用いて、被爆量が少なく診断精度の高い放射線画像診断を行います。骨系統疾患の重症度を明らかにします。
体外受精・胚移植専用手術室
体外受精・胚移植の際の採卵と胚移植は専用の手術室で行います。
子宮卵管造影
子宮卵管造影とは、X線を用いて子宮の形と卵管の通過性をみる検査です。子宮形態異常や卵管閉塞、卵管狭窄を診断することができます。
3D超音波
子宮形態異常を把握することができます。
子宮鏡
子宮の中にあるポリープや筋腫、癒着のほか腫瘍性病変の有無、卵管の状態の把握もすることができます。
選択的卵管通水検査
子宮卵管造影で卵管の通過性が判然としなかった場合に卵管の通過性を確認するために行われます。子宮鏡をしながら卵管の入り口からカテーテルという細い管をいれて卵管の通過性を確認します。
子宮内膜免疫細胞検査
当院倫理委員会の許可のもと子宮内にある免疫担当細胞の検査を行っています。赤ちゃんを傷害する細胞の有無がわかります。
着床不全検査
着床不全の原因となり得る項目について、採血・超音波検査・子宮鏡検査・子宮内膜検査などを用いて総合的に検査・検査いたします。
不育症検査
不育症の原因となり得る項目について、採血・超音波検査・子宮鏡検査・子宮内膜検査などを用いて総合的に検査・検査いたします。
経腟腹腔鏡検査
不妊症の原因を検索するために、腟からお腹の中にカメラを挿入して、お腹にまったく傷を残すことなく、お腹の中を観察します。
コルポスコピー検査
頸がん検診で精査を勧められた患者さんに、治療が必要か判断するために拡大鏡で生検します。
経腹経膣超音波検査
骨盤内の子宮・卵巣・卵管の状況の画像検査
骨密度検査
骨粗しょう症の検査
主な対象疾患と診療内容
切迫早産
37週未満で早産の危険がある状態です。子宮口が開くことを予防するために陣痛を点滴で抑制し、絨毛羊膜炎を予防する治療を行います。頚管無力症の既往がある場合は、頚管縫縮術を行い早産を予防します。
多胎妊娠
流早産、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群などのさまざまな合併症がおこりやすいです。膜性診断が大切で、一卵性の双胎(一絨毛膜双胎)の場合は双胎間輸血症候群を発症するリスクがあり重大な後遺症を残す可能性があります。合併症を早期発見するために初期から後期まで2週間毎に妊婦健診を行います。状態により早期に入院管理することが多いです。
妊娠高血圧症候群
妊娠20週以降、分娩後12週までに高血圧、蛋白尿を認める状態です。重症な場合は、子癇発作をおこします。根本的な治療法がなく、安静と降圧剤投与を行います。母児の状況をみて分娩時期を決定します。
妊娠糖尿病
妊娠すると血糖値が上がりやすくなります。一定基準を超えると妊娠糖尿病と診断されます。診断された場合は適切な治療を行い、巨大児、新生児低血糖や妊娠高血圧症候群の合併症を予防します。
前置胎盤
胎盤が低い位置に存在し、子宮口を塞いでいる状態をいいます。超音波検査で診断されます。帝王切開での分娩が必要です。妊娠中に無症状で出血する場合があります。大出血や癒着胎盤を合併する可能性があり厳重な管理が必要です。
胎児奇形
超音波検査で診断します。水頭症、食道閉鎖、横隔膜ヘルニア、CCAM、臍帯ヘルニア、腹壁破裂、腎盂拡張、骨系統疾患などを診断します。NICU、小児外科と連携し治療します。
胎児発育不全
子宮内で胎児の発育が遅延し在胎週数に相当した発育が見られないものをいいます。原因を検索し厳重に管理します。胎児の予備能力が低下する前に適切な時期に分娩する必要があります。
不妊症
不妊症に関する検査を施行した後に性交のタイミング治療〜人工授精、体外受精・胚移植まで行うことができます。
不育症
最新の研究成果を元に最新の不育症診療を行うことを心がけています。不育症に関する検査を施行したのちに最適な治療法を提案致します。
子宮筋腫
すべての子宮筋腫が手術を必要とするわけではありません。患者さんの背景に基づいた診断を心がけ、手術が必要な場合には腹腔鏡、子宮鏡を用いた低侵襲治療を心がけています。
卵管性不妊症
卵管閉塞や卵管狭窄がある場合には卵管鏡手術により卵管の再疎通あるいは拡張を行うことができます。子宮鏡および透視を併用することにより非常に有効な成功率が得られています。
子宮内膜症
患者さんの背景に基づいた診断を心がけ、手術が必要な場合には腹腔鏡を用いた低侵襲治療を心がけています。
男性不妊症
泌尿器科生殖医療専門医との協力のもと薬物治療や手術治療を受けていただくことができます。
精巣生検
無精子症に対する治療として行われます。顕微鏡で精巣を見ながら精子を探すことにより良好な精子回収率が得られています。
多嚢胞性卵巣症候群
各種薬物治療から経腟腹腔鏡あるいは腹腔鏡を用いた手術まで行うことができます。
子宮内膜ポリープ
ポリープの状態により外来あるいは入院によりポリープ切除を行います。子宮への負担を少なくするため子宮鏡下に切除することを心がけています。
婦人科がん全般
各種ガイドラインに記載された標準治療のほか、最新の海外情報を含めた治療選択肢について、個別に対応しています。
月経異常
無月経、稀発月経など。原因を精査の上、適切なホルモン治療などを行います。
多のう胞性卵巣症候群
月経異常、多毛、肥満、不妊症などを呈します。診断の上、ニーズに合わせた治療を行います。
乳漏出性無月経・高プロラクチン血症
時に乳汁分泌を伴う月経異常です。適切なホルモン治療を行います。
早発卵巣不全
診断の上、ホルモン補充療法を行います。
過多月経・過小月経
個々の患者さんを状況を傾聴し、薬物療法、手術療法などを行います。
月経前症候群
カウンセリングの上、必要ならば薬物療法も検討します。
更年期障害
個々の症状を傾聴し、漢方治療、ホルモン補充治療を行います。
骨盤内感染症
原因疾患によって、薬物療法、手術療法を行います。
性感染症
原因に合わせて抗菌薬を使用します。
性分化異常症
個々の疾患に合わせて、患者に寄り添った治療を行います。
診療実績
2022年の診療実績
産科 | 分娩合計 | 394 | |
---|---|---|---|
帝王切開術 | 180 | ||
出生前診療 | 羊水検査 | 37 | |
母体血胎児染色体検査(NIPT) | 293 | ||
クワトロテスト | 38 | ||
生殖医療 | 人工授精 | 175 | |
採卵数 | 157 | ||
体外受精 | 43 | ||
顕微授精 | 100 | ||
体外受精/顕微授精併用 | 4 | ||
卵子凍結 | 8 | ||
その他 | 1 | ||
卵巣凍結 | 5 | ||
新鮮胚移植 | 2 | ||
凍結融解胚移植 | 153 | ||
悪性腫瘍 | 子宮頚がん | 広汎・準広汎子宮全摘術 | 14 |
その他 | 2 | ||
円錐切除術(高度異型性含む) | 16 | ||
子宮体がん・肉腫 | 根治術 | 9 | |
腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術 | 18 | ||
卵巣がん・卵管がん・腹膜がん | 根治術 | 16 | |
付属器・腫瘍摘出術 | 12 | ||
腹腔鏡生検 | 4 | ||
その他 | 10 | ||
良性疾患 | da Vinci | 子宮全摘術 | 8 |
開腹手術 | 子宮全摘術 | 15 | |
筋腫核出術 | 1 | ||
付属器摘出術・嚢腫摘出術 | 4 | ||
腹腔鏡手術 | 子宮全摘術 | 28 | |
筋腫核出術 | 11 | ||
付属器摘出術・嚢腫摘出術 | 29 | ||
子宮内膜症病巣除去術・癒着剥離術 | 5 | ||
その他 | 6 | ||
子宮鏡手術 | 筋腫核出術 | 6 | |
内膜ポリープ切除術 | 7 | ||
その他 | 6 | ||
卵管鏡手術 | 卵管形成術 | 3 | |
D&E | 流産・中絶 | 32 | |
子宮内膜増殖症 | 7 | ||
その他 | 0 |
2021年の診療実績
産科 | 分娩合計 | 443 | |
---|---|---|---|
帝王切開術 | 184 | ||
出生前診療 | 羊水検査 | 54 | |
母体血胎児染色体検査(NIPT) | 397 | ||
クワトロテスト | 52 | ||
生殖医療 | 人工授精 | 172 | |
採卵数 | 130 | ||
体外受精 | 54 | ||
顕微授精 | 59 | ||
体外受精/顕微授精併用 | 2 | ||
卵子凍結 | 11 | ||
その他 | 4 | ||
卵巣凍結 | 4 | ||
新鮮胚移植 | 6 | ||
凍結融解胚移植 | 174 | ||
悪性腫瘍 | 子宮頚がん | 広汎・準広汎子宮全摘術 | 10 |
その他 | 6 | ||
円錐切除術(高度異型性含む) | 30 | ||
子宮体がん・肉腫 | 根治術 | 13 | |
腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術 | 19 | ||
卵巣がん・卵管がん・腹膜がん | 根治術 | 18 | |
付属器・腫瘍摘出術 | 7 | ||
腹腔鏡生検 | 1 | ||
その他 | 8 | ||
良性疾患 | da Vinci | 子宮全摘術 | 4 |
開腹手術 | 子宮全摘術 | 18 | |
筋腫核出術 | 2 | ||
付属器摘出術・嚢腫摘出術 | 8 | ||
腹腔鏡手術 | 子宮全摘術 | 23 | |
筋腫核出術 | 22 | ||
付属器摘出術・嚢腫摘出術 | 54 | ||
子宮内膜症病巣除去術・癒着剥離術 | 1 | ||
その他 | 13 | ||
子宮鏡手術 | 筋腫核出術 | 4 | |
内膜ポリープ切除術 | 7 | ||
その他 | 5 | ||
卵管鏡手術 | 卵管形成術 | 4 | |
D&E | 流産・中絶 | 0 | |
子宮内膜増殖症 | 0 | ||
その他 | 1 |
2020年の診療実績
産科 | 分娩合計 | 456 | |
---|---|---|---|
帝王切開術 | 217(予定120、緊急97) | ||
出生前診療 | 羊水検査 | 65 | |
母体血胎児染色体検査(NIPT) | 459 | ||
クワトロテスト | 55 | ||
生殖医療 | 人工授精 | 179 | |
採卵数 | 122 | ||
体外受精 | 50 | ||
顕微授精 | 47 | ||
体外受精/顕微授精併用 | 3 | ||
卵子凍結 | 19 | ||
その他 | 3 | ||
卵巣凍結 | 11 | ||
新鮮胚移植 | 18 | ||
凍結融解胚移植 | 154 | ||
悪性腫瘍 | 子宮頚がん | 広汎・準広汎子宮全摘術 | 8 |
その他 | 8 | ||
円錐切除術(高度異型性含む) | 24 | ||
子宮体がん・肉腫 | 根治術 | 8 | |
腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術 | 17 | ||
卵巣がん・卵管がん・腹膜がん | 根治術 | 11 | |
付属器・腫瘍摘出術 | 6 | ||
腹腔鏡生検 | 1 | ||
その他 | 8 | ||
良性疾患 | da Vinci | 子宮全摘術 | 11 |
開腹手術 | 子宮全摘術 | 14 | |
筋腫核出術 | 2 | ||
付属器摘出術・嚢腫摘出術 | 7 | ||
腹腔鏡手術 | 子宮全摘術 | 16 | |
筋腫核出術 | 17 | ||
付属器摘出術・嚢腫摘出術 | 53 | ||
その他 | 7 | ||
子宮鏡手術 | 筋腫核出術 | 6 | |
内膜ポリープ切除術 | 4 | ||
その他 | 3 | ||
卵管鏡手術 | 卵管形成術 | 4 | |
D&E | 流産・中絶 | 1 | |
子宮内膜増殖症 | 1 | ||
その他 | 1 |