診療科について

ご挨拶
当科では、このデリケートな皮膚に関するあらゆるトラブルに対応させていただきます。痛みや痒みなどの苦痛をとり除き、悪性じゃないか、どこか内臓が悪いんじゃないか、原因は何か、などの不安をなくし、患者さんの皮膚の健康を取り戻せるよう、関係各科や関連病院、さらに全国、全世界の医師や研究者と積極的に連携し、全力を尽くして診療に当たります。
金澤 伸雄 (かなざわ のぶお) 診療部長
診療体制
特定機能病院の皮膚科として入院診療に重点を置き、皮膚悪性腫瘍・重症皮膚疾患・皮膚難病の急性期の治療を中心に診療・教育・研究を行っています。そのため、初診からすべて担当医の専門分野に応じた専門外来になります。また、乾癬、アトピー、皮膚外科、皮膚アレルギー外来を設け、より高度な皮膚科診療を提供します。
高度な専門医療
【皮膚悪性腫瘍】
ダーモスコピー検査による腫瘍の診断、病理組織学的診断、全身状態の評価、手術計画および実施、術中・術後管理、術後療法(抗PD-1抗体などの免疫チェックポイント阻害薬、分子標的薬、放射線療法など)、術後経過観察の一連をすべて行っています。手術では、所属リンパ節郭清に先立ち、PET-CT検査などを実施して、侵襲の少ない適切な治療法を提供します。
【乾癬・乾癬性関節炎・膿疱性乾癬】
重症度に応じてTNF-α阻害薬、抗p40抗体、抗p19抗体、抗IL-17抗体、抗IL-17受容体抗体などのバイオ製剤の注射や顆粒球除去療法を用いた新しい治療を取り入れ、適切なコントロールとQOLの改善を行います。また、新しい乾癬治療薬の臨床試験も実施しています。
【アトピー性皮膚炎】
重症の患者さんにはデュピルマブ(抗IL-4/13受容体抗体)などのバイオ製剤の注射やシクロスポリンによる治療を提供します。また、新しいアトピー性皮膚炎治療薬の臨床試験も適時実施しています。
【自己免疫性水疱症】
天疱瘡や水疱性類天疱瘡などの自己免疫性水疱症については、個々の患者さんの病状に応じ、ステロイドパルス療法や免疫グロブリンの大量静注療法を含め、適切な治療を提供します。
【下肢静脈瘤】
重症度評価に空気脈波検査(APG)、MR静脈撮影、ドップラー聴診などを行い、重症度に応じて、入院手術(結紮療法、瘤除去術、静脈抜去術、ラジオ波焼灼術)を実施しています。(硬化療法のみの治療、通院のみでの治療は行っていません。)
【漢方治療】
漢方療法の併用で、皮膚疾患の良好なコントロールをめざします。
【接触皮膚炎】
パッチテストによって、接触皮膚炎の原因を調べます。場合により、入院で行います。
主な検査・設備
セラビーム
エキシマフィルターを搭載した紫外線治療器で、乾癬やアトピー性皮膚炎に効果があります。
ダーモスコピー検査
皮膚腫瘍が良性か悪性かを判断する特殊なルーペです。
皮膚生検
皮膚を数ミリ切開、採取する検査です。皮膚炎の診断だけでなく、腫瘍が良性か悪性かを判断するために必要な検査です。当科では、年間400〜500件程度の皮膚病理組織検討を行っております。
静脈動態検査(空気脈波)
MRIやエコーと組み合わせて行い、静脈瘤の丁寧な診察を提供します。
主な対象疾患と診療内容
アトピー性皮膚炎
バイオ製剤の注射、シクロスポリン内服、漢方療法などを行っております。
薬疹・中毒疹
免疫チェックポイント阻害剤などの薬剤による皮膚炎の診療をしています。
乾癬
主にバイオ製剤の注射を行っており、診療実績は阪神間でトップです。
水疱症
主に入院で免疫抑制剤を用いた治療になります。
下肢静脈瘤
MRIやエコー、静脈動態検査(空気脈波)を用いた術前検査により、丁寧な診察・手技を心がけています。入院での手術が中心ですが、最新の治療である血管内焼灼術:ラジオ波(高周波)治療を導入しています。
基底細胞癌(皮膚がん)
切除手術を行っています。
悪性黒色腫(皮膚がん)
切除手術、免疫チェックポイント阻害剤、分子標的薬を用います。
有棘細胞癌(皮膚がん)
切除手術、化学療法、放射線治療を用います。
乳房外パジェット病(皮膚がん)
切除手術や集学的治療を行っています。
日光角化症・ボーエン病(皮膚がん)
切除手術を行っています。
診療実績
2023年の診療実績
初診(総計) | 603 | |
---|---|---|
アトピー性皮膚炎 | 161 | |
乾癬 | 71 | |
薬疹・中毒疹 | 84 | |
自己免疫性水疱症 | 18 | |
悪性腫瘍 | 44 | |
良性腫瘍 | 225 | |
皮膚病理組織検討件数 | 291 |
2022年の診療実績
初診(総計) | 663 | |
---|---|---|
アトピー性皮膚炎 | 241 | |
乾癬 | 120 | |
薬疹・中毒疹 | 59 | |
自己免疫性水疱症 | 27 | |
悪性腫瘍 | 59 | |
良性腫瘍 | 157 | |
皮膚病理組織検討件数 | 243 |
2021年の診療実績
初診(総計) | 651 | |
---|---|---|
アトピー性皮膚炎 | 200 | |
乾癬 | 82 | |
薬疹・中毒疹 | 127 | |
自己免疫性水疱症 | 6 | |
悪性腫瘍 | 60 | |
良性腫瘍 | 167 | |
皮膚病理組織検討件数 | 382 |