手術支援ロボット「ダビンチXi」による低侵襲手術を積極的に実施 ~胃がん手術 50症例に到達~
兵庫医科大学病院では、患者さんの体への負担が少ない手術支援ロボット「ダビンチXi」による手術を積極的に実施しています。
このダビンチは、熟練した外科医でも困難な繊細な動きを可能にした支援ロボットで、外科医がロボットアームを操作して手術を行います。
2019年3月29日(金)には、上部消化管外科での胃がん手術症例が50症例に達しました。
また、4月16日(火)には、産科婦人科にて子宮筋腫の手術を開始することが決まっています。
【兵庫医科大学病院におけるダビンチ手術実績】 (2019年4月8日現在)
対象疾患 | 手術実績 | 診療科 |
---|---|---|
前立腺がん | 326例 | 泌尿器科 |
腎がん | 46例 | 泌尿器科 |
胃がん | 52例 | 上部消化管外科 |
直腸がん | 3例 | 下部消化管外科 |
胃がん手術50症例を超えて(上部消化管外科 主任教授 篠原 尚)
当科では、2018年4月の保険診療承認に先立ち、2017年6月より胃がん手術に手術支援ロボット“ダビンチ”を導入しましたが、おかげさまで2019年3月末をもって50例に達しました。
幸いこの間事故なく安全なスタートを切ることができ、われわれを信頼しお命を委ねてくださった患者様には心より感謝致しております。
ダビンチは手ブレ防止機能と自由に曲がる多関節鉗子(かんし)をもち、外科医は自然な奥行き感が得られる立体的な画像を見ながら、複雑で細やかな動きをすることができます。
2018年8月には最新型の「ダビンチXi」に更新し、操作性はさらに向上しました。
とりわけ消化管再建における縫合操作では圧倒的な威力を発揮します。
複雑な逆流防止機構を付加した食道残胃吻合(ふんごう)が可能になったため、最近増えている胃上部がん・食道胃接合部がんに対する噴門側胃切除術の選択肢が大きく広がりました。
また、手術の安全性が一段と高まり、胃がん手術の代表的な術後合併症である膵液漏、縫合不全はこれまで一例も発生しませんでした。
導入以来、手術を受けられた患者さんの満足度は高く、われわれと一緒にダビンチの威力を感じていただいているところです。
もちろん、いかにダビンチが優れた能力と将来性を有していたとしても、それを生かすのは外科医の普段からのたゆまぬ修練であることは言うまでもありません。
ここまでは適応をある程度限定し、慎重に導入して参りましたが、今後適応を拡大していくにあたり、チーム一丸となって手術手技の向上、診療内容の充実に努めて参る所存です。
【上部消化管外科におけるダビンチ手術実績】
術式 | 手術実績 | 備考 |
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胃全摘 | 11例 | |
幽門側胃切除 | 30例 | |
噴門側胃切除 | 9例 | (開腹・腹腔鏡手術に比べて比率が高い) |
投稿日:2019/04/10