疾患概要
皮膚の細胞が悪性化したものを皮膚がんと呼びます。悪性度が高い「悪性黒色腫(メラノーマ)」、日本人で最も多い皮膚がんの「基底細胞がん」、カリフラワー状になる「有棘細胞がん」、陰部や脇に出現する「乳房外パジェット病」などが代表的です。
原因・症状
皮膚がんの原因はさまざまですが、最も大きいのは紫外線の影響です。紫外線により細胞の遺伝子が傷つきがん化が促されます。その他に放射線、ヒ素などの化学物質、慢性的な刺激なども原因になります。
皮膚がんの特徴は、目に見えるため自分でも見つけられることです。色、形、盛り上がり、出血、増大傾向など、異変を感じたらすぐに皮膚科を受診してください。
検査
皮膚がんは視診や触診がとても大事です。詳しく調べるために特殊な拡大鏡を使用した検査(ダーモスコピー)や、病変組織の一部を採取し顕微鏡で調べる検査(皮膚生検)を行うことがあります。
転移の可能性がある場合は画像検査(エコー、CT、MRI、PET-CTなど)で全身を調べます。また、がんの種類によっては遺伝子変異を調べることがあります。
治療
腫瘍の完全切除をめざし、手術が治療の第一選択になります。リンパ節に転移している場合は、その周囲のリンパ節をまとめて切除(リンパ節郭清術)します。
手術以外の治療には化学療法(抗がん剤)や放射線療法があり、手術による根治が難しい場合や術後の再発予防のために行います。最近では化学療法が進歩し、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などの新しい治療が行えるがんもあります。
患者さんの皮膚の悩みに寄り添う
皮膚は、非常に薄いながら全身を覆う、実は人体最大の臓器です。外界を隔て内臓を守るバリアであると同時に、センサーだらけの接点でもあり、強靭かつ柔軟に、常に変化しています。ただ、その不安定な状態が人目にさらされることで、精神状態だけでなく社会生活にも大きく影響します。
当科では、このデリケートな皮膚に関するあらゆるトラブルに対応させていただきます。痛みや痒みなどの苦痛をとり除き、悪性じゃないか、どこか内臓が悪いんじゃないか、原因は何か、などの不安をなくし、患者さんの皮膚の健康を取り戻せるよう、関係各科や関連病院、さらに全国、全世界の医師や研究者と積極的に連携し、全力を尽くして診療に当たります。
金澤 伸雄(かなざわ のぶお)診療部長