疾患概要
皮膚では常に新しい細胞が作られ、垢としてはがれていく「ターンオーバー」を繰り返しています。
乾癬の患者さんの場合、その周期が極端に短くなり、不完全な角質がフケのようにボロボロとはがれてしまう特徴的な皮疹が現れます。
原因・症状
乾癬になりやすい遺伝的素因に色々な環境因子(不規則な生活や食事、ストレス、肥満、感染症、特殊な薬剤など)が加わると発症する、と言われています。
表面に銀白色の鱗屑(フケ)をのせる境界明瞭で赤く盛り上がった皮膚が、日常的に刺激を受けやすい頭髪内、肘、膝、お尻、すねなどにできます。大きさや数、形はさまざまで、まれに全身に広がることもあります。
かゆみは約半数の患者さんにみられ、爪の変形や関節炎を伴うこともあります。
検査
特徴的な乾癬の皮疹は、視診や触診で診断することができます。しかし、慢性湿疹やその他の皮膚疾患と区別が難しいこともあり、そのような場合は皮膚の一部を採取し顕微鏡で調べる検査(皮膚生検)を行います。
治療
皮膚に対する外用療法(塗り薬)、紫外線療法と、全身に対する内服療法(飲み薬)、抗体療法(注射薬)を組み合わせて治療します。
塗り薬にはステロイド、ビタミンD3とそれらの混合剤があります。飲み薬にはレチノイド、シクロスポリン、メトトレキサート、アプレミラストなどがあります。注射薬は生物学的製剤ともいい、高額ながら治療効果が高く、点滴投与するものや自己注射するものなどさまざまな種類があります。症状や患者さんのライフスタイルに合わせて薬剤を選択します。
患者さんの皮膚の悩みに寄り添う
皮膚は、非常に薄いながら全身を覆う、実は人体最大の臓器です。外界を隔て内臓を守るバリアであると同時に、センサーだらけの接点でもあり、強靭かつ柔軟に、常に変化しています。ただ、その不安定な状態が人目にさらされることで、精神状態だけでなく社会生活にも大きく影響します。
当科では、このデリケートな皮膚に関するあらゆるトラブルに対応させていただきます。痛みや痒みなどの苦痛をとり除き、悪性じゃないか、どこか内臓が悪いんじゃないか、原因は何か、などの不安をなくし、患者さんの皮膚の健康を取り戻せるよう、関係各科や関連病院、さらに全国、全世界の医師や研究者と積極的に連携し、全力を尽くして診療に当たります。
金澤 伸雄(かなざわ のぶお)診療部長