兵庫医科大学病院
血液内科

悪性リンパ腫

疾患概要

悪性リンパ腫は、血液の細胞のがんの中で一番多い病気です。

リンパ球ががん化して異常に増えることで、リンパ節やその他のリンパ組織にかたまりを作ります。リンパ節は全身にあるため、全身のどこにでもかたまりができる可能性があります。悪性リンパ腫は一つの病気ではなくたくさんのタイプ(組織型)があり、それぞれ治療法が異なります。

そのため、正しく診断し、そのタイプにあった治療をすることが重要です。リンパ腫の治りやすさ(予後)はタイプによって大きく異なりますが、基本的には抗がん剤治療(化学療法)や放射線治療が有効な病気です。

原因・症状

悪性リンパ腫は、リンパ球に遺伝子異常が生じて起こりますが、その原因ははっきりしていません。ただし、成人T細胞性白血病リンパ腫とよばれるリンパ腫については、HTLV-1ウイルスの感染が原因となります(九州、沖縄出身の方に多いです)。

リンパ腫の症状は、どこにかたまりを作っているかで異なります。くび、わき、足のつけねのリンパ節が大きく腫れることで気づくことがありますし、お腹の中でリンパ節が腫れている場合には腹部膨満感などの症状がでます。微熱、寝汗が起こることもあります。

検査

悪性リンパ腫が疑われた場合には、腫れているリンパ節(かたまり)の一部をとって詳しい検査を行います(生検といいます)。

診断は病理医が行いますが、兵庫医科大学病院では、リンパ腫のエキスパートである病理医が詳しい検討を行っていますので、正確かつ詳細な診断が可能です。

リンパ腫の診断が確定すれば、リンパ腫の体の中での広がりを調べるため、PET/CT検査を行います。多くの場合、骨髄(こつずい:骨の中で血液の細胞が作られているスペース)の検査も行います。

治療

悪性リンパ腫は、抗がん剤治療(化学療法)が有効な病気です。リンパ球の中でもB細胞ががん化したリンパ腫(リンパ腫全体の70%)の場合は、抗がん剤と抗体(免疫治療)を組み合わせた治療を行います。リンパ腫のタイプ(組織型)、病気の広がり(ステージ)によりますが、3週間に1回の治療を6回繰り返すことが多いです。

兵庫医科大学病院では、治療の導入を入院で行った後、多くの患者さんが自宅で過ごしながら通院で治療する「外来化学療法」を受けておられます。体調によりますが、仕事を続けながら外来化学療法を受けることも可能です。

病気が再発した場合には、抗がん剤治療のほか、自家移植、放射免疫療法、同種移植などの治療が選択肢となりますが、当院では保険適応となっているすべての治療が可能です。さらに2019年より、CAR-T細胞治療という新たな細胞治療を大阪、兵庫エリアで初めて導入しました。

CAR-T細胞治療について

CAR-T細胞治療は、患者さんご自身のリンパ球(T細胞)に遺伝子を導入し、リンパ腫細胞(B細胞)を攻撃させるという新たな治療です。標準的な治療により効果が得られない、あるいは再発したびまん性大細胞型B細胞リンパ腫がこの治療の適応となります(その他にも条件があります)。

兵庫医科大学病院では2019年からこの治療を開始し、2021年3月1日現在、32名の患者さんに治療を受けていただきました。

血液内科

すべての血液疾患に対して専門的な治療を

血液の病気には、血液のがん(悪性リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫等)以外にも、出血した時に血がとまりにくくなる病気(血友病、凝固異常症)や血液の成分をうまく作れなくなる病気(再生不良性貧血等)があります。血液の病気の頻度はそれほど高いものではなく、診断、治療には高い専門性が必要です。当院では、血液の病気それぞれのエキスパートにより、個々の患者さんに適した治療を受けていただくことができます。悪性リンパ腫、急性リンパ性白血病や多発性骨髄腫に対するCAR-T細胞治療など、新しい治療を積極的に取り入れているのも特徴です。また、HIV感染症に関しても中核拠点病院として診療を行っています。

吉原 哲(よしはら さとし)診療部長

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〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1-1

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