兵庫医科大学病院
呼吸器内科

過敏性肺炎

疾患概要

カビやほこりといった微細な粉塵(ふんじん)の吸入が原因で、特定の物質(アレルギーの原因として抗原と呼ばれる)に対する免疫反応として肺や細気管支にアレルギー性の炎症を起こしてしまう病気(間質性肺炎のうちの1つ)です。
細菌やウイルスなどの微生物が肺の中で増殖してしまう、いわゆる 「肺炎」とは異なります。
アレルギー性の病気であるため花粉症と同じように、同じ抗原を吸っても発病する人としない人がいます。
発症の様式と病変の特徴による2つの分類が存在します。
<発症の様式>急性・慢性
 急性:抗原を吸引して数時間~半日ほどの経過で症状が出現します。
 慢性:徐々に空咳や運動時の息切れといった症状を感じるようになります。
<病変の特徴>非線維性・線維性
CT検査などの画像所見や、生検(病気の肺の一部を採取して顕微鏡で確認)で線維化(肺が次第に固くなる変化を示す)の所見が認められるかどうか(医師の診断による)により区別されます。

原因・症状

アレルギーをおこす抗原としては100~200種類以上の原因物質が知られていますが、住宅環境や職業に関わる物質であることが多く、実際にはカビの胞子や鳥に関連するたんぱく質(鳥排泄物や羽毛)などがあります。

症状としては乾いた咳(痰を伴わない)、運動時の息切れ、発熱、疲労感などです。入院したり、職場から離れたりするなど、抗原から離れることでこれらの症状が改善します。急性では咳嗽の他に発熱・息切れが急に出現しますが、慢性の経過の場合、発熱や体のだるさよりも、運動した際の息切れと咳のみが症状の中心になります。

検査

胸部レントゲンや胸部CTなどの画像検査を行い、血液検査で全身性の炎症所見を反映する白血球数の増加やCRP、LDという項目の値が上昇します。また間質性肺炎の1つであることからKL-6、SP-D (サーファクタントプロテインD)という血液検査の項目も疾患マーカーとして使われています。また呼吸機能検査、動脈血液ガス分析や運動時の酸素飽和度測定で病勢の進行具合の評価を行います。より詳しい検査としては気管支鏡や、外科的肺生検を行いますが、検査にともなうリスクもあるため主治医と話し合いながらすすめていくことになります。入院によって抗原から離れることでいったんよくなった症状が、自宅や職場に行って、再び抗原を吸入してしまい、症状が悪化することが特徴です。原因となる抗原を決定するために、血液検査で特異的抗体として抗トリコスポロン抗体と鳥特異的抗体の測定が可能ですが、そのほかの抗原については実臨床レベルでは有用な検出法は存在していません。そこで実際の住宅環境などの環境調査を行うこともあります。

治療

治療の大原則は、抗原から逃れることです。症状が軽い場合には抗原から逃れることだけで改善しますが、より重症の場合には息切れに対して酸素療法が必要になることや、過剰な炎症を抑えるためにステロイド薬での薬物療法を要することもあります。
再燃を予防するためには、住宅関連の場合、まずは家屋の清掃が必要になりますが、これは患者さん自身では行わないことが大事です。掃除の最中に大量の抗原を吸引してしまい、病気を悪化させてしまう危険性があります。そのために必ず自分自身ではなく、ご家族や知り合いにお願いするかハウスクリーニングの業者に依頼するようしてください。それでも軽快しない場合には、転居も検討する必要があります。
慢性型や線維性の場合には、上記のステロイドでの薬物療法の他に抗線維化薬(ニンテダニブ)が用いられることもあります。このほかに、保険適応ではありませんが免疫抑制薬が用いられることがあります。

呼吸器内科

患者さんに安心し信頼していただける質の高い医療の提供を心がけて

呼吸器内科で診療を行う病気は、腫瘍、感染症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、間質性肺炎など多岐にわたります。
なかでも、WHOの2020年度全世界での死亡原因予想で上位となることが予測されるCOPD・肺癌・肺炎(結核含む)など頻度の高い疾患や、地域特性の高い悪性胸膜中皮腫について最新のエビデンスに基づいた治療を行うことができるよう取り組んでいます。
先端分野の臨床と研究の実践、医師をはじめとする医療人の臨床教育、受診される患者さんにとって安心できる呼吸器領域の医療の提供を心がけています。

木島 貴志(きじま たかし)診療部長/主任教授

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