兵庫医科大学病院
呼吸器内科

間質性肺炎

疾患概要

肺は、肺胞と呼ばれる小さな袋がたくさん集まってできています。肺胞の壁には毛細血管が張り巡らされており(※この部分を肺の間質と言います)、肺胞と毛細血管の間でガス交換を行っています。間質性肺炎は、この肺胞の壁に炎症や損傷が起こり、壁が厚くなる(=線維化)ためにガス交換がうまくできずに、体の中に酸素を取り込みにくくなる病気です。

原因・症状

間質性肺炎には、原因の「特定できるもの」と「特定できないもの」とがあり、「特定できるもの」には、関節リウマチや強皮症などに伴う膠原病肺、生活環境中のほこり・カビ・動物の毛などの慢性的吸入刺激による塵肺(じんはい)・過敏性肺臓炎、あるいは薬物・サプリメントなどに対するアレルギー反応である薬剤性肺障害などがあります。原因を特定できない間質性肺炎は特発性間質性肺炎といいます。特発性間質性肺炎には、さらにいくつかの病型があります。また、特発性間質性肺炎は国の難病指定を受けています(※)。
間質性肺炎の症状として、じっと安静にしている場合には感じないのに、歩行、階段昇降時、入浴、食事、排泄時に息切れを感じる「労作時(ろうさじ:運動時)息切れ」があります。また、痰を伴わない咳である「乾性咳嗽(かんせいがいそう)」に悩まされることがあります。ただし、初期にはあまり症状が無く、健康診断やその他の病気の全身検査(胸部レントゲンやCT)により、病気が見つかることもあります。通常、病気の進行は徐々に進行し、当初は労作時に息切れであったものが安静時にも息切れを感じるようになり、その場合には、酸素療法が必要になることもあります。場合によっては、風邪を引いたことなどがきっかけとなり、急速に病状が進行する「急性増悪(きゅうせいぞうあく)」を起こすことがあります。

※出典:難病情報センターサイト https://www.nanbyou.or.jp/entry/431

検査

間質性肺炎には、胸部レントゲンや胸部CTなどの画像検査を行い、血液検査で原因のある間質性肺炎かどうかの評価を行います。KL-6、SP-D (サーファクタントプロテインD)という血液検査の項目が疾患マーカーとして使われています。
また、呼吸機能検査、動脈血液ガス分析や運動時の酸素飽和度測定により、病気の状態・進行具合の評価を行います。より詳しい検査としては、「気管支鏡」や「外科的肺生検」を行いますが、検査に伴うリスクもあるため、主治医と話し合いながら進めていくことになります。



※右上図 気管支鏡
 出典:日本呼吸器学会サイト 
    https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=142 

治療

塵(じん)肺や過敏性肺臓炎、薬剤性肺障害など、原因が明らかな場合には、吸入物質の回避や、薬剤を中止にする必要があります。また、起こっている炎症を抑える目的で、副腎皮質ステロイドを用います。膠原病肺(こうげんびょうはい)や特発性間質性肺炎の中の一部に対しては、同様にステロイド薬や免疫抑制薬を用います。特発性間質性肺炎の中で一番多い特発性肺線維症に対してはステロイド薬を用いずに、抗線維化薬(ピルフェニドン、ニンテダニブ)が用います。抗線維化薬は、特発性肺線維症以外の慢性経過で線維化を伴う間質性肺炎の患者さんにも用いられますが、病気を治癒させることができないので、進行抑制が治療の目標になります。また、乾性咳嗽や息切れといった症状に対しては、それぞれ対症療法として鎮咳薬(ちんがいやく)、酸素療法が用いられます。

呼吸器内科

患者さんに安心し信頼していただける質の高い医療の提供を心がけて

呼吸器内科で診療を行う病気は、腫瘍、感染症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、間質性肺炎など多岐にわたります。
なかでも、WHOの2020年度全世界での死亡原因予想で上位となることが予測されるCOPD・肺癌・肺炎(結核含む)など頻度の高い疾患や、地域特性の高い悪性胸膜中皮腫について最新のエビデンスに基づいた治療を行うことができるよう取り組んでいます。
先端分野の臨床と研究の実践、医師をはじめとする医療人の臨床教育、受診される患者さんにとって安心できる呼吸器領域の医療の提供を心がけています。

木島 貴志(きじま たかし)診療部長/主任教授

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