疾患概要
気管支喘息(ぜんそく)とは、気道に慢性的な炎症を認めており、繰り返し起こる咳・喘鳴(ぜんめい)・呼吸困難を特徴とする疾患です。症状は一時的なものですが、治療を行わなかった場合は、炎症を長引かせることになりますので、発作の頻度が増えたり症状回復への時間が長くなったりしていくことがあります。
原因・症状
原因としては、遺伝的な要因や、アトピー体質、または周りの環境など様々な因子が絡み合って発症します。症状としては、発作性の咳、ヒューヒューといった喘鳴、呼吸困難が特徴的です。比較的、明け方や夜間に多く発症し、季節の変わり目、温度の変化でも発症しやすいと言われております。
検査
スパイロメトリーという肺機能の検査により、喘息に特徴的な気流制限がないかや、重症度を判定していきます。また、喘息患者さんは、呼気中の一酸化窒素濃度が上昇しますので、呼気一酸化窒素濃度検査により診断を行っていきます。その他、血液検査によって各種アレルギーの測定も行います。
治療
吸入ステロイド薬を治療の基本とします。効果不十分な場合は、吸入長時間作用性β2刺激薬、吸入長時間作用性抗コリン薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、テオフィリン製剤など、適宜追加して治療を行います。また、発作時には、短時間作用性β2刺激薬の吸入、おさまらない場合はステロイドの点滴も行います。これらの治療を行っても度々発作を繰り返す重症喘息の患者さんについては、IL-5等のサイトカインやIgEをターゲットとした注射製剤の治療も追加で行っていきます。
その他
喘息は放っておくと、徐々に進行していき、元に戻らなくなる可能性がある疾患です。早期治療で重症化を防ぐことが大事です。様々な治療薬がある中で、当院では患者さんに合った治療を提供いたします。
患者さんに安心し信頼していただける質の高い医療の提供を心がけて
呼吸器内科で診療を行う病気は、腫瘍、感染症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、間質性肺炎など多岐にわたります。
なかでも、WHOの2020年度全世界での死亡原因予想で上位となることが予測されるCOPD・肺癌・肺炎(結核含む)など頻度の高い疾患や、地域特性の高い悪性胸膜中皮腫について最新のエビデンスに基づいた治療を行うことができるよう取り組んでいます。
先端分野の臨床と研究の実践、医師をはじめとする医療人の臨床教育、受診される患者さんにとって安心できる呼吸器領域の医療の提供を心がけています。
木島 貴志(きじま たかし)診療部長/主任教授