兵庫医科大学病院
消化管内科

食道がん (化学放射線療法)

疾患概要

食道はのどと胃をつなぐ管状の臓器です。この臓器にできるがんのことを食道がんといいます。

現在、日本人における食道がんの患者数は男性はゆるやかに増えており、女性は横ばいとなっています。死亡率は男性で横ばい、女性で減少傾向にあります。食道がんは男性に多く、60~70 歳代に多いとされています。組織型(がん細胞の顔つき)は、扁平上皮がんが約90%と多く認められています。欧米においては、胃食道逆流症 (GERD:Gastroesophageal Reflux Disease) による食道の下部の炎症が要因となるバレットがん(腺がん)が多いとされていますが、わが国では発生数が少ないといわれています。

食道がんの治療は、「内視鏡治療」「外科手術」「化学(放射線)療法」がありますが、ここでは「化学(放射線)療法」について紹介します。

原因・症状

日本人に多い食道がんの危険因子としては、飲酒・喫煙といわれています。食道がんの死亡率は禁煙することにより26%減少、5年間禁酒することで22%減少、10年間禁酒することで35%減少すると報告されています。(※参考:「食道癌診療ガイドライン 2017年版」より)

食道がんの早期は自覚症状に乏しく、検診や人間ドックのバリウム検査や内視鏡検査で見つかることがあります。

がんが進行するにつれて、胸の違和感(しみる)、飲み物や食べ物のつかえ感、体重減少、声のかすれ(嗄声)、胸や背中の痛み(胸背部痛)、体重減少などがあります。症状を発症してからではがんが進行している可能性があるため、検診や人間ドックで検査を受けることが早期発見には極めて重要です。

検査

食道がんを見つける検査としては、バリウム検査、内視鏡検査(胃カメラ)がありますが、診断を確定するには内視鏡検査での生検(小さい鉗子で病変よりごく少量の組織を採取)による病理組織検査が必要です。その後、病期(ステージ)診断を行います。

ステージはT:病変の深さ(深達度)、N:リンパ節転移、M:他臓器への転移の3つで判断されます。ステージはI~IVまであり、がんが進むにつれて数値が上がります。

がんの病変の深さの評価としては超音波内視鏡検査、リンパ節転移や他臓器への転移の評価としては、CT検査やPET検査などを行います。また、血液検査としては腫瘍マーカーの測定を行います。

治療

化学療法とは抗がん剤治療のことを意味し、放射線治療を組み合わせる場合は、化学放射線療法と呼ばれることもあります。

食道がんにおける化学(放射線)療法は、「①手術前の補助治療として行う」「②根治療法(がんを治す)として行う」「③ステージ IV (根治の可能性が低い)に対して行う」という3つのケースがあります。

①手術前の補助治療として行うケース

ステージII、IIIにおいて、耐術能(手術に耐えられる状態)がある場合に選択され、がんを小さくしてから手術が行われます。場合によっては手術を先行して行い、その後に化学療法が行われることがあります。

②根治療法(がんを治す)として行うケース

ステージII、IIIにおいて、耐術能がない場合に選択されます。

③ステージIV (根治の可能性が低い)に対して行う

ステージIVにおいて、がんの根治が難しい場合に選択されます。2020年2月にオプジーボ®(一般名:ニボルマブ)の使用も可能となりました(適応はステージIVの二次治療)。

副作用について

抗がん剤の副作用としては、「骨髄抑制(白血球などの血液の中の血球が減る)」「粘膜障害(口の中や、胃腸の粘膜に炎症が起きる)」「脱毛(髪の毛が抜ける)」「発熱(感染しやすくなる)」「消化器症状(吐き気など)」がありますが、個人差があります。

放射線療法の副作用としては、痛みやつかえ感、皮膚の乾燥などがあげられます。また、晩期障害(治療後時間が経ってから出現する副作用)を認めることがあり、肺炎や心膜炎、胸水貯留、甲状腺機能低下などが起こることもあります。

食道がんの化学(放射線)療法は、複数の抗がん剤を組み合わせる(多剤併用)ことで、がんが治ることもあります。

消化管内科

患者さんに安心して受診いただける、最善かつ最高の医療を

消化管内科は2022年7月に炎症性腸疾患内科と統合し、食道がん・胃がん・大腸がんなどの消化管腫瘍、クローン病・潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患(IBD)、および機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群などの機能性消化管疾患をはじめとして、消化管疾患の全般にわたって診療しています。
当院は、国内でも有数のIBD診療数を誇る施設であるとともに、早期がん内視鏡治療のハイボリュームセンターでもあります。
最善かつ最高の医療を提供するベく日々努力するとともに、患者さんに安心して受診いただけるよう、エビデンスに基づきつつ一人ひとりの病状に応じた丁寧な診療を心がけています。

新﨑 信一郎 (しんざき しんいちろう)主任教授/診療部長

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