日本で頭痛に悩む人は約4,000万人と推計されています。慢性的な頭痛は生活の質に大きな影響を及ぼしますが、医療機関で治療を受ける人はまだ少ないようです。

「頭痛」って、どんな病気?

頭痛には種類があります

どの種類の頭痛なのかを、きちんと見極めることが重要です。

○ 1次性頭痛
いわゆる“頭痛もち”の頭痛。大きく3つに分けられます。
・緊張型頭痛
・片頭痛
・群発頭痛

○ 2次性頭痛
以下のような、はっきりした原因がある頭痛。
・くも膜下出血
・脳出血
・脳腫瘍 など

多いのは緊張型頭痛と片頭痛

締め付けられるように痛むのが緊張型頭痛。片頭痛では、寝込んでしまうなど生活に支障が出ることも。

いつもと違う痛みには要注意!

2次性頭痛は、放っておくと命の危険も。経験したことのない激しい頭痛に襲われたら、迷わず救急車を呼びましょう。

片頭痛の予防治療に力を入れています

頭痛には300以上の種類があるとされ、人によって症状も痛み方も実にさまざま。適切な治療法も違います。頭痛の種類や症状、治療について、脳神経内科の先生に聞きました。

脳神経内科 講師 笠間 周平

頭痛で困っているなら、ぜひ一度病院へ

問診が重要。しっかりとお話を伺います

まず注意しておきたいのは、頭痛の中には様子見をしていてはいけない種類のものがあるということです。いつもと違う激しい痛みを覚えたら、必ず病院へ行きましょう。

危険な頭痛か否かを診断するため、兵庫医科大学病院では、まず頭部CTやMRI検査を行います。検査で異常がなければ1次性頭痛と考えられます。これは大きく3つの種類に分けられます。

緊張型頭痛は、頭の両側を圧迫されたり締め付けられたりするように感じる比較的軽めの頭痛で、精神的ストレスも関係していると考えられています。最も多いタイプの頭痛で、市販の鎮痛薬で十分に改善することもあります。

片頭痛はズキズキと脈打つような頭痛で、吐き気や、ギザギザした光が見えるといった前兆を伴うこともあります。ストレスや天候、月経、飲酒などが誘因となります。光や音を不快に感じたり、体を動かすと頭痛がひどくなったりするので、部屋を暗くして寝込んでしまうことも多く、社会生活に支障が出てしまいます。

群発頭痛は、患者さんが少ない特殊な頭痛で、比較的男性に多く見られます。片方の目の奥が激しく痛むような発作が毎日ほぼ同じ時間帯に起こり、それがひと月ほど続きます。

また、鎮痛薬を月10日以上、慢性的に服用していると「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」を起こすことがあります。鎮痛薬の使用過多を防ぐためにも、現在当科が力を入れているのが片頭痛の予防治療です。発作を抑える予防薬には多くの種類がありますが、月1回の注射で済むような新しい薬が2021年に登場するなど、予防治療は日々進歩しています。

神経難病など脳神経内科で扱っているさまざまな病気の中には、検査で異常が見つからないものもたくさんあります。このため当科では、問診と診察を重視しています。頭痛についても、痛む頻度やタイミング、症状などが人によってかなり異なるため、特に初診時には時間をかけてお話を伺っています。

頭痛で困っている、頭痛薬をよく飲むといった方は、ぜひ一度医療機関に相談してください。