足白癬
足白癬とは、いわゆる「水虫」のこと。夏になると悩まされるという人もいるのでは?
再発や再感染を繰り返すことも多いので、きちんと知って、しっかり治しましょう。
「足白癬」って、どんな病気?
◆原因は白癬菌というカビの一種
白癬は、白癬菌というカビの一種が増殖して発生する感染症。皮膚表面にあるケラチンというたんぱく質が、白癬菌の栄養源になります。
◆初夏から夏に増える
白癬菌は高温多湿の環境で増殖しやすく、夏場に症状が現れます。夏を過ぎて治まっても、菌が潜んでいると翌年再発します。
◆日本人の多くは足白癬
多くの日本人が患っている足白癬。年齢が上がるほど、かかっている人も多くなるとされています。
「たかが水虫」と考えず根拠のある治療を
しっかりと治療しないと慢性化したり二次感染につながったりすることもあるという足白癬について、2020年10月に皮膚科の主任教授に着任した金澤先生に聞きました。
皮膚科 主任教授 金澤 伸雄
紛らわしい皮膚疾患もあるので、
自己判断は禁物
早めにかかりつけの
皮膚科を受診しましょう
足白癬は、足指の間や足の裏の皮がむけるほか、水ぶくれ、かゆみなどの症状が出ます。これらの症状は、実は、原因となる白癬菌を異物と認識して攻撃する免疫反応です。
白癬菌は、お風呂の足拭きマットやスリッパの共用などで足につくのですが、菌がついても、その日のうちに洗い落とせば問題ありません。菌がついた状態で靴を履くなどして長時間足が蒸れていると、増殖した菌が定着し感染が成立してしまいます。
症状は涼しくなると治まりますが、しっかりと治さないと再発したり、人にうつしてしまったりします。足の裏が硬くなり、ひび割れが生じるタイプの足白癬や、爪が白っぽく変色して厚くなる爪白癬は、慢性的な感染によるものです。また、足指の間のただれなどを放っておくと、蜂窩織炎など二次的な細菌感染症を起こすこともあります。
治療には塗り薬を用います(爪白癬の場合は飲み薬も)。体の抵抗力が落ちていると足白癬も治りにくいため、 大学病院の皮膚科では、他科の患者さんに足白癬があれば連携して治療することもあります。
予防法は、足拭きマットやスリッパなど、素足が触れるものを共用しないこと。日頃から足を清潔にし、時々靴を脱いで足を乾かすなどすると良いでしょう。足白癬と似た症状が出る皮膚病はたくさんあり、自己判断で市販薬などを用いると悪化することもあります。「水虫かな?」と思ったら、お近くの皮膚科を受診してください。
肌の露出が増える夏には、虫刺されや“とびひ”といわれる伝染性膿痂疹、植物によるかぶれなどにも気をつけましょう。皮膚がんのリスクを高める紫外線にも注意が必要です。
皮膚のトラブルは自分で見て触れるだけに、大学病院に来られる患者さんはさまざまな不安を抱えていることと思います。当科では、しっかりと検査し治療の方向性を示すこと、そして笑顔になって帰ってもらうことを目標に診療を行っています。地域のクリニックや病院とも連携しているので、まずはお近くに、気軽に相談できるかかりつけ医を持っていただくようお願いします。