形成外科
全身のけがや傷あと、変形、できもの、あざなどの治療にあたる形成外科。患者さんの「生活の質」を高めることを主な目的に、高度な技術を駆使し診療を行っています。
「形成外科」って、どんなところ?
「形」と「機能」の回復をはかる専門外科
けがや手術によってできた傷を、体の動きや顔の表情といった機能面にも配慮しながら治す専門外科です。
・外傷をきれいに治す
・皮膚の表面の腫瘍を取る
・生まれつきの変形を治す
・がんなどの手術後の再建手術
・あざやシミを消す
など
治療の対象は頭から足の先まで
頭部から手足の先まで、手術を中心に、レーザー照射や注射、薬なども用いて治療を行います。
生後間もない赤ちゃんの手術も
治療が必要な疾患などには先天的なものと後天的なものがあり、生後3カ月の赤ちゃんから高齢の方まで幅広く診ています。
「心の安らぎ」に
つながる診療をめざして
形や機能の回復を担う形成外科の治療には、患者さんの心理的なストレスを取り除くという側面もあります。診療の内容や治療にあたる際のモットーについて、先生に聞きました。
形成外科 主任教授 垣淵 正男
話しやすい雰囲気づくりを心がけています
胸の内の想いを遠慮なく打ち明けてください
主に体の表面のけがや傷あと、変形・欠損を、手術を中心とした治療できれいにしたり元通りにしたりする形成外科。治療対象は広く全身に及び、顔面骨折の整復、皮膚腫瘍の切除のほか、乳がんや頭頸部のがんなどの手術によって失われた部分を再建する手術も形成外科で担当しています。また、眼瞼(まぶた)や眼窩(眼球が入っているくぼみ)など眼の周りの疾患に対する手術や、顔面神経麻痺の治療を積極的に行っていることも兵庫医科大学病院 形成外科の特徴の一つです。そのため、乳腺・内分泌外科や眼科、耳鼻咽喉科・頭頸部外科など、他科との連携は欠かせません。
手術では、肉眼で見えにくいほどの細い血管や神経をつなぐこともあり、その際には手術用の顕微鏡を見ながら行うマイクロサージャリーという技術を用います。ほかにも、患者さんのCT検査画像などをもとに3Dプリンターで実体モデルを作製して、手術をする前にシミュレーションをすることもあります。これにより、特に顔面骨の骨折手術や下あごの骨の再建などで、手術を的確に、かつ素早く実施することが可能になります。最近は、再生医療などの進歩も目覚ましいものがあり、患者さんのためにより安全で効果の高い治療が行えるようになってきています。当科では、全身のあらゆる疾患に対応できるような体制を整えており、安全性・有効性が確認された標準的な治療を高い技術力でご提供することをモットーに、日々研鑽を積んでいます。
傷や変形、あざなどに悩んでいらっしゃる患者さんは、その部分を動かしづらいといった機能の面だけでなく、見た目が気になって社会で生活しづらいなど心理面でもストレスを抱えていらっしゃることが少なくありません。形や機能だけでなく、気持ちまで健全な状態になっていただけるよう、さまざまな治療法・あらゆる技術を駆使して診療を行うのが形成外科の役目。診療の際には十分に時間をかけて患者さんの想いをお聞きするなど、常に患者さんに寄り添っていきたいと考えています。