総合内科
兵庫医科大学病院にある診療科の一つ「総合内科」。臓器や疾患ごとに診療科が細かく分かれている大学病院の中で、「総合内科」が果たしている役割をご紹介します。
「総合内科」って、どんなところ?
特定の診療科を決められない患者さんを診療
適する診療科がわからない患者さんの窓口となる「総合診療センター」で継続診療の必要があると判断されれば、「総合内科」で適切な初期診療を行います。
〈 患者さんは以下のような全身的な症状を抱えていることが多い 〉
体重の減少
熱が続く
食欲がない
意識を失った
など
横断的な視点で診療
各臓器などに細分化された専門的な診療科とは異なり、横断的かつ複合的な視点から全身を診察します。
「こころ」の問題や社会的背景も
なかなか原因が判明しない疾患の裏には、精神的・社会的な問題が隠れていることも。日頃の生活などについても聞きとります。
幅広い知識と経験で
地域社会に貢献したい
総合内科では、全身の症状に関して広く横断的な知識が求められます。地域の中で大学病院の総合内科が果たしている役割や、そこで行われている診療について、先生に聞きました。
総合内科 主任教授/総合診療センター長 新村 健
病院内や地域医療に携わる方々との連携が重要です
健康増進に役立つ情報発信も大切な役割の一つです
患者さんには「発熱が続く」「体重が減った」というような症状があるのに、なかなか原因が特定できないことは少なくありません。地域のかかりつけ医が大学病院のどの診療科を紹介すればよいのかわからなかったり、患者さんが受診先に迷ったりする場合、兵庫医科大学病院では、総合診療センターが窓口になります。総合診療センターでは、診察の上、「最も適した診療科はどこか」を判断してご紹介します。また、その段階での判断が難しい時には、総合内科で引き続き診療を行います。
総合内科では、臓器や病気を専門的に診る他科とは異なり、多分野横断的に内科診療を行っています。広く全身に症状が出ていたり、いくつもの症状に悩まされたりしている患者さんの診察では、しっかりとお話を伺うことが大切です。過去の病歴や薬の服用歴、家族構成や職業といった社会的な背景などもお聞きし、精神的あるいは社会的な問題が原因の一つと判断すれば、精神科神経科やソーシャルワーカーなどと連携して診療を進めることもあります。
医療がこれだけ進歩してもなお、原因がわからないケースはあります。当科では、大学病院における先進的な検査体制を駆使し、隠れている可能性がある病気を一つひとつ排除していくことで、つらい思いをしている患者さんの不安を取り除くよう努めています。
近年は、加齢によって生じる問題が増加しています。私は老年医学を専門の一つとしており、兵庫医科大学ささやま医療センターでは高齢者の生活習慣とフレイル(虚弱)に関する研究を行っています。フレイルとは、身体機能や認知機能の低下などから要介護のリスクが高まっている状態を指しますが、現在のコロナ禍で外出の機会が減る中、今後フレイルになる方が増加することを心配しています。特別なスポーツをしなくても構わないので、じっと座っている時間を減らして、日々の生活の中で活動量を増やすよう心がけてください。