診療科について

ご挨拶
まだまだ小さな診療部門ですが、地域の皆さまに信頼され、次世代を担う若い方々にとっても魅力ある診療科となることを目標にしています。
大植 孝治 (おおうえ たかはる) 診療部長
診療体制
現在は、日本小児外科学会指導医 2名、専門医2名の計4名のスタッフを中心に、外来・入院の診療を担当しています。
また、新生児を含めて年間約400件の手術を行っています。
高度な専門医療
● 新生児外科
新生児集中治療室(NICU)と連携して、周産期医療における外科治療を担当しています。
食道閉鎖症、腸閉鎖症、鎖肛、消化管穿孔、腹壁破裂などの緊急性の高い新生児外科疾患にも、即座に対応できる態勢をとっています。また、出生前に診断された小児外科疾患に対しては、産科や新生児科と連携して周産期管理に参加し、出生直後からの外科治療に対応しています。
特に先天性横隔膜ヘルニアや嚢胞性肺疾患といった生後早期から呼吸不全を呈する疾患においては、特殊な人工呼吸器による人工換気療法や一酸化窒素吸入療法などの最新の呼吸管理を行っています。
● 乳幼児外科
急性虫垂炎や腸重積症といった日常よくみる疾患ばかりでなく、胆道閉鎖症、胆道拡張症、ヒルシュスプルング病、嚢胞性肺疾患、小児がん(神経芽腫、腎芽腫、肝芽腫)などの高い専門性を要する疾患の外科治療も行っています。 こうした疾患では、手術だけでなく長期の経過観察が重要ですので、小児科をはじめとした関連各科とも連携して、病態に応じた綿密な治療と長期フォローアップを行い、患者さんにとってよりよい治療に取り組んでいます。
● 小児の内視鏡外科
身体への負担を減らし、将来にわたって手術による傷跡に悩むことのないように、内視鏡外科手術を積極的に取り入れています。当科では小児専用の手術器具を使用して、安全性を最優先にした手術を行っています。
現在実施している主な内視鏡外科手術は、鼠径ヘルニア根治術( 詳細はこちら )、虫垂切除術、腸重積症手術、胃瘻造設術、脾臓摘出術、胆嚢摘出術、メッケル憩室切除術、漏斗胸手術などです。
最近では、より傷の目立たない単孔式手術など、最先端の手術手技も積極的に導入しています。
● 障がい児・者に対する手術
隣接する障がい者施設(西宮すなご医療福祉センター)と連携して、障がい児・者に対するさまざまな外科的問題点にも対応しています。気管切開、胃瘻造設、胃食道逆流症に対する噴門形成術などを多くの症例に対して行っており、小児のみならず、キャリーオーバー患者(成人期に達した患者)に対しても、積極的に診療を行っています。
主な検査・設備
消化管造影検査
レントゲンにうつる造影剤という液体を使って、上部消化管や下部消化管の病気の有無を検査します。
消化管内視鏡検査
上部消化管内視鏡検査では食道、胃および十二指腸までの消化管粘膜の観察と生検、治療を行います。下部消化管内視鏡検査では直腸と結腸及び回腸末端までの消化管粘膜の観察と生検、治療を行います。小児では主に全身麻酔下に行います。
気管支鏡検査
気管内腔の観察や誤嚥した異物の摘出治療を行います。小児では主に全身麻酔下に行います。
肝生検
肝生検とは、腹部に生検針を刺し、肝臓の組織の一部を採取する検査です。さまざまな肝臓疾患の原因や病態を把握し、診断や治療方法を決定するために必要な検査です。小児では主に全身麻酔下に行います。
直腸生検
正常ではみられない直腸粘膜内のアセチルコリンエステラーゼ陽性神経線維の有無を調べてヒルシュスプルング病の診断に用います。
直腸肛門内圧測定検査
正常では肛門の括約筋に弛緩反射が認められますが、ヒルシュスプルング病では反射がないことをみる検査です。
主な対象疾患と診療内容
鼠径ヘルニア・陰嚢水腫
腹腔鏡下根治手術(LPEC)法を実施。おもに日帰り手術にて治療しています。
臍ヘルニア
外来での臍圧迫治療を行い、1歳以上では日帰りにて臍形成術を実施しています。
横隔膜ヘルニア
NICU(新生児科)と共同して根治手術・術前術後管理を行っています。
漏斗胸
陥凹した胸部に、金属バーを挿入して持ち上げる、Nuss法による手術を実施しています。
食道閉鎖症
NICU(新生児科)と共同して根治手術・術前術後管理を行っています。
十二指腸閉鎖症
NICU(新生児科)と共同して根治手術・術前術後管理を行っています。
小腸閉鎖症
NICU(新生児科)と共同して根治手術・術前術後管理を行っています。
直腸肛門奇形(鎖肛)
病型に応じて人工肛門造設術・根治手術を実施しています。
ヒルシュスプルング病
肛門内圧検査、造影検査などで診断し、根治手術を実施しています。
小児悪性腫瘍
小児科と共同で、集学的治療(手術、化学療法、放射線治療)を行っています。
胃食道逆流症
内科的治療に抵抗性の場合は、腹腔鏡下噴門形成術を行っています。
虫垂炎
臍の傷だけで行う、単項式内視鏡手術による虫垂切除術を行っています。
診療実績
2023年の診療実績
体表・頭頚部の疾患 | 5 |
胸部の疾患 | 9 |
鼠径ヘルニア | 77(全例腹腔鏡下手術) |
臍・腹壁ヘルニア | 55 |
肺・縦隔、胸壁の疾患 | 9 |
胃・食堂疾患 | 8(検査含む) |
消化管疾患 | 36 |
肝・胆・膵疾患 | 1 |
腫瘍性疾患 | 6 |
泌尿器系疾患 | 12 |
新生児手術件数 | 12 |
内視鏡外科手術件数 | 111 |
2022年の診療実績
体表・頭頚部の疾患 | 12 |
胸部の疾患 | 3 |
鼠径ヘルニア | 95(全例腹腔鏡下手術) |
臍・腹壁ヘルニア | 55 |
肺・縦隔、胸壁の疾患 | 4 |
胃・食堂疾患 | 15 |
消化管疾患 | 30 |
肝・胆・膵疾患 | 3 |
腫瘍性疾患 | 3 |
泌尿器系疾患 | 12 |
新生児手術件数 | 13 |
内視鏡外科手術件数 | 124 |
2021年の診療実績
体表・頚部の疾患 | 11 |
鼠径ヘルニア | 98(全例腹腔鏡下手術) |
臍ヘルニア | 35 |
肺・縦隔、胸壁の疾患 | 4 |
消化管疾患 | 39 |
肝・胆・膵・脾疾患 | 9 |
小児生殖器系疾患 | 23 |
腫瘍性疾患 | 2 |
新生児手術件数 | 10 |
内視鏡外科手術件数 | 148 |