兵庫医科大学病院
耳鼻咽喉科・頭頸部外科

頸部膿瘍(けいぶのうよう)

疾患概要

深頸部膿瘍は、頭頸部の間隙内に膿瘍を形成する疾患のことです。図のように、頸部には頸動脈や頸静脈といった太い血管が走行しており、炎症が大血管へ波及すると出血など致死的になる可能性もあり、咽喉頭の浮腫により気道狭窄(きょうさく)を来たすこともあります。また、深頸部に感染が滞るために、切開排膿などの外科的治療も必要となることがあります。

原因菌としては、Streptococcus属(ストレプトコッカス属:レンサ球菌)、嫌気性菌である Prevottella属(プレボテラ属:グラム陰性菌)、Peptostreptococcus属(ペプトストレプトコッカス属:嫌気性グラム陽性球菌)、Bacteroides属(バクテロイデス属:偏性嫌気性グラム陰性桿菌)などが代表として挙げられますが、好気性菌と嫌気性菌の混合感染も多いとされています。糖尿病や基礎疾患を有する症例では増悪する可能性があるとされています。小児の場合には、リンパ節炎を契機に発症するものが多いとされていますが、下咽頭梨状窩瘻(かいんとうりじょうかろう)など、先天性の疾患が原因となることもあります。

原因・症状

発症契機としては、扁桃炎・扁桃周囲炎や扁桃周囲膿瘍、急性咽喉頭炎、齲歯などの歯原性疾患、リンパ節炎などの初感染巣、あるいは食道・気管の損傷、皮膚疾患などが原因として挙げられ、炎症の波及や増悪時に頸部に膿瘍の形成を来たし、発症します。症状は、発熱、咽頭痛、呼吸困難、圧痛などが挙げられます。咽喉頭の浮腫(ふしゅ)による呼吸苦が出現している症例に関しては、早急な対応が必要です。

検査

検査は咽喉頭の診察が必要です。咽喉頭ファイバースコープなどで、原疾患の場所や炎症の程度を確認します。次に、CT検査や超音波検査などで膿瘍形成の有無や位置を確認します。併せて採血などを行い、炎症の程度や全身状態を確認する必要があります。

治療

治療としては、抗菌薬を用いた内科的治療と切開排膿を行う外科的治療に分けられます。まずは、抗菌薬による治療とともに、急性炎症に対してはステロイドの投与も行います。
膿瘍の形成部位が深部で大血管に近い場合などには、緊急で膿瘍の切開排膿が必要となるため、緊急手術で排膿を行い、術後も洗浄などの処置が必要となります。
また、炎症により咽喉頭の浮腫を来たしている場合には、気管切開術などの気道の確保も必要です。

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

分野ごとに専門的な診療を行っています

聴覚・平衡覚・嗅覚・味覚などの感覚医学、頭頸部腫瘍の診療を行っています。鼓室形成術、人工内耳埋め込み手術、めまいの検査と治療、顔面神経麻痺、内視鏡下副鼻腔手術、手術用ナビゲ-ションシステムの応用、嗅覚・味覚専門外来、幼児難聴、補聴器外来、頭頸部がんに対する集学的治療を行っています。

都築 建三(つづき けんぞう)診療部長

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