兵庫医科大学病院
整形外科

Jones(ジョーンズ)骨折(第5中足骨疲労骨折)

疾患概要

第5中足骨近位部骨折は、頻度の高いスポーツ傷害の1つです。
この骨折は、ZoneⅠで発生する「基部剥離骨折」、ZoneⅡで発生する「Jones骨折」、ZoneⅢで発生する「近位骨幹部骨折」に分類されます(図1)。
一般的に、Jones骨折は1回の外力で発生する新鮮骨折ですが、近位骨幹部骨折は繰り返すストレスによって発症する疲労骨折です。
この2つの骨折はいずれも難治性であり、再骨折が多いのが特徴的で、明確に分類できないことから、この2つの骨折を一括りにしてJones骨折としている報告が多いのが現状です。

原因・症状

Jones骨折の発症には、さまざまな要因が関連すると報告されています。
解剖学的には、第5中足骨基部に複数の靭帯や腱が付着していること、第5中足骨基部が弯曲(わんきょく)していることや血流の供給が乏しいことなどがあげられます。
そのほか、下肢のアライメント(向きや並び)や関節柔軟性の低下、BMI高値などの内的要因、スパイクシューズのデザインや人工芝といった外的要因などの関連が報告されています。

Jones骨折では、プレー中またはプレー後に足部外側に痛みを自覚することが多いです。
また、運動量が増加するとともに痛みが増悪することがあります。
完全に骨折するまでは、プレーできないほどの痛みでないことが多いのも特徴です。
しかし、ストップやターンなど通常では骨折しないような動作で完全に骨折することがあり、完全全骨折に至ると局所の痛みが増悪し、歩行が困難となることがあります。

検査

一般的に、単純X線検査によって診断は容易です。
単純X線像では、第5中足骨骨間端部から近位骨幹部の底外側骨皮質より横走する骨折線が見られます(写真1)。
骨折線周囲には、骨硬化像(骨皮質の肥厚)を伴うことがあります。
MRIは早期診断や単純X線検査で診断が困難な例に有用です。
また、超音波検査は近年検診に利用されることが多く、超音波の検診により陽性所見が見られれば、単純X線検査が施行されています(写真2)。

治療

外固定や免荷などの保存療法では、通常より骨癒合まで時間がかかる遷延癒合(せんえんゆごう)、骨癒合が得られない偽関節、骨癒合が得られたとしても再骨折がおきるというような合併症のリスクが高いことが報告されています。
このため、アスリートに対しては手術療法が推奨されています。
手術療法はスクリューによる髄内固定術が一般的です。スポーツ復帰は個人差もありますが、術後2~3か月程度となります。一般的に手術療法は良好な治療成績であることが報告されていますが、髄内固定術に使用されるスクリューのデザイン、サイズ、設置位置が不良であれば遷延癒合、偽関節、再骨折などの合併症のリスクが高くなるといわれています。

当院ではハーバートスクリューによる髄内固定術を行っており、現在までに遷延癒合、偽関節、再骨折の発生なく、その良好な治療成績を報告しています(写真3)。
現在ではトップアスリートに対する手術療法も行っております。

整形外科

整形外科は運動器、全身の自分で動かせる部位の頭部以外の首から下の背骨や四肢を専門としております

運動器の障害、運動器疾患は外傷、怪我による骨折や脊椎脊髄損傷、特発性側弯症などの小児の疾患、加齢性の変性に伴う腰椎椎間板ヘルニアや成人脊柱変形、変形性関節症、関節リウマチなどの炎症性疾患、化膿性脊椎炎や結核などの感染症、骨肉腫などの骨腫瘍や軟部腫瘍など背骨から四肢の関節、骨、靭帯、筋肉、神経に到るまでたくさんあります。
運動器の障害は患者さんの活動性、生活の質に直結します。
我々はそれらの疾患を理解し薬物治療や運動療法などの保存治療から手術まで専門的な治療を行います。

当科では脊椎班、上肢班、関節班(股、膝スポーツ、膝人工関節、足、骨粗鬆症)、腫瘍班が整形外科の全ての専門分野を網羅し、それぞれのスタッフが先進の医療をめざして努力しております。

橘 俊哉(たちばな としや)主任教授/診療部長

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