兵庫医科大学病院
整形外科

足関節外側靭帯損傷

疾患概要

足関節捻挫(足首を捻って受傷する外傷のうち、骨折脱臼を除くもの)は最も発生頻度の高いスポーツ外傷ですが、足関節捻挫の多くは、足部を内返しに強制されて受傷する足関節外側靭帯損傷です。

足関節外側靭帯損傷は「ただの捻挫」と軽視されがちであり、適切な診断や治療を受けないまま時間が経過してしまうと、足関節の疼痛の遷延化や機能障害が残ってしまうことがあります。
このような症状が残っていると、スポーツパフォーマンスの低下を引き起こしたり、続発する骨軟骨損傷(足関節内の軟骨損傷)の原因となったりします。
このため、「ただの捻挫」と軽視せず、適切に診断を行い、治療を行っていくことが必要です。

原因・症状

足関節外側靭帯損傷の多くは、スポーツ活動中に足部を内返し強制されることによって発生します。
受傷後、足関節外側に痛みを感じることが多く、痛みのため歩行困難となる場合もあります。

また、受傷直後より足関節外側(外くるぶし)周辺に腫れ(腫脹)や皮下出血がみられます。
多くの場合、数週間で痛みや腫れは改善しますが、足関節外側靭帯損傷例のうち10~20%は痛みや足関節の不安定感が残ることが報告されています。

検査

診断は身体所見、画像所見を総合して行われます。

身体所見では、足関節外側(外くるぶし)周辺に腫脹や皮下出血がみられます。また、外側靭帯部に圧痛が確認されます。急性期は、痛みが強く評価が困難な場合が多いですが、痛みが引いた後、前方引き出しテストや内反ストレステストを行った結果、足関節の不安定性がみられることがあります。

画像検査は、一般的に単純X線検査やMRI、超音波検査を行います。
・単純X線検査:骨折との鑑別のために行う検査です。
・MRI:外側靭帯の性状や合併する軟骨損傷(写真1)などの評価に有用です。
・超音波検査:靭帯損傷の評価(写真2)や靭帯の治癒過程の評価に有用です。
また、近年超音波は軽量化し持ち運びも容易に行えることからスポーツ現場での診断ツールの一つとしても用いられています。

治療

急性期はRICE(Rest:安静、Icing:冷却、Compression:圧迫、Elevation:挙上)療法を徹底的に行います。痛みが強い場合は、外固定(副木固定)を行い、体重をかけずに松葉杖で動いてもらう免荷を指導します。
従来、数週間の固定や免荷が推奨されていましたが、近年、受傷後早期より足を動かしたり、体重をかけたりする早期リハビリテーションの有用性が報告されていることから、痛みが許すなら足関節軟性装具(サポーター)を装着したうえで歩行を許可します。
また、受傷早期からリハビリテーション(可動域訓練、足関節周囲筋トレ、バランス訓練、体幹筋トレなど)を開始していきます。
足関節周囲の症状、機能が改善していることを確認し、徐々に運動を再開していきます。

上記のような適切な治療を行ったとしても、痛みや足関節不安定性などの足関節周囲の症状が残存する場合があります。このような場合、手術療法が必要となります。
手術療法は、残存している靭帯を修復する靭帯修復術や、別の部位から腱を採取し、移植腱で靭帯を再建する靭帯再建術を行います。従来は、皮膚を数センチ切って行う直視下法による手術が一般的でしたが、近年は、小さい傷で関節鏡を使用して行う鏡視下手術が普及しており、手術の低侵襲化が進んでいます。
当院では症例に応じて、患者さんが出来るだけ早く安全に競技復帰を行えるように、直視下手術、鏡視下手術を選択し手術加療を行っております(写真3)。

整形外科

整形外科は運動器、全身の自分で動かせる部位の頭部以外の首から下の背骨や四肢を専門としております

運動器の障害、運動器疾患は外傷、怪我による骨折や脊椎脊髄損傷、特発性側弯症などの小児の疾患、加齢性の変性に伴う腰椎椎間板ヘルニアや成人脊柱変形、変形性関節症、関節リウマチなどの炎症性疾患、化膿性脊椎炎や結核などの感染症、骨肉腫などの骨腫瘍や軟部腫瘍など背骨から四肢の関節、骨、靭帯、筋肉、神経に到るまでたくさんあります。
運動器の障害は患者さんの活動性、生活の質に直結します。
我々はそれらの疾患を理解し薬物治療や運動療法などの保存治療から手術まで専門的な治療を行います。

当科では脊椎班、上肢班、関節班(股、膝スポーツ、膝人工関節、足、骨粗鬆症)、腫瘍班が整形外科の全ての専門分野を網羅し、それぞれのスタッフが先進の医療をめざして努力しております。

橘 俊哉(たちばな としや)主任教授/診療部長

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