兵庫医科大学病院
整形外科

アキレス腱断裂

疾患概要

アキレス腱断裂は、30~40歳代の男性に好発し、その多くはスポーツ活動中に発生する外傷です。
スポーツ外傷の中でも重症度が高く、競技復帰までに平均6か月程度かかると報告されています。
また、トップアスリートにおいては、アキレス腱断裂の治療後、機能やパフォーマンスが改善せず、引退の原因になることも少なくありません。
このため、適切に診断され、適切な治療をおこなう必要があります。

原因・症状

アキレス腱断裂例では、受傷時に突然、足関節後方部の痛みを自覚します。
また、受傷時の衝撃を「後ろから誰かに蹴られた」「バットで殴られた」「ボールが当たった」などと表現することが多いのも特徴です。
受傷直後は、痛みのため体重をかけることができず歩行が困難な状況となりますが、少し時間が経つと歩行可能となることもあります。歩行可能な場合でも、つま先立ちができなくなるのが特徴です。

検査

アキレス腱断裂は、身体所見から比較的容易に診断することが可能です。
アキレス腱断裂の特徴的な身体所見としては、アキレス腱断裂部の陥凹(写真1)や同部位の圧痛、またThompson(トンプソン)テスト※が陽性(写真2)であることがあげられます。
 ※Thompsonテスト:うつ伏せの状態で膝を直角に曲げふくらはぎを強くつまむテスト。正常では足関節が底屈しますが、アキレス腱断裂例では足関節の底屈が見られなくなります。

単純X線検査では明らかな異常がないことがほとんどです。
MRIや超音波検査は必須ではありませんが、身体所見から診断が困難な例や治療中の腱の治癒過程を観察するうえで有用です。

治療

アキレス腱断裂においては、保存療法(ギプスや装具で治す方法)や手術療法(断裂した腱を縫合する方法)があり、いずれも良好な治療成績が報告されています。
近年、保存療法・手術療法のいずれにおいても早期機能的リハビリテーション(早期より足を動かす訓練を行ったり、体重をかける訓練を行ったりするリハビリテーション)の有効性があるとされており、いずれを選択しても早期機能的リハビリテーションを行うことが一般的になりつつあります。アスリートにおいては、手術療法を選択した方が競技復帰までの期間が短くなるという報告も散見されます。

当院ではアスリートに対しては、積極的に手術療法を行い(写真3)、手術直後より早期機能的リハビリテーションを開始することで早期競技復帰をめざす治療を行っています。
また、アキレス腱断裂に対する再生医療の有効性を検討する研究を行っており、実際の治療にも応用しています(写真4)。

整形外科

整形外科は運動器、全身の自分で動かせる部位の頭部以外の首から下の背骨や四肢を専門としております

運動器の障害、運動器疾患は外傷、怪我による骨折や脊椎脊髄損傷、特発性側弯症などの小児の疾患、加齢性の変性に伴う腰椎椎間板ヘルニアや成人脊柱変形、変形性関節症、関節リウマチなどの炎症性疾患、化膿性脊椎炎や結核などの感染症、骨肉腫などの骨腫瘍や軟部腫瘍など背骨から四肢の関節、骨、靭帯、筋肉、神経に到るまでたくさんあります。
運動器の障害は患者さんの活動性、生活の質に直結します。
我々はそれらの疾患を理解し薬物治療や運動療法などの保存治療から手術まで専門的な治療を行います。

当科では脊椎班、上肢班、関節班(股、膝スポーツ、膝人工関節、足、骨粗鬆症)、腫瘍班が整形外科の全ての専門分野を網羅し、それぞれのスタッフが先進の医療をめざして努力しております。

橘 俊哉(たちばな としや)主任教授/診療部長

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