兵庫医科大学病院
耳鼻咽喉科・頭頸部外科

甲状腺がん

疾患概要

甲状腺はのどぼとけの下、気管の前面に位置し、ホルモンを作る場所です。甲状腺の裏には声帯を動かす反回神経が走行しています。
甲状腺がんは病理組織学的に乳頭がん、濾胞がん、髄様がんや未分化がんなどに分類されますが、最も多いのは乳頭がんです。未分化がんの発生頻度は稀ですが進行が早く治療が難しいがんになります。

原因・症状

多くの甲状腺がんの発症原因は不明ですが、一部のがんでは遺伝性であることが分かっています。
未分化がんを除く甲状腺がんの進行は一般的にはゆるやかであり、初期では無症状のことがほとんどです。進行してくると首の腫れやのどの違和感(閉塞感)、声がれ、息苦しさ、血痰などが生じてきます。首のリンパ節に転移しリンパ節が腫脹して気づかれる場合もあります。

検査

血液検査で腫瘍マーカー(サイログロブリン、CEA、カルシトニンなど)を測定する方法もありますが、確定診断を行うための価値は必ずしも高くありません。まずは負担が少ない超音波検査を行い、甲状腺がんを疑う腫瘍性病変を認めた場合、超音波ガイド下に穿刺(せんし)吸引細胞診を行い診断する方法が一般的です。
病変の広がりを評価するために、CTやMRI、PET/CT検査を行います。

治療

甲状腺乳頭がん治療の基本は手術です。腫瘍の大きさや転移の有無、周囲への浸潤傾向(広がり)などを考慮して術式を決定します。
当科ではリスクがそれほど高くない場合には、甲状腺の患側半分を切除する「甲状腺片葉切除術」を選択することが多いです。この理由として、甲状腺がんは再発・転移が明らかになった場合でも発育がゆるやかであることが多く救済手術が行いやすいこと、甲状腺を全摘した場合、ホルモン製剤の内服が必要になること、ごく稀ではあるものの甲状腺全摘術の影響で両側の反回神経麻痺をきたすことがあり、気道が狭くなり気道確保が必要になると術後の生活の質を障害する可能性があることが挙げられます。
一方でリスクが高いがん(転移を多く認める、周囲への浸潤傾向が強いなど)に対しては甲状腺全摘を行い、放射線ヨウ素内用療法(アイソトープ治療)を追加します。これらの治療の効果が乏しい時には分子標的薬(ソラフェニブ、レンバチニブ)を行うこともありますが、副作用のリスクもあるため、導入の時期を含め、適応は慎重に決定しています。

その他

甲状腺がんの多くはたとえ進行がんであったとしても、正確な診断、治療を行うことで長期的な制御が期待できます。
心配されていることがありましたら、どうかお気軽に当科までご相談ください。

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

分野ごとに専門的な診療を行っています

聴覚・平衡覚・嗅覚・味覚などの感覚医学、頭頸部腫瘍の診療を行っています。鼓室形成術、人工内耳埋め込み手術、めまいの検査と治療、顔面神経麻痺、内視鏡下副鼻腔手術、手術用ナビゲ-ションシステムの応用、嗅覚・味覚専門外来、幼児難聴、補聴器外来、頭頸部がんに対する集学的治療を行っています。

都築 建三(つづき けんぞう)診療部長

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