兵庫医科大学病院
耳鼻咽喉科・頭頸部外科

喉頭がん

疾患概要

喉頭がんは動物ではほとんど認められず、ヒト特有のがんといえます。ヒトのがん全体の数%を占め、決して頻度の高いがんではありませんが、耳鼻咽喉科領域では最も多いがんの一つです。

喉頭がんの発がんには、長年の喫煙が深く関与していることが、疫学的に証明されています。喉頭がん患者さんの95%以上が喫煙者であり、裏を返せば喫煙さえしなければ良いという最も予防しやすいがんといえます。年齢的には20~30歳代の若い人にはほとんど見られず、60歳代後半に発症のピークがあります。つまり、タバコを若い時から30~40年吸い続けた結果として起こった典型的な生活習慣病といえます。

原因・症状

喉頭がんは、がんの発生する部位により、声帯より上方に発生する声門上がんと、声帯に発生する声門がん、声帯より下方に発生する声門下がんの3つに分類されます。日本では、声門がんが最も多く60~65%を占め、次いで声門上がんが30~35%、声門下がんは稀で数%と言われています。

喉頭がんの代表的な症状は、声のかすれとノドの違和感です。がんの発生部位によって症状の出現時期は大きく変わります。声門がんは、小さな病変でも早い段階で声のかすれの症状が出現するため、早期がんのうちに見つかりやすいという特徴があり、声門がんの約90%が早期がんで発見されます。しかし、声門上がんは、がんが小さいうちは特有の症状がほとんどなく、がんが大きくなって嚥下時痛、血痰、声のかすれ、呼吸困難、などの症状が出現します。そのため、早期がんで見つかることは30%程度しかなく、ほとんどが進行がんで見つかります。また声門部ではリンパ流がほとんど存在しませんが、声門上部ではリンパ流が豊富であるため、声門上がんは声門がんに比べ頸部リンパ節転移が多いことも進行がんで見つかる原因となっています。

検査

喉頭がんが疑われた場合、喉頭内視鏡検査を行います。異常が認められた場合は、その部分から組織片を採取(生検)し、病理検査でがんの診断を行います。
生検の結果、喉頭がんと診断がついたら病変の広がりや深さや、頸部リンパ節転移の有無を評価するために、造影CT検査やMRI検査が行われます。また、遠隔転移の有無を確認するためにPET-CT検査が行われ、病期診断を行います。

治療

上記の検査で病期(ステージ)が確定したら、病期にあった治療が選択されます。

早期がんの場合、放射線治療、経口法による腫瘍切除、喉頭部分切除術など、いずれも発声機能を温存する治療法が選択されます。その中でも全国的に放射線治療を第一選択とする施設が多く、兵庫医科大学病院でも放射線治療を選択しています。

進行がんの場合、放射線治療ではがんをコントロールできる可能性が低くなるため、一般的に喉頭全摘出術が選択されることが多いです。しかし、喉頭全摘出術を行うと発声機能は生涯失われますので、放射線化学治療で根治が望めそうな症例には放射線化学治療を行い、喉頭温存(発声機能温存)をめざして治療を行っています。また、進行がんでもがんの広がりや場所によっては、喉頭亜全摘術で発声機能や嚥下機能を温存してがんを切除することもあります。

その他

進行喉頭がんでやむを得ず喉頭全摘出術を施行した方のために、代用音声の獲得にも力を注いでいます。食道発声、電気式人工喉頭や笛式人工喉頭の他に、ボイスプロテーシス(Provox VEGA®)を用いた気管食道瘻発声にも対応しています。

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

分野ごとに専門的な診療を行っています

聴覚・平衡覚・嗅覚・味覚などの感覚医学、頭頸部腫瘍の診療を行っています。鼓室形成術、人工内耳埋め込み手術、めまいの検査と治療、顔面神経麻痺、内視鏡下副鼻腔手術、手術用ナビゲ-ションシステムの応用、嗅覚・味覚専門外来、幼児難聴、補聴器外来、頭頸部がんに対する集学的治療を行っています。

都築 建三(つづき けんぞう)診療部長

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〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1-1

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