兵庫医科大学病院
泌尿器科

尿道狭窄症

疾患概要

尿道狭窄症は、様々な原因で尿道が狭くなったり閉塞したりして、尿が出なくなったり、出しにくくなったりする病気です。男性の尿道は女性よりも長く、「陰茎部(陰茎)」「球部(股間)」「膜様部(前立腺とのつなぎめで尿道をしめる括約筋のある部位)」に分けられ、各々の部位で多様な原因で尿道狭窄症が発生します。若年者でも発症しますが、高齢になるほど発生率は増加していきます。
また、女性でもまれに発生することがあります。

原因・症状

【原因1:外傷】2つの代表的なパターンがあります。ひとつは股ぐらを強打する騎乗型外傷で、球部尿道が恥骨と挟まれてつぶれることで狭窄します。もうひとつは骨盤の骨折で、膜様部尿道が前立腺から切り離されることで断裂します。完全に閉塞した場合には、おなかから膀胱に直接管をいれる「膀胱ろう」をつくり、3カ月ほど待機してから尿道形成術を行います。

【原因2:医原性】尿道内のカテーテル操作や内視鏡手術で尿道に傷が入り、硬くなることで狭窄します。内視鏡治療を繰り返すことでさらに悪化することもあります。尿道の全ての部位で発生しえます。

【原因3:尿道下裂術後】先天性の陰茎疾患である尿道下裂を矯正するために、小児期に皮膚などで尿道をつくった後、成人になってから狭くなることがあります。狭窄が発生する部位は陰茎部です。

【原因4:その他の尿道疾患】硬化性苔癬という皮膚疾患が尿道に進展して長い狭窄となることがあります。
※上記の1~4に当てはまらない原因不明な尿道狭窄もよく見られます。

【症状】排尿しにくい、出ないといった自覚症状がある方が治療対象です。

検査

●尿流測定:排尿の勢いを測定する機能検査です。尿の出やすさが客観的にわかり、手術の成功を判断するのにも用いられます。

●尿道造影:尿道狭窄部の場所・長さ・狭さを評価するために必須の検査です。通常の尿道造影は陰茎の先端からレントゲンに写る造影剤を注入しながら撮像します(左図)。排尿できる方では膀胱内に造影剤を満たして排尿しながらも撮像します(排尿時尿道造影、右図)。尿道が完全に途絶して下腹部から膀胱に直接管が入ってる場合(膀胱ろう)は、膀胱ろうから内視鏡を尿道まで挿入した造影を組み合わせることがあります(はさみうち尿道造影)。

●MRI検査:外傷性の狭窄で尿道周囲組織の損傷程度がわかります。

●内視鏡検査:尿道の狭いところを観察することができます。

治療

【治療1:経尿道治療】内視鏡で狭いところを切開する内尿道切開という手術と、ブジーという金属の棒やプラスチックの管による尿道拡張は一般の泌尿器科でも広く行われています。軽い球部狭窄では有効なことがありますが、治療後にふたたび狭窄する場合には経尿道治療を繰り返しても効果は低く、尿道を傷つけて狭窄を悪化させることもあります。

【治療2:尿道形成術】尿道形成術は尿道の再建手術で、長い狭窄や、外傷による狭窄や断裂など経尿道治療では直らない尿道狭窄症の根治治療です。代表的な手術は「狭窄部切除・尿道端々吻合術」と「代用組織による尿道再建手術」です。

◇狭窄部切除・尿道端々吻合術…股間を切開して尿道に到達し、狭い部分を切除して健康な尿道同士をつなぎ合わせます。成功率は90%以上です。

◇代用組織による尿道再建…部位によりますが、2cm以上の狭窄で考慮します。頬の粘膜や陰茎の皮膚を尿道の材料とする方法です。本来尿道ではない組織を利用するので長期的な成功率は尿道端々吻合術よりやや低いとされています。

上記いずれの場合も、術後は尿道に管(カテーテル)を2~3週間おき、縫い合わせたところが治ってから抜去します。

その他

当科では小児の尿道形成手術の長い伝統がありますが、2014年から成人の尿道形成に取り組み始め、2016年から独自チームで本格的に行っています。尿道形成手術の件数は増加し続けており、複雑な病状の方を含めあらゆるタイプの尿道形成術に対応しています。現在までに、関西一円を中心に中部・北陸地方や中四国地方からも患者さんを受け入れています。

泌尿器科

多彩な腎泌尿器疾患に、確実で高度な先進的治療を提供します

泌尿器科は尿路(腎、尿管、膀胱、尿道)、副腎および男性⽣殖器(前⽴腺、精巣など)のさまざまな疾患を治療する科です。
兵庫医科大学病院 泌尿器科では、外科的アプローチと内科的アプローチを効率よく組み合わせた集学的治療によって、常に患者さんの⽣活の質(QOL:Quality of Life)の向上を意識した診療を⾏っています。

山本 新吾(やまもと しんご)診療部長

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