兵庫医科大学病院
泌尿器科

膀胱がん

疾患概要

膀胱(ぼうこう)は、腎臓で作られた尿を溜める筋肉の袋です。膀胱の内側は尿路上皮という粘膜でおおわれていますが、膀胱がんはこの粘膜から発生します。膀胱がんは「筋層非浸潤がん」「筋層浸潤がん」「上皮内がん」の3つの種類に分かれます。筋層非浸潤がんは膀胱内腔へ突出して大きくなっていきますが、膀胱壁の中へ根をはらないタイプです。

筋層浸潤がんは膀胱内腔へ突出するだけでなく膀胱壁の中へ浸潤していくために、膀胱壁内のリンパ管や血管などの脈管へ入り込み、リンパ流や血流に乗って、近くのリンパ節や遠くの肺・肝臓など他臓器に転移を起こします。上皮内がんは筋層浸潤がんの最初の段階であり、膀胱鏡で見ても平坦で、粘膜が少し赤くただれている程度にしか見えませんが、放っておくと筋層浸潤がんに進展していきます。

原因・症状

膀胱がんの初期症状のほとんどは無症候性肉眼的血尿です。無症候性肉眼的血尿は痛みなどの症状を伴わず、尿に血が混じることです。膀胱炎や尿管結石などでも血尿が見られることがありますが、これらの病気では排尿痛や腹痛などを伴うことが多いため、急いで(時には救急車で)受診する傾向にあります。

一方、膀胱がんで見られる血尿は無症候性のため緊急性がなく、しばらくすると消えてしまうこともあり、そのまま泌尿器科専門医に受診することなくと放置されてしまうこともありますので、要注意です。上皮内がんでも血尿が見られることもありますが、時に排尿痛や頻尿などの膀胱刺激症状で見つかることもあります。中高年で膀胱炎として治療をしてもその症状が消失しない場合は、上皮内がんの可能性も考えなければなりません。

検査

中高年で無症候性肉眼的血尿、または膿尿や症状がなかなか治らない膀胱炎様症状を認めた時には、まずは「膀胱鏡検査」が必須です。最近では軟性膀胱鏡(径の細い胃カメラのような機械)で検査しますので、痛みはほとんどありません。膀胱がんが疑われたら、胸腹部CTでリンパ節や他臓器への転移がないか、骨盤部MRIで膀胱壁への浸潤はないかを調べます。

そして最終的には入院して経尿道的に腫瘍を切除し、その組織を顕微鏡検査で調べて腫瘍の悪性度、浸潤度(筋層浸潤の有無)などを診断します。尿細胞診は、悪性度の高い筋層浸潤がんや上皮内がんでは陽性を示すことが多く膀胱がんの診断に有用ですが、悪性度の低い筋層非浸潤がんでは陰性のことも少なくないので注意が必要です。

治療

筋層非浸潤がんは経尿道的切除により完全に切除されてしまうことが多いですが、再発することもまれではありません。そのため、術後も定期的に膀胱鏡で再発がないか検査する必要があります。組織の顕微鏡検査で再発の可能性が高いと判断されたときには、再発予防のためにBCG膀胱内注入療法を施行します。BCG膀胱内注入療法は、上皮内がんの治療するためにも行います。

一方、筋層浸潤がんは経尿道的切除のみではがんが残ってしまうため、膀胱をすべて摘除(膀胱全摘術)をすることが一般的です。膀胱を摘除した場合には、下腹部にストマという尿の出口を造設し、そこに袋(パウチ)を貼って生活する必要があります。兵庫医科大学では、抗がん剤・放射線併用療法によって、膀胱を摘除せず温存する治療法も行っています。

泌尿器科

多彩な腎泌尿器疾患に、確実で高度な先進的治療を提供します

泌尿器科は尿路(腎、尿管、膀胱、尿道)、副腎および男性⽣殖器(前⽴腺、精巣など)のさまざまな疾患を治療する科です。
兵庫医科大学病院 泌尿器科では、外科的アプローチと内科的アプローチを効率よく組み合わせた集学的治療によって、常に患者さんの⽣活の質(QOL:Quality of Life)の向上を意識した診療を⾏っています。

山本 新吾(やまもと しんご)診療部長

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