疾患概要
総胆管を含む胆道系が先天的に拡張をきたし、さまざまな症状が出る疾患です。膵胆管合流異常を伴っています。
原因・症状
膵管と胆管の合流異常により、活性化された膵液が胆道系を障害して生じると言われています。黄疸や腹部腫瘤で発見されたり、腹痛、嘔吐、発熱などの症状が出現することもあります。また、大人になるまで無症状で経過することもあります。そのまま放置すると成人になり高い確率でがん化します。
検査
血液検査で高アミラーゼ血症や肝機能異常などを認めます。超音波検査や腹部CT検査で胆管拡張は認めれば診断できますが、膵・胆管合流異常はこれらの検査でははっきりしないことが多く、MRIによる胆管膵管撮影(MRCP)や内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)といった検査が行われます。小児ではそれでもはっきりしないことがあり、時には手術で術中胆道造影を行い膵・胆管合流異常を確認します。
治療
根本的な治療は手術です。膵液と胆汁が途中で混じらないようにすることと、胆道がんの発生を予防することが重要です。そのため手術では拡張した胆管と胆嚢を切除し、がん発生母地を除去します。
そして膵管と胆管を分離する分流手術を行い、膵液の活性化を予防し、胆管と腸を吻合して胆道の再建を行い、膵液と胆汁が別々に腸に流れるようにします。従来この手術は開腹により行われていましたが、最近では当院でも腹腔鏡で行うことが増えました。
外科疾患から重症の先天性疾患まで、幅広くお子さんを診療いたします
小児外科は、生まれたての赤ちゃんから15歳までの子どもさんの外科疾患を担当しており、鼠径ヘルニアや虫垂炎などの日常的な外科疾患から、重症の先天性疾患を持つ新生児や小児がんの患者など、高度の専門的治療が必要な疾患まで、幅広く扱っています。
まだまだ小さな診療部門ですが、地域の皆さまに信頼され、次世代を担う若い方々にとっても魅力ある診療科となることを目標にしています。
大植 孝治(おおうえ たかはる)診療部長