疾患概要
妊娠末期ないし生後早期に肝外胆管の一部または全部が線維性閉塞を来たし、胆汁を腸管へ排泄できない疾患です。放っておくと、肝臓の組織が破壊されて肝硬変に発展し、未治療の場合2歳までに死亡するため、できるだけ早く治療することが大切です。
原因・症状
詳しい原因は不明です。主な症状は黄疸、便色異常(薄い黄色からクリーム色の便)、濃黄色尿です。生後2週間ほどで消える新生児の生理的黄疸が続き、便の色がおかしければすぐに専門機関を受診する必要があります。
検査
検査は血液検査、尿・便検査などの検査のほかに、腹部超音波検査、肝胆道シンチグラム、腹部CTなどを組み合わせて実施します。
治療
治療法は手術です。胆管の閉塞部を切除し腸管と吻合し腸管内に胆汁を流してあげる方法(葛西法)を行うのが一般的です。まずは黄疸を消失させることが目標です。胆汁の流出をはかる手術により良好な胆汁排泄が得られ、肝臓の病変の進行を食い止めることが次の目標です。しかし、経過中胆管炎、門脈圧亢進症、肝内結石症、肝肺症候群などの合併症が出現し治療を要することがあり、成人後も定期的に病院に通う必要があります。また、自分の肝臓で生きていけない場合は、肝臓を入れ替える肝移植が必要となります。
外科疾患から重症の先天性疾患まで、幅広くお子さんを診療いたします
小児外科は、生まれたての赤ちゃんから15歳までの子どもさんの外科疾患を担当しており、鼠径ヘルニアや虫垂炎などの日常的な外科疾患から、重症の先天性疾患を持つ新生児や小児がんの患者など、高度の専門的治療が必要な疾患まで、幅広く扱っています。
まだまだ小さな診療部門ですが、地域の皆さまに信頼され、次世代を担う若い方々にとっても魅力ある診療科となることを目標にしています。
大植 孝治(おおうえ たかはる)診療部長