疾患概要
赤ちゃんの誕生は、胎児としてお母さんに依存している状態から、自分で呼吸をし、栄養を取って生きていかなければならない環境へと大きく変化する瞬間です。そのような時に、医療的なサポートが必要な赤ちゃんがいます。
低出生体重、呼吸障害、先天異常などを有する赤ちゃんは、適切な治療を行わないと生命にかかわることもあります。当院の新生児集中治療室ではそのような赤ちゃんに対し、高度な技術によって一人ひとりに合った治療を行っています。
原因・症状
赤ちゃんの病期の原因は、予定日よりも早くに生まれてしまったこと、母体の中でへその緒が絡まってしまたこと、遺伝的な問題など、さまざまです。お母さんの妊娠中に、おなかの中の赤ちゃんの異常に気付かれたら、産婦人科・小児科が連携して、生まれた赤ちゃんが元気に育つように全力で対応します。
検査
病気の治療には検査が必要ですが、赤ちゃんは体が小さいので、できるだけ負担がかからないように行います。血液検査は極少量の血液で行い、超音波検査など負担がかからない検査でできるだけ対応します。当院では、赤ちゃんの医療に必要な高度な検査機器を有しており、24時間体制に赤ちゃんを見守っています。
治療
小さく生まれた赤ちゃんには適切な呼吸・循環・栄養管理が、仮死状態で生まれた赤ちゃんに対しては脳の保護療法が、先天異常を有する赤ちゃんには時に外科的な治療が必要になります。このような赤ちゃんに対する集中治療を行う病棟が新生児集中治療室です。当院は新生児集中治療室15床、新生児回復治療室12床を有し、赤ちゃんに対する集中治療を行っています。また、総合周産期母子医療センターに指定されており、産婦人科との連携のもと、母体・胎児・新生児に対する医療を行うとともに、精神的・社会的にもお母さん・赤ちゃんが安心して生活できるようサポートしてます。
マススクリーニング
早期に診断し、適切な治療を行うことによって、病気の進行を抑えることが可能な病気があります。このような病気を、新生児期に検査する方法が「新生児マススクリーニング」です。日本では1977年より導入され、全ての赤ちゃんが生後5日前後に血液検査を行い、20疾患に対するスクリーニング検査を受けています。
近年、多くの疾患で新たな治療薬が誕生しています。そして、そのような治療薬の多くは、早期に診断し治療を開始することにより、有効性を高めることができます。兵庫県では、一部の施設で、早期診断が重要な新たな7疾患(脊髄性筋萎縮症、重症複合免疫不全症、ファブリー病、ポンペ病、ゴーシェ病、ハーラー病、ハンター病)に対してもスクリーニング検査を開始しました。当院でもこのような検査が可能です(新たに追加された7疾患の検査は有料です)。
こども達の健やかな成長をサポート
小児一般病床 20床、新生児室 27床(うち新生児集中治療室 15床)を有し、小児神経・筋疾患、小児腎疾患、新生児(NICU)、先天代謝異常症、小児内分泌、小児アレルギーなどの専門的な疾患の高度医療を行うとともに、感染症などの一般小児疾患の患者さんや、在宅医療が必要な患者さんにも対応し、診療を行っています。
地域のこども達の健やかな成長をサポートしていきます。
竹島 泰弘(たけしま やすひろ)主任教授