兵庫医科大学病院
腎・透析内科

慢性腎臓病(CKD)

疾患概要

慢性腎臓病(CKD)は、(1)蛋白尿(微量アルブミン尿を含む)などの尿異常、画像診断や血液検査、病理所見で腎障害が明らかである状態、(2)血清クレアチニン値をもとに推算した糸球体濾過量(eGFR)が60mL/分/1.73㎡未満の状態のいずれかまたは両方が3ヶ月以上続いている状態のことをいいます。

2005年時点での日本のCKD患者数は約1,330 万人(20歳以上の成人の8人に1人)と言われており、国民病といわれるほど頻度の高い疾患です。そして、CKDがあると心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患発症のリスクが高まると言われています。また、CKDが進行し、腎不全になると体内から老廃物を除去することができなくなり、最終的に透析療法や腎臓移植が必要となります。したがって、なるべく早期に発見し、進行を遅らせる治療を開始することが大切です。


原因・症状

CKDの初期にはほとんど自覚症状はありませんが、病気が進行してくると、「むくみが出る」「貧血になる」「疲れやすくなる」といった症状がみられるようになります。

CKDの原因としては、糖尿病や慢性糸球体腎炎(蛋白尿や血尿が長期間持続する病気)などが多いですが、加齢も大きな要因です。また、肥満や運動不足、喫煙、ストレスなどからくる高血圧症、高脂血症などのメタボリックシンドロームもCKDの発症に大きく関与しているといわれています。その他には遺伝によるもの、薬剤によるものなどもあります。

検査

(1)尿検査

尿の中に蛋白や血液が漏れ出ていないかを調べます。(CKDの早期発見に一番大切な検査です。)

(2)血液検査

さまざまな項目で腎臓の状態を評価しますが、その中でも血清クレアチニン値が大切です。血清クレアチニン値をもとに推算糸球体濾過量(eGFR)を計算し、腎臓にどの程度老廃物を処理する力があるかを判断します。

(3)画像検査

超音波検査やCT検査で腎臓の大きさや形の異常、腫瘍や結石などがないかどうか調べます。

(4)病理検査

尿検査で蛋白尿や血尿が持続している場合や血液検査で急な腎機能低下を認める場合などには腎生検を行い、腎臓の病理組織を顕微鏡で観察し正確な診断を行います。

治療

CKDの原因または進行の程度によって、内容は多少異なりますが、治療の目的は腎不全の進行を遅らせることにあります。

したがって、具体的には原因疾患の治療(糖尿病であれば、血糖コントロールを良くする、慢性糸球体腎炎であれば、腎炎の治療を継続するなど)、生活指導(適度な運動・禁煙、定期的な受診、服薬)とともに食事療法(減塩・低蛋白食)や薬物療法(腎臓を保護し、尿蛋白を減らす効果のある降圧剤による血圧コントロール、むくみを改善するための利尿剤の使用など)が中心となります。

それでも腎不全が進行し、老廃物(尿毒素)の排泄が自身の腎臓で困難になってきた場合は、透析療法や腎臓移植の準備を進めていくことになります。

メッセージ

CKDの治療では食事療法以外に日々の生活や服薬管理なども重要となるため、患者さんやご家族にも理解を深めていただけるよう、当科では毎月1週間にわたり、臨床栄養部、看護部、薬剤部、臨床検査技術部の協力のもとに、腎臓病教室を開催していますので、ご興味のある方は是非ご参加ください。(※コロナ禍の現在は休止中です。)

腎・透析内科

患者さん個々の病態に合わせた治療を提供します

多くの腎臓病はその治療や合併症の管理が長期間にわたり、同じ疾患でも患者さんによって病状や経過が異なる事もあります。当科としては、単に疾患のみを診るのではなく、幅広い腎臓病に対して患者さん個々の病態に合わせた治療を提供できるように心掛けています。また経験豊富な腎臓・透析専門医が担当させていただく事で、外来でも入院でも患者さんが安心して治療に専念していただける診療体制を整えています。

倉賀野 隆裕(くらがの たかひろ)診療部長

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