兵庫医科大学病院
耳鼻咽喉科・頭頸部外科

末梢性顔面神経麻痺

疾患概要

顔面神経は脳から顔に向かって伸びる神経で、顔の表情を作ることが大きな役割です。顔面神経麻痺とは、何らかの原因で顔面神経が麻痺し、片側の顔が動かしにくくなる病気です。原因は大きく分けて、脳に原因がある「中枢性」と、脳の外に原因がある「末梢性」に分かれます。全体の90%以上は末梢性であり、耳鼻咽喉科・頭頸部外科では末梢性顔面神経麻痺(まっしょうせいがんめんしんけいまひ)の診断と治療を行っています。

原因・症状

末梢性顔面神経麻痺の原因として最も多いのは、約半数を占める「ベル麻痺」と言われる病気です。急に起こる顔面神経単独の麻痺であることから「特発性顔面神経麻痺」とも言われています。

次に多いのは、「ラムゼー・ハント症候群」という帯状疱疹ウイルスです。顔面神経麻痺のほかに、内耳神経(聴こえの神経やめまいの神経)が障がいを受け、難聴やめまいを同時に起こすことがあります。帯状疱疹ウイルスの活性化によって片側の耳や側頭部に強い痛みを伴うこともあります。

そのほかに、中耳炎や頭部外傷による顔面神経麻痺がありますが、全体の10%未満と言われており、頻度は多くありません。まれに「耳下腺の悪性腫瘍」や「その他の病気」によって顔面神経麻痺を生じることもあります。

検査

麻痺の程度を点数化する方法で受診時の顔面神経麻痺の重症度を測定します。それと同時に、「聴力検査や眼振検査で内耳神経が障害されていないか」の確認を行います。また、アブミ骨筋反射(耳小骨筋反射)という検査(※)を行うことで顔面神経麻痺を起こしている部位の推測に役立てます。高度な麻痺がある場合は、発症から1~2週間後に顔面表情筋の筋電図検査(ENoG)を行い、より正確な重症度診断を行います。

また、複数の脳神経麻痺があり中枢性麻痺を疑う場合は、脳神経外科や脳神経内科の先生に紹介して、診断と治療を依頼する場合もあります。

※耳の中に「耳小骨(じしょうこつ)」と呼ばれる、音を内耳に伝える骨があります。その耳小骨に付着する筋肉が収縮するかを調べる検査のこと。

治療

末梢性顔面神経麻痺と診断された場合は、できるだけ早くステロイドを中心とした投薬治療を行うことが望ましいと言われています。また、年齢や持病の有無で投与する量を調節し、入院治療を勧める場合もあります。

麻痺が高度で、かつ筋電図検査(ENoG)の反応が悪く、自然治癒が難しいと予測される場合には「顔面神経減荷術」という手術が適応になる場合もあります。顔面神経は脳から顔に至るまで側頭骨(そくとうこつ)という硬い骨の中を走行します。神経が腫れて締めつけられることや血流が悪くなることで麻痺になると言われているため、手術によって骨に囲まれた神経を開放します。重症例に対する顔面神経減荷術は、ステロイド治療単独よりも良好な成績が報告されています。


耳鼻咽喉科・頭頸部外科

分野ごとに専門的な診療を行っています

聴覚・平衡覚・嗅覚・味覚などの感覚医学、頭頸部腫瘍の診療を行っています。鼓室形成術、人工内耳埋め込み手術、めまいの検査と治療、顔面神経麻痺、内視鏡下副鼻腔手術、手術用ナビゲ-ションシステムの応用、嗅覚・味覚専門外来、幼児難聴、補聴器外来、頭頸部がんに対する集学的治療を行っています。

都築 建三(つづき けんぞう)診療部長

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