疾患概要
低身長とは、平均から標準偏差の2倍以上身長が低い状態を指します。100人のうち、2~3人くらいの子どもが当てはまります。身長自体が低い場合に加え、成長率(身長の伸び率)の低下も診察が必要となる場合があります。低身長や成長率の低下は、特定の原因により起こるものとそうでないものがあります。特定の原因により起こる低身長の中には、治療が可能なものがあります。
原因・症状
【原因】
原因が特定される場合、その原因に応じた治療やフォローアップを行います。内分泌疾患(ホルモンの病気)が見つかることは珍しく、検査の結果、病気とは考えにくい低身長と判断される方も多くいらっしゃいます。
◆原因が特定されるもの
<内分泌疾患>
成長ホルモン分泌不全症、甲状腺機能低下症、性腺機能低下症など
<症候群>
ターナー症候群、プラダー・ウィリー症候群、ヌーナン症候群など
<その他>
・SGA(small-for-gestational age)性低身長症
・内科的疾患(心疾患、腎疾患、肝疾患、アレルギー性疾患など)
・脳腫瘍
・軟骨無形成症
・栄養摂取不足など
<病気と考えにくいもの>
・体質性低身長症
・家族性低身長症
【症状】
「1歳半検診で体重増加不良や低身長」「3歳児検診や学校の検診で低身長」を指摘される方が多いです。また、小学校高学年から中学生ぐらいで徐々に周囲のお子さんとの身長差が大きくなり、受診される方も少なくありません。低身長の原因により、例えば、内分泌疾患が原因の場合は、低血糖や活気不良など体格以外の症状を示される方もいらっしゃいます。
検査
外来では、診察に加え、問診や検査を行います。
問診では、母子手帳から出生時の状況や、保育園・幼稚園や学校の成長記録をもとに、成長の記録を確認します。さらに、体格の経過のほか、これまでにどのような病気にかかったことがあるかについて伺います。
検査では、手のレントゲン検査や、血液検査、尿検査を行います。手のレントゲン検査は、骨の成熟度を調べるために行います。血液検査では、貧血や肝機能障害の有無など一般的な検査のほか、「甲状腺ホルモン」「IGF-1」「性ホルモン」などのホルモン検査も行います。また、必要に応じて患者さんから同意をいただいた後は血液検査で染色体を調べることもあります。
こうした問診や検査結果を総合的に判断し、内分泌疾患の可能性が高いと考えられる場合、さらに詳しく検査を行う場合があります。
治療
成長ホルモンは注射の薬ですので、成長ホルモンの治療が必要な場合は、基本的に「毎日自宅で皮下注射していただく」こととなります。ご自宅で安心して注射していただけるよう、お薬の構造や使い方については、外来でご説明します。
成長ホルモン治療以外の治療が必要な場合も適宜治療を行いつつ、身長についてもフォローアップを行います。
こども達の健やかな成長をサポート
小児一般病床 20床、新生児室 27床(うち新生児集中治療室 15床)を有し、小児神経・筋疾患、小児腎疾患、新生児(NICU)、先天代謝異常症、小児内分泌、小児アレルギーなどの専門的な疾患の高度医療を行うとともに、感染症などの一般小児疾患の患者さんや、在宅医療が必要な患者さんにも対応し、診療を行っています。
地域のこども達の健やかな成長をサポートしていきます。
竹島 泰弘(たけしま やすひろ)主任教授