疾患概要
痔の症状に程度の差はありますが、おしりのまわりに痛みや出血をきたしたことはほとんどの方が経験していることではないでしょうか。実は成人の3人に1人はおしりの悩みを抱えているとも言われます。しかし、恥ずかしいことなど、誰にも話さない方が非常に多いと思います。ここではおしりの病気やその代表である痔、肛門の働き・構造について解説します。
肛門は、大腸の最後の部分である直腸からおしりの皮膚へとつながる2~3cmほどの部分を指します。ここには肛門括約筋(こうもんかつやくきん)があり、私たちは主にこの肛門括約筋を調節して排便をコントロールし、直腸にたまった便を体外へ排出したり、便を我慢したりしています。
この肛門の中間辺りにある直腸の粘膜と皮膚の境界を「歯状線」と呼びます。歯状線は病気を考えるときに関わりますが、歯状線より上の部分には痛みを感じる痛覚(つうかく:痛いと感ずる感覚)はありません。しかし、歯状線より下の部分は皮膚なので痛覚があります。「お尻の奥が痛い」というのは直腸そのものが痛いわけではなく、多くの場合は別の内臓が痛んでいたり、奥の皮膚部分が痛んでいたりすることで起こります。
また、括約筋の内側(直腸の粘膜や皮膚との間)には、肛門クッションと呼ばれる柔らかい組織があり、毛細血管が集まっています。坐薬を使うときにはこの毛細血管から薬の成分が吸収され効果を発揮します。しかし、血の流れが悪くなりうっ血(静脈の血液の流れが悪くなって滞留する状態)を起こすと、病気としての問題が出てくることがあります。
難病である潰瘍性大腸炎とクローン病を総合的に診療いたします
炎症性腸疾患は、原因不明の難治性疾患が多く、代表的な疾患として潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)があります。
難治性の炎症性腸疾患患者さんを、内科・外科が共観しながら、メディカルスタッフとともに総合的に診療いたします。
また、遠方の患者さんや長期経過の患者さんには、病診連携・病病連携を通じて地域の医療機関と共同した治療を行うよう努めています。
池内 浩基(いけうち ひろき)診療部長