兵庫医科大学病院
炎症性腸疾患外科

肛門周囲膿瘍・痔瘻

疾患概要

「肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)」は肛門のまわりに膿がたまる病気です。「痔瘻(じろう)」は肛門周囲に膿がたまったものが通り道となって、肛門(直腸)と皮膚に交通ができる病気です。

原因・症状

肛門周囲膿瘍や痔瘻は、歯状線にある肛門腺という粘液を分泌する腺に細菌が侵入し、感染(化膿:かのう)を起こすことでできると言われています。その他、裂肛や腸の粘膜に異常をきたす病気である「クローン病」、細菌やウイルス感染なども原因となります。

肛門腺の感染が悪化すると、図のように肛門周囲の皮下に膿瘍を作ります。これが皮膚に抜けると膿が排出(排膿:はいのう)されます。膿が出た後に交通が残ったものが痔瘻となります。通り道ができることによって細菌が侵入しやすくなり、感染を繰り返します。

肛門周囲膿瘍は肛門周囲の皮膚に、いわゆるニキビや吹き出物と同じように毛嚢炎(毛穴の化膿)として起こる場合もあります。この場合には歯状線との関係はありませんので、痔瘻に進展することはほとんどありません。

膿がたまると発熱や腫れ、痛みが出現します。膿瘍が大きいほどその症状は強く、ひどくなります。排膿すると症状は軽快することが多いのですが、瘻孔(ろうこう)が残ることで再発しやすくなります。

検査

CTやMRI検査で膿瘍や瘻孔の走行を確認します。内視鏡やレントゲン造影検査、超音波検査でも病変を確認することがあります。

治療

膿がたまっている場合は、皮膚を切開して膿を出すこと(排膿)が必要となります。また、化膿している状態ですので抗菌薬の投与も必要となり、痛みの程度に応じて鎮痛剤が使用されます。

一般的に、排膿し、軽快した後はそのまま様子を見ることが多いのですが、症状が治まらない場合や、再発を繰り返す場合には手術が必要になります。瘻孔を切り開いたり、くりぬいたり、あるいはシートン法といって、図のように瘻孔にゴムやひもを通して膿が出やすくする方法を取る場合があります。

当科より

深いところに広がる痔瘻や、再発を繰り返す痔瘻は治りにくい場合があり、治療のために人工肛門を作って便を遮断することが必要な場合もあります。長く経過した痔瘻の中には発がんするものもあり、定期的に通院することが大切になってきます。

炎症性腸疾患外科

難病である潰瘍性大腸炎とクローン病を総合的に診療いたします

炎症性腸疾患は、原因不明の難治性疾患が多く、代表的な疾患として潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)があります。
難治性の炎症性腸疾患患者さんを、内科・外科が共観しながら、メディカルスタッフとともに総合的に診療いたします。
また、遠方の患者さんや長期経過の患者さんには、病診連携・病病連携を通じて地域の医療機関と共同した治療を行うよう努めています。

池内 浩基(いけうち ひろき)診療部長

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