兵庫医科大学病院
脳神経内科

頭痛

疾患概要

日本人全体の約4割が頭痛に苦しみ、そのうち、仕事・学業・家事などに支障をきたすほどの頭痛を繰り返す片頭痛の患者さんは約800万人、毎日60万人の方が片頭痛発作に苦しまれ、経済損失は年間2,880億円にのぼると言われています。しかしながら、定期的に医療機関を受診して治療をされている方は全体の3%のみで、周りから理解されず、悩まれている患者さんも多くいらっしゃいます(※)。
頭痛は非常に体系だった疾患領域です。約300種類に分類され、それぞれに合った検査、治療法があります。
頭痛は大きく一次性頭痛(検査で異常がなく、症状から診断をする頭痛)と二次性頭痛(脳腫瘍、髄膜炎などの検査で原因がわかる頭痛)に分かれ、どちらの頭痛であるのか診断するところから始まります。今回は一次性頭痛の代表格である片頭痛についてご紹介します。

※出典:日本頭痛学会サイト URL:https://www.jhsnet.net/kyoto_2005.html

原因・症状

次の質問のうち、2つ以上あてはまるものはありますか?
①歩行や階段の昇降など日常的な動作によって頭痛がひどくなる。動くよりじっとしている方が頭痛は楽になる。
②頭痛に伴って吐き気がしたり、胃がムカムカする。
③頭痛に伴って普段は気にならない程度の光が眩しく感じることがある。
④頭痛に伴って臭いが嫌だと感じることがある。

上記のうち、2つ以上当てはまる項目がある方は、片頭痛の可能性があります。

原因としては三叉神経血管系、脳幹部の下行性疼痛制御系、セロトニンなど神経ペプチドが関与すると考えられています。特に三叉神経終末から放出される「カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)」は、片頭痛発作と密接に関与していることがわかり、2021年4月より、CGRPの活性を阻害する「モノクローナル抗体薬」が日本でも使用できるようになりました。

検査

まず、危険な頭痛か、そうでないかを頭部MRIやCT、各種採血などで確認します。一次性頭痛は検査では異常がなく、頭痛の性状や随伴症状などから診断を行うため、患者さんに対してそれまで感じた頭痛に関して詳細をお伺いし(※)、国際頭痛分類に準拠した適切な診断を行います。

※発症年齢、頭痛の部位、疼痛の性状、持続時間、頻度、日常生活への支障度、増悪因子、改善因子、随伴症状(吐き気)、家族歴、頭痛の前にキラキラしたものが見えたり視野が暗くなったりする視覚症状など前兆の有無、アロディニア(=少しの刺激で痛みを感じてしまうか)、内服歴など

治療

大きくは「急性期治療」と「予防治療」の2つがあります。

「急性期治療」はstratified care(頭痛の重症度、支障度に併せて治療薬を使い分ける方法)を適切に行い、迅速に痛みを改善することをめざします。それでも頭痛の回数が多い方や、頭痛が重度で日常生活に支障が出てしまう方には「予防治療」を行います。片頭痛治療は近年目覚ましい発展があり、頭痛の原因の1つであるCGRPに対するモノクローナル抗体治療を当院でも行っています。患者さんお一人おひとりの併存疾患やライフスタイルに合わせて内服調整を行います。
また、片頭痛以外にも、目の充血などを伴い、片側の高度な疼痛を伴う群発頭痛(ぐんぱつずつう:強い痛みが生じる症状)、睡眠時のみに目が覚めてしまうほどの疼痛(とうつう:ずきずきとうずくように痛む症状)を伴う頭痛が起こる睡眠時頭痛(夜間就寝中の一定の時間帯に起こる症状)など、さまざまな頭痛に対応しています。

脳神経内科

正確な診断を行うため、詳しく診察を行います

当科では、脳、脊髄、末梢神経、筋肉などの病気を診療しています。
血液検査などに異常がみられないケースもあり、詳細な診察を行っていく必要があります。兵庫県神経難病医療ネットワーク支援協議会の協力病院でもあります。

木村 卓(きむら たかし)診療部長

交通アクセス

最寄り駅
阪神電鉄「武庫川駅」西出口より徒歩5分
住  所
〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1-1

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電話番号 0798456111(代表)
月~金曜、土曜(第3) 8:30から16:45

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