疾患概要
尿路感染症は、私たちの腸内にいる大腸菌などの細菌が「尿の出る場所」から「尿の通る経路」に入ることで起こります。尿道や膀胱の中で感染がとどまっていると尿道炎や膀胱炎を起こり、細菌が腎臓まで侵入すると尿管炎や腎盂(じんう)腎炎を起こします。
原因・症状
乳児期(1歳頃まで)には男児に、それ以降は尿道の短い女児に起こりやすいといわれています。尿が膀胱から尿管に逆流する先天的な異常がある子どもは、高熱を伴う尿路感染症を繰り返す場合が多いです。「1日の中でおしっこに行く回数が少なく、おしっこの間隔が長い」「残尿・便秘があるなどトイレ習慣(排尿・排便)に問題がある」などの子どもは、尿路感染症を繰り返す場合があるので注意が必要です。
主な症状として、頻尿や排尿時の痛み、残尿感、腹痛、腰痛などが出ることがあります。腎盂腎炎など腎臓に炎症が起こっている場合は、高熱が出ることが多いです。
検査
尿路感染症では発熱以外の症状がなく、尿検査をしないと診断できないことも多いため、尿検査がとても重要です。
尿検査では、尿の中に白血球や細菌がいるかを確認します。正確に尿を採取するため、細い管を尿道から膀胱内に入れて、膀胱内の尿を直接採取することもあります。尿の中に細菌がいる場合は、その細菌の種類を尿培養(採取された細菌を検査室で増殖させて、細菌の種類を決定する検査)で調べます。通常、数日~1週間程度かかります。
超音波検査では、前述した尿が膀胱から尿管に逆流する異常などの先天的な構造異常があるかを調べます。先天的な構造異常を疑う場合は、造影剤を用いた検査をおこない、尿が膀胱から尿管、腎臓に逆流していないかどうかを確認します。
(図1)膀胱尿管逆流症の超音波検査 (図2)排尿時の造影レントゲン検査画像
治療
抗生剤で治療を行います。尿が膀胱から尿管に逆流するなどの先天的な構造異常があり、尿路感染症を繰り返す場合は、治療後の感染を予防する目的で、抗生剤の予防投与を行います。
前述した構造異常が年齢とともに改善しない場合や高度な場合は手術を行うこともあり、専門病院での定期的なフォローがとても大切です。
こども達の健やかな成長をサポート
小児一般病床 20床、新生児室 27床(うち新生児集中治療室 15床)を有し、小児神経・筋疾患、小児腎疾患、新生児(NICU)、先天代謝異常症、小児内分泌、小児アレルギーなどの専門的な疾患の高度医療を行うとともに、感染症などの一般小児疾患の患者さんや、在宅医療が必要な患者さんにも対応し、診療を行っています。
地域のこども達の健やかな成長をサポートしていきます。
竹島 泰弘(たけしま やすひろ)主任教授