疾患概要
近年、男性における前立腺がん、女性における子宮頸がんが増加傾向にあります。これらに対する治療として、放射線を体の外から照射する治療を受けた後に、下痢便や排便回数の増加などの便通の異常や肛門の痛み、また、血便が続く場合に、放射線性腸炎の可能性が考えられます。
原因・症状
放射線性腸炎は、放射線治療を受けている期間から症状が出現する場合や、治療が終わって数か月~数年してから出現する場合もあります。
放射線の照射により、骨盤内の腸管の血流が悪くなり、下痢便などのお通じの異常や肛門の痛みなどを生じます。また、最も多い症状としては血便があり、持続する出血のために、貧血が進行し、息切れや動悸を自覚する場合もあります。
検査
血便が続いていたり、貧血が進行したりしている場合は、大腸内視鏡検査を行う必要があります。肛門からすぐの直腸に発症することが多く、びらんや潰瘍、毛細血管が拡張した所見を認め、内視鏡の接触ですぐに出血するような弱い粘膜が認められます。
治療
初期は排便コントロールが主となりますが、血便が続く場合は、内視鏡を用いて毛細血管を焼灼(しょうしゃく)して出血を止める治療が行われます。近年では、アルゴンプラズマという特殊なガスを用いて、広い範囲を短時間で焼灼する方法が治療の中心となっています。

患者さんに安心して受診いただける、最善かつ最高の医療を
消化管内科は2022年7月に炎症性腸疾患内科と統合し、食道がん・胃がん・大腸がんなどの消化管腫瘍、クローン病・潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患(IBD)、および機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群などの機能性消化管疾患をはじめとして、消化管疾患の全般にわたって診療しています。
当院は、国内でも有数のIBD診療数を誇る施設であるとともに、早期がん内視鏡治療のハイボリュームセンターでもあります。
最善かつ最高の医療を提供するベく日々努力するとともに、患者さんに安心して受診いただけるよう、エビデンスに基づきつつ一人ひとりの病状に応じた丁寧な診療を心がけています。
新﨑 信一郎 (しんざき しんいちろう)主任教授/診療部長