兵庫医科大学病院
消化管内科

大腸がん(化学療法)

疾患概要

大腸がんは大腸(盲腸~結腸~直腸~肛門)に発生し、遺伝性のあるもの(家族性大腸腺腫症、遺伝性非ポリポーシス性大腸がんなど)とないものに分けられます。
遺伝性のないものには良性のポリープ(腺腫、鋸歯状病変)ががんになるものと、正常粘膜から直接発がんするものがあります。その他、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)に発生することもあります。

胃がんや子宮がんが減少傾向にあるのと対照的に、大腸がんは近年増加傾向にあります。やや男性に多く、30代から徐々に増え始め、高齢になるほど多くなります。日本の罹患数(がんと診断された数)は2018年のデータでは男性3位、女性2位、総数1位となっており、死亡数では2019年のデータでは男性3位、女性1位、男女計2位となっています。(※参考:がん情報サービスWEBサイトより)

日本人はS状結腸、直腸といった肛門に近い部位にがんができやすい傾向があります。

大腸がんの治療には「内視鏡治療」、「外科手術」、「化学療法」がありますが、ここでは「化学療法」についてご紹介します。

原因・症状

遺伝性以外の大腸がんは生活習慣や加齢との関わりや、食事の西洋化(高脂肪、低線維)による影響が大きいと考えられています。具体的には、赤肉(牛、豚など)、加工肉(ハム、ソーセージ、ベーコンなど)の摂取が大腸がんのリスクをあげる可能性があるといわれています。その他、アルコール摂取、喫煙、運動不足、肥満などが危険因子であると考えられています。遺伝性がんの場合は家族歴を確認することも重要です。

症状はがんができる部位によって異なります。大腸の奥の方では管腔が広く、便も液状であるため、症状が出にくく、貧血や腫瘤(しゅりょう)が触れることで気づかれることがあります。肛門に近い大腸では管腔が狭く、便が固形化しているため、腹痛、血便、便が細くなったり出にくくなるなどの症状が見られることがあり、特に直腸は早くから症状が出やすくなっています。

検査

大腸がんを早期発見するスクリーニング検査として、便潜血検査があります。便潜血検査では便を専用のスティックで採取し、便に血が混じっていないかどうかを調べます。最近は便を1日1回ずつ2日に分けて採取する2日法が主流となっています(多くとりすぎないのがコツです)。便潜血が1回でも陽性であった場合は精査を受けましょう。精査として様々な検査が考えられていますが、大腸内視鏡より優れた検査がないのが現状です。

大腸内視鏡は前処置として下剤を1.5~2.0L服用する必要があります。大腸内視鏡は苦痛を伴うことがありますが、当院では鎮静剤や最新の内視鏡を用いることで、可能な限り苦痛を軽減して検査を受けていただくように心がけています。

大腸がんは肝臓や肺などに遠隔転移することがあるため、造影CTやPET-CTを用いて転移検索を行います。

治療

大腸がんの治療は、「内視鏡治療」、「手術療法」、「化学療法」がありますが、ここでは「化学療法」について紹介します。

化学療法は、手術後の再発抑制や切除不可能と判断された大腸がんに対して行われます。切除不可能と判断された大腸がんは、治療を行わなければ生存期間の中央値は約8か月とされていますが、最近の薬物療法の進歩によって30か月を超えるまで延長してきました。
使用可能な薬剤は多岐にわたり、がんの部位や遺伝子異常によって使用する薬剤は異なり、複数の薬剤を組み合わせて使います。その一部を提示します。下記の表をご参照ください。

当院では初回の化学療法は基本的に入院で行いますが、2回目以降は外来で行います。

生存期間は伸びてきていますが、化学療法単独での治癒は難しい状況です。しかし、化学療法がよく効いて転移した腫瘍が小さくなった結果、外科手術が可能となった場合、治癒が得られることもあります。

消化管内科

患者さんに安心して受診いただける、最善かつ最高の医療を

消化管内科は2022年7月に炎症性腸疾患内科と統合し、食道がん・胃がん・大腸がんなどの消化管腫瘍、クローン病・潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患(IBD)、および機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群などの機能性消化管疾患をはじめとして、消化管疾患の全般にわたって診療しています。
当院は、国内でも有数のIBD診療数を誇る施設であるとともに、早期がん内視鏡治療のハイボリュームセンターでもあります。
最善かつ最高の医療を提供するベく日々努力するとともに、患者さんに安心して受診いただけるよう、エビデンスに基づきつつ一人ひとりの病状に応じた丁寧な診療を心がけています。

新﨑 信一郎 (しんざき しんいちろう)主任教授/診療部長

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