兵庫医科大学病院
泌尿器科

尿道下裂

疾患概要

尿道下裂とは、外尿道口が亀頭部先端になく亀頭部後面から会陰部にかけてさまざまな位置に開口する尿道の形成異常です。
通常の男性は尿の出口(外尿道口)は亀頭部先端にありますが、男児の約 200~300人に1人の割合で、この外尿道口が亀頭部先端になく亀頭部後面から会陰部にかけて位置していることがあります。
尿道下裂は、包皮は亀頭の背中側に偏っており、陰茎が下向きに引っ張られているように屈曲している特徴的な形態のもの、程度の軽いもの、女性の外陰部の形に近いものまで、さまざまな程度のものがあります。

原因・症状

男女の外陰部は胎児期に同一の形態からスタートし、異なるホルモンの作用のもとで出生までに男女それぞれの形態をとります。尿道下裂は外陰部の男性化が途中までしか進んでいないものと考えられます。原因として、尿道下裂の程度が強い患者さんは遺伝子やホルモン作用の異常が関与していると考えられます。それ以外の原因として、低出生体重児で発生しやすいことから胎盤機能などの関与も考えられます。特別な症状はなく、出生時や乳幼児検診で視診で診断されますが、陰茎の成長とともに立位で排尿しにくいなどで本人が気づくこともまれにあり、3つの性的コンプレックス(陰茎の曲がりによる勃起障害・立位での排尿がしにくいこと・陰茎の形態異常)の可能性が成人後に問題となります。

検査

重度のものでは性染色体や男性ホルモン系の検査を行うことがあります。他の尿路系に先天性障害がないかどうか、特に男性化の異常としては停留精巣や、尿道に前立腺小室という凹みがあることがあり、それらを調べるために超音波検査を行います。

治療

尿道下裂そのものには、生命の危険はありません。「男性として成長する上で問題になる形態である」と、両親と医療者の意見が一致した場合には手術を行います。 手術の目的は、陰茎の屈曲を直し、外尿道口を亀頭部先端に近づけて、可能な限り正常な陰茎の形態にすることです。そのため、ほとんどの場合、尿道を新たに作成する手術が必要になります。手術方法や手術時間は尿道下裂の程度により異なります。 多くの手術は1回で行いますが(一期的手術)、程度の強い尿道下裂や再手術例の場合は2回に分けて行うこと(二期的手術)もあります。こどもの心理的な負担が低い6カ月~1歳頃に手術を行う場合が多いです。

尿道下裂をもって生まれたこどもたちは、小児期に手術治療が行われますが、成人後に男性として「どのような人生を送るか」は知られていませんでした。当科では、1973年以来、1,000人以上の患者さんを治療(※)しており、成人後の問題にも広く対処しております。当科で尿道下裂の手術をされた患者さん全体としては、「長期的な男性としてのライフステージは普通の男性」と変わりありません。ただし、その中で性交・結婚・挙児などを経験することが低い患者さんの特徴も明らかになっています。また、場合によっては、手術で作成した尿道が成人後に狭くなり排尿しにくくなることがあり(尿道狭窄)、このような状態の患者さんに対しても、他院で発生した症例を含めて尿道の再形成術などの専門的治療を行っています。参考までに「尿道狭窄症」の項目もご覧ください。

※新患患者数の集計データ
集計期間:1973年4月1日~2021年3月31日 1038人

泌尿器科

多彩な腎泌尿器疾患に、確実で高度な先進的治療を提供します

泌尿器科は尿路(腎、尿管、膀胱、尿道)、副腎および男性⽣殖器(前⽴腺、精巣など)のさまざまな疾患を治療する科です。
兵庫医科大学病院 泌尿器科では、外科的アプローチと内科的アプローチを効率よく組み合わせた集学的治療によって、常に患者さんの⽣活の質(QOL:Quality of Life)の向上を意識した診療を⾏っています。

山本 新吾(やまもと しんご)診療部長

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