疾患概要
スポーツや交通事故などにより、顔に強い衝撃が加わると顔面の骨が骨折します。見た目だけではなく物が2重に見えたり、口が開かなくなったりすることもあります。
原因・症状
顔面骨は多くの骨で構成されています。受傷部位や程度により、さまざまな症状があります。
特に、目の周辺の骨折では、視神経や眼球を動かす筋肉や神経の麻痺に注意が必要です。頬や歯の感覚異常を伴うこともあります。顔面は骨と皮膚の距離が近く、外観に大きな影響を与えるため、陥凹やゆがみが目立つこともあります。
あごの骨の骨折では口が開かなかったり、かみ合わせがゆがんだりすることもあります。しばしば頭蓋底の骨折を伴っており、注意が必要です。
検査
エックス線CT撮影により、診断をします。顔面骨骨折の診断は専門医でないと難しい場合もあります。
治療
移動してしまった骨が自然に元の位置にもどることはありません。陥凹や変形が強い場合には、手術で戻すことが必要になります。顔面の骨は癒合(ゆごう)する能力が高いので、3週間もすると簡単には動かせなくなります。眼窩の骨折では筋肉や神経が骨にかみこまれてしまうことがあり、緊急に解放することが必要になる場合もあります。
形成外科は、機能回復とQOLの向上を目的とする専門外科です。
形成外科は、主に体の表面のケガや変形、できもの、アザなどを治す診療科です。"傷を丁寧に縫合してきれいに治す""顔や手の骨折を元に戻す""皮膚の表面の腫瘍を取る""アザやシミを消す"などの役割があります。
顔(瞼(まぶた)、鼻、唇、耳)、手足、胸、腹、背中…どの部分も治療の対象です、もちろん、生まれつきの変形も含まれます。
形成外科の治療は手術が主体ですが、レーザー照射や注射、塗り薬や貼り薬、飲み薬も使います。
頭のてっぺんから足の先まで、お困りのことはご相談ください。
垣淵 正男(かきぶち まさお)診療部長