心臓血管外科

“体にやさしい”低侵襲の心臓血管手術を

肺や全身へ、休むことなく血液を送り続けている心臓。心臓の手術というと、生死に直結する大手術というイメージがありますが、近年、技術の進歩に伴い患者さんの体への負担が少なくなってきています。
▶ 日本における低侵襲心臓手術をリードする 兵庫医科大学病院 心臓血管外科

冠動脈疾患、心臓弁膜症、大動脈解離、大動脈瘤などの心臓や血管の病気に対して外科治療を行うのが心臓血管外科です。患者さんの体への負担が少ない「低侵襲」な治療が求められる中、当科はいち早く「低侵襲心臓手術」に取り組み、国内で指導的な役割を担っています。
▶ 低侵襲心臓手術(MICS:ミックス)とは

心臓手術では胸を縦に大きく切り開くのが一般的ですが、MICSでは胸骨を切らずに肋骨(ろっこつ)の間を小さく切開して手術を行います。出血や感染症リスクが少なく、術後の運動制限もほとんどないため、比較的早い社会復帰が期待できます。
当科では、僧帽弁形成術の80%以上など多くの手術をMICSで行っており、狭心症に対する冠動脈バイパス手術も対象となる場合があります。また、循環器内科・麻酔科などとハートチームとして連携し、開胸を行わない経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI:タビ)にも対応しています。
▶ 血管外科手術の技術と知識を競う「AAAトライアスロン」で
兵庫医科大学病院チームが準優勝!

日本血管外科学会JAST運営委員会が開催する「AAAトライアスロン」は、3人一組で血管外科の知識や手術手技を競う企画。2025年5月、20組による予選を勝ち抜いた8組で本選が行われ、兵庫医科大学病院チームが準優勝を果たしました。

上村 尚(うえむら ひさし) 助教
大勢の外科医に見られながらという緊張する状況で、メンタル面でも試されましたが、比較的普段通りに手技を行えました。3人で連携をとらないとできないような課題だったので、チーム力も発揮できました。

豊島 慶雄(てしま よしお) 病院助手
患者さんそれぞれ心臓や血管の状態が違うので、検査結果などを頭に入れ、手術を事前にイメージすることを大切にしています。今回確認できた技術力を、患者さんのために生かしていきたいと思っています。

豊後 雅史(ぶんご まさし) 病院助手
予選は1位通過、本選でも手技では1位でしたが、知識(クイズ)で惜しくも準優勝になりました。日頃の練習から、できるだけ多くの負荷を自分にかけるなどハードルを高く設定して、研鑽を積んでいます。

▶ 兵庫県下で第1例目となるロボット支援下心臓手術に成功

2025年6月、坂口太一主任教授と上村尚助教が、内視鏡手術支援ロボット「ダヴィンチ」による僧帽弁形成術に成功しました。ダヴィンチを使用することで、難易度の高い手術でも繊細かつ正確に行うことができます。2025年末までで、実施件数は5例になりました。

▶ 患者さんのために
安全で質の高い低侵襲治療を進めていきます

心臓血管手術においても低侵襲化が進み、患者さんの体にやさしい手術が行えるようになってきました。胸の横を小さく切開して行うMICSは、胸骨を切る手術に比べ難易度は上がりますが、これまで500例超のMICS執刀で培ってきた経験を、今後も多くの患者さんに還元してまいります。また、私は日本低侵襲心臓手術学会の代表理事を務めており、MICS指導医としても、安全で質の高い低侵襲治療を院内のみならず国内全体に普及できるよう尽力したいと考えています。
心臓手術は、究極のチーム医療でもあります。科内の外科医同士はもとより、麻酔科医、器械出しなどを行う看護師、人工心肺装置を扱う臨床工学技士などとのチームワークも大切にしています。
主任教授 坂口 太一(さかぐち たいち)
\ 心臓の治療のコト 坂口先生に聞きました /
Q 治療方法はどのように選ぶのですか?
A 一人ひとりの患者さんの年齢や社会的背景、ご希望なども考慮して、循環器内科などとともにハートチームで最適な治療法を選びます。最近は、MICSと内科によるカテーテル治療を組み合わせたハイブリッド治療も実施するなど、幅広い選択肢の中からベストな治療を選べることが当院の特徴です。
Q 心臓の手術を受けた後は運動などをあきらめないといけませんか?
A いいえ。手術をして心臓の機能が上がればスポーツをすることも可能です。MICSの場合は特に回復が早く、リハビリも術後早期から開始され、患者さんによっては1週間で退院・社会復帰が可能になります。




