前を向いて


その高齢の女性は
遺伝子検査をするべきかどうか悩まれていた
病名がはっきりすれば適切な治療が受けられる
でも、自分が遺伝性の病気であることがわかれば
子どもたちまで不安にさせてしまうのではないか

時間をかけて話を聞き、正しい情報をお伝えして
ご家族への想いや不安を一緒に整理していった

私たち遺伝カウンセラーは、カウンセリングを通じて
できる限りの選択肢を提示し、相談者やご家族を支える
時には検査後も1年ほどかけてフォローすることもある

その方は、お子さんたちとも話して検査することを決め
その結果、遺伝性の病気であることがわかった
それでも私に「心の支えになった」と笑ってくれた

きっとその人が選んだことが正解なのだ
だからこそ、選んだあとに後悔をせず
しっかり前を向いて歩んでいただきたい
そんな想いで、私は今日も相談室のドアを開く


認定遺伝カウンセラー 金城 ちなつ