魚介類・アニサキスアレルギー外来
アニサキス症とともに急増!
アニサキスアレルギーに立ち向かう
アニサキスによる食中毒の増加に伴い、アニサキスに対するアレルギーを起こす人も増えています。そこでアレルギー・リウマチ内科では、2024年6月、魚介類・アニサキスアレルギー外来を開設。毎週月曜日の午後に診察を行います。
<アニサキスとは>
魚介類や海にいる哺乳類を宿主とする寄生虫。アニサキスが寄生している魚介類を生で食べると、ヒトの胃や腸の壁に食いついて食中毒(アニサキス症)を引き起こすことがあります。
【アニサキスによる食中毒が急激に増加中】
日本では古くから魚を生で食べる風習が根付いていますが、輸送技術が向上し生の魚介類の流通が増えたことなどにより、アニサキス症は近年急増しており、中には医療機関で診断を受けていないケースもあると考えられます。ほかの食中毒と比較してもその増加のペースは著しく、アニサキス症とともにアニサキスアレルギーも増加することが懸念されます。
【魚介類によるアレルギー症状の原因】
魚介類を食べた後に、かゆみやじんましん、下痢や腹痛、くしゃみ・鼻水などの症状が現れ、重症の場合には呼吸困難に陥ったり意識を失ったりする場合があります。原因として、次の3つが考えられます。
①アニサキスアレルギー
アニサキスの虫体や分泌物に対するアレルギー。生きたアニサキスが体内に入った際に抗体がつくられると、次にアニサキスやその分泌物が体に入ったときにアナフィラキシーなどの重篤なアレルギー反応につながることがあります。
※食中毒であるアニサキス症とアニサキスアレルギーは別物です。
②魚アレルギー
魚のたんぱく質(パルブアルブミンやコラーゲン)に対するアレルギー。抗原(アレルゲン)となる成分は多くの魚に共通して含まれるため、複数の魚種にアレルギー反応を示すことが一般的。
③ヒスタミン中毒
鮮度が落ちた魚介類など、ヒスタミンが高濃度に含まれる食品を食べたことで起こる中毒症で、症状はアレルギー反応に似ています。ヒスタミンは加熱などで除去できないため、魚などの食品を常温で放置するなどの不適切な管理をしないことが重要。
【アニサキスアレルギーにならないためにアニサキス症を予防しよう】
●生魚に気をつける
鮮度が落ちたものや内臓を生で食べないようにしましょう。調理する際には薄造りにするなどして、アニサキスがいないかしっかり見て確認しましょう。
●適切な処理で死滅させる
魚に寄生したアニサキスは加熱や冷凍によって死滅します。
《加熱の場合》
70℃以上で加熱または60℃以上で1分以上加熱
《冷凍の場合》
-20℃以下で24時間以上冷凍
●根拠のない対処法に注意
・酢や塩、しょうゆなどの調味料、わさびなどの薬味を用いてもアニサキスは死にません。
・アニサキスは非常に小さいため「よくかむ」だけでは不十分です。
【魚介類・アニサキスアレルギー外来~診療の流れ~】
▶問診
何を食べ、いつ、どのような症状がでたかなど詳しくお聞きします。
▶検査
・血液検査
特異的IgE抗体価を測定し、評価します。
・皮膚試験(プリックテスト)
特殊な細い針で皮膚に少量の抗原を入れ(痛みはごく軽度)、皮膚反応をみます。
・食物経口負荷試験
アレルギー症状を起こす(起こすかもしれない)食品を医師の管理下で摂取し、症状の有無を確認します。
▶治療
アレルギー症状については、抗ヒスタミン薬などを用いた薬物治療を行います。その後は過度な食事制限を強いることにならないような治療を目指します。
患者さんのつらさに寄り添い
ともに最善の治療を探る
アレルギー・リウマチ内科
助教 田村 誠朗(たむら まさお)
受信される方の中で最も多いのがアニサキスアレルギーの患者さんです。アニサキスアレルギーになると、魚を食べる際にアニサキスを取り除いたり加熱などで死滅させたりしても、残った分泌物や虫体によってアレルギー反応が出ることがあるため注意が必要です。原因になる食品を食べないようにすれば過剰な免疫反応がおこることはありませんが「大好きな寿司や刺し身が食べられない」といった状況はつらいものだと思います。どのような魚なら食べることができるのか、その方にとって最善の治療は何か、ともに見つけ出していければ幸いです。患者さんの負担を少しでも軽くできるよう、東京海洋大学との共同研究なども進めており、まだわかっていないことも多いアニサキスアレルギーの解明にも努めています。
<オンライン診療も行っています>
遠方から来られる患者さんも多いため、ご負担を軽減すべく、オンライン診療も開始しました。
●お問い合わせ
アレルギー・リウマチ内科 TEL:0798-45-6200(月~金8:30~16:45)