早期の治療へ
まず知ってもらうことから

現代の「ストレス社会」では、こころの病にかかる人が増えています。2013年からは、がんや脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病と並ぶ重要疾患の一つとして、精神疾患が日本の医療計画に加えられています。

【兵庫医科大学病院 精神科神経科の特徴】

▶都市型大学病院で専門的かつ幅広い診療

通院の負担を感じる方でも通いやすいアクセスの良さから、さまざまな患者さんが来院されます。当科では誰でもかかる可能性があるうつ病や不安症をはじめ、摂食障害や認知症、妊産婦のメンタルヘルスサポートなど、専門医が幅広い診療を行っています。

▶「強迫症(強迫性障害)」に関しては国内有数の診療・研究機関

強迫症の専門医による高度な診療を提供しており、日本全国から患者さんが受診されます。新たな治療法の開発を目指す研究も行っています。

【子どもから大人までどなたでも使える 無料アプリを開発・リリース】

こころの病の予防や早期治療のためには、病気について知ることが大切です。そこで、疾患啓発を目的とした無料アプリを開発、リリースしました。それぞれの疾患の症状や仕組みについて、チャットによる対話や動画・漫画などでキャラクターに教えてもらいながら学べるアプリです。

≪強迫症を知るアプリ フアシルーO≫

◇「強迫症」とは?
強い不安から過剰に手洗いをしたり戸締まりの確認をしたりしてしまうなどの強迫行為を繰り返す疾患。無意味で過剰な行為とわかっていても制御できません。

強迫症は、誰もが感じる不安なのか、あるいは病気なのか、ご自身で判断するのは難しい疾患です。まずはこのアプリで強迫症についてご本人やご家族に詳しく知ってもらい、病気の予防や早めの治療につながればと思っています。

助教 向井 馨一郎

<こんな心当たりはありませんか?>
このような症状に思い当たる方は、ぜひアプリをインストールしてみてください!
◆強迫症の症状例
  • 手洗いや除菌に過剰に時間をかける
  • 鍵やガスの元栓などを過剰に確認する
  • 不吉な数字などを見ると避ける
  • 誰かに危害を加えたのではと気になる
  • 物の配置や順序に執着してしまう

≪社交不安症を知るアプリ フアシルーS≫

◇「社交不安症」とは?
人から注目されるといった状況で強い不安や恐怖を感じ、顔が赤くなるなどのさまざまな症状が出ます。その不安から学校や職場に行けなくなることもあります。

病院を受診すること自体が難しい社交不安症の方にも、正しい情報を届けたいという思いでつくったアプリです。社会の中で人と接する方法を訓練するための簡単なエクササイズも見てもらうことができます。

講師 山田 恒

<こんな心当たりはありませんか?>
このような症状に思い当たる方は、ぜひアプリをインストールしてみてください!
◆社交不安症の症状例
  • 多くの人の前だと緊張して話せない
  • 人と目を合わせるのが苦手
  • 人と食事をする・見られるのが怖い
  • 自分のことや気持ちを話すのが苦手
  • 集団で何かをするのが苦手

困った状況から自由になるために
病気に気づき、受診を

精神科神経科
主任教授 松永 寿人(まつなが ひさと)

精神疾患では、病気という認識を持ちにくいなどの理由から、発症から受診までの未治療期間が長くなる傾向があります。しかし、受診が遅れると治療成績も悪くなってしまうため、病気について知り、受診につなげてもらうことが重要です。このたびアプリをリリースした強迫症と社交不安症も実は身近な病気で、かかる人は強迫症が50~100人に1人くらい、社交不安症が7人に1人くらいといわれています。ご本人やご家族に現在困った症状があるなら、このアプリを、病気に気づき、病院を受診する助けにしてもらえれば何よりです。
病気ついて理解することは、病気の予防にもつながります。このアプリを使って、多くの方に正しい知識を持っていただきたいと思っています。